Dexamethasone (Dex) によるインスリンレセプター遺伝子発現調節機序を解明すべく, IM-9リンパ球を用いて検討を行った.その結果, 10
-6M Dex存在下にて6時間培養後より急激なインスリンレセプターmRNAレベルの増加が認められ, 24時間後には約3.4倍に増加した.また, Dex 10
-8, 10
-7, 10
-6, 10
-5M存在下, 24時間培養後には174%, 187%, 329%, 368%にそれぞれ増加し, インスリンレセプターmRNAはDex添加により時間依存性, 濃度依存性に増加することを認めた.また, actinomycin D (5μg/ml) 添加によりRNA合成を阻害したところ, Dex存在下, 非存在下共に, actinomycin D添加4, 8, 12時間後には添加前に比し約60%, 30%, 20%に減少した.また, インスリンレセプターmRNAの半減期はDex添加時4.7±0.8, 非添加時5.2±0.8時間であり, 両群間に有意差を認めなかった.以上のことより, DexはインスリンレセプターmRNAの分解には影響を与えず, 合成を亢進させ, 細胞膜表面のインスリンレセプター数を増加させることが示唆された.
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