糖尿病
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31 巻, 8 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 糖尿病性網膜症に及ぼす自律神経系の影響
    坂本 安弘, 石本 祥二郎, 伊佐 二久, 青木 範充, 三村 悟郎
    1988 年 31 巻 8 号 p. 671-679
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    眼は血管の二重支配を受けている.そのうち脈絡膜動脈が交感神経支配を受けていることは確実視されているが, 網膜動脈については, 現状ではむしろ否定的な見解が多い.今回われわれは, 糖尿病患者における網膜電図と自律神経障害との関連を検討するために次の二つの研究を行った. (I) 8例の糖尿病患者を対象として星状神経節ブロックを行い, 前後で網膜電図 (ERG) を測定した.その結果, ブロック後45分でERG律動様小波のうち01波と02波の頂点潜時が有意に短縮して改善を示し, ERGが交感神経系の影響を受けることが明らかになった. (II) そこで103例の糖尿病患者を対象としてERGと副交感神経障害の指標としての心電図R-R間隔変動を測定し, 両者の相関性を検討した.その結果, 網膜症 (-) 群では相関を認めなかったが, 網膜症 (+) 群では有意の負の相関を認めた.以上二つの成績から, 糖尿病性網膜症と糖尿病性自律神経障害との間に密接な関連性が推定された.
  • 小野 百合, 対馬 哲, 三沢 和史, 工藤 守, 中川 昌一
    1988 年 31 巻 8 号 p. 681-688
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    臨床上, 網膜症が進展することをしぼしば経験する長期罹病糖尿病患者の血糖是正時および眼科手術時の病態を血小板凝集能, アラキドン酸カスケードの面より検討し以下の結果を得た.1) 急速な血糖是正時に, ADP, Collagen, Epinephrine, PAFによる血小板凝集能は全て亢進を示した.2) 手術時の血小板凝集能は, 術中は有意に低下し, その後徐々に亢進して, 翌日には術前に比し亢進を示した.TXB2, 6 keto-PGはともに術中に上昇したが有意ではなく, TXB2/6 keto-PG比はむしろ低下した.3) 術前に血小板凝集能が亢進していた群は, 術後, 眼底所見の増悪する傾向を示した.4) 以上の所見は, 糖尿病患者が, 急速な血糖是正や手術を機に網膜症等の合併症の増悪をきたす頻度が高いことと関連性があると推定される.5) 血小板凝集能亢進時, すなわち血糖是正時および手術後に血液粘度は逆に低下し, 体内の複雑なHomeostasisの存在を示唆した.
  • 国広 潔, 野口 志郎, 村上 信夫, 加藤 亮二, 織部 安裕, 高木 良三郎
    1988 年 31 巻 8 号 p. 689-692
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    名のバセドウ病患者のHbA1cを測定し, 以下の結果を得た.1) バセドウ病患者のHbA1cは, 5.2±0.8%と健常者の4.7±0.5%と比べ軽度上昇していた (P<0.01). 2) HbA1cは, 空腹時血糖および75gOGTTの各時点の血糖値と有意の正相関を示した.3) HbA1cと血清フリートリヨードサイロニンとの問には相関関係を認めなかった.4) 29名のバセドウ病患者の治療前後のHbA1cを比較すると, 治療前の5.2±0.9%に比べ治療後は4.9±0.5%と有意に低下していた (P<0.05).以上, バセドウ病患者の糖代謝異常の程度を評価する上で, HbA1cの測定は血糖値の測定と同様に有用であると思われた.
  • インスリンレセプターmRNAの合成, 分解に対するDexamethasoneの影響
    岩間 令道
    1988 年 31 巻 8 号 p. 693-700
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Dexamethasone (Dex) によるインスリンレセプター遺伝子発現調節機序を解明すべく, IM-9リンパ球を用いて検討を行った.その結果, 10-6M Dex存在下にて6時間培養後より急激なインスリンレセプターmRNAレベルの増加が認められ, 24時間後には約3.4倍に増加した.また, Dex 10-8, 10-7, 10-6, 10-5M存在下, 24時間培養後には174%, 187%, 329%, 368%にそれぞれ増加し, インスリンレセプターmRNAはDex添加により時間依存性, 濃度依存性に増加することを認めた.また, actinomycin D (5μg/ml) 添加によりRNA合成を阻害したところ, Dex存在下, 非存在下共に, actinomycin D添加4, 8, 12時間後には添加前に比し約60%, 30%, 20%に減少した.また, インスリンレセプターmRNAの半減期はDex添加時4.7±0.8, 非添加時5.2±0.8時間であり, 両群間に有意差を認めなかった.以上のことより, DexはインスリンレセプターmRNAの分解には影響を与えず, 合成を亢進させ, 細胞膜表面のインスリンレセプター数を増加させることが示唆された.
  • 高齢者におけるICSAの検討
    大萩 晋也, 南條 輝志男, 川口 篤則, 中井 一彦, 西 理宏, 曽和 亮一, 宮野 元成, 近藤 溪, 三家 登喜夫, 柏井 健作, ...
    1988 年 31 巻 8 号 p. 701-707
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン依存型糖尿病 (IDDM) 患者49名, インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 患者127名, 健常者112名において膵島細胞膜抗体 (ICSA) と抗甲状腺抗体 (ATA) を測定し, うち70歳以上の高齢者60名に75g経ロブドウ糖負荷試験 (OGTT) を施行した.ICSAは間接螢光抗体法により測定した. (1) IDDMでは, ICSAは発症1年未満で高率 (50%) に検出されたが, 罹病期間5年以上では全例陰性となった. (2) NIDDMおよび健常者では加齢とともにICSA陽性率が上昇し, 70歳以上ではNIDDMで33%, 健常者で37%に達した. (3) 高齢者60名ではIDDMの場合とは異なり, ICSA陽性はATA陽性と高率に一致するものの, 75g OGTTによる耐糖能異常とは相関性を認めなかった.以上より, 高齢者でのICSAは加齢に伴う免疫異常により出現し, 膵ラ氏島障害性を有さないことが示唆され, IDDMでのICSAとはその性状を異とするものと考えられ, ICSAの多様性の存在が強く示唆された.
  • 血糖コントロールの重要性
    野村 誠, 内藤 雅文, 岩間 令道, 久保田 昌詞, 向井 光佐子, 今野 英一, 永田 就三, 河盛 隆造, 鎌田 武信
    1988 年 31 巻 8 号 p. 709-714
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺真菌症の診断は, 時として非常に困難なことがある.また, 種々の合併する重篤な基礎疾患の治療も同時に行う必要があることも多く, 本症が難治性とされる所以である.また, これまで糖尿病を基礎疾患とし発症した肺真菌症を治癒せしめ得たという報告は多くない.私達は, 糖尿病増悪の際に肺真菌症を併発した2症例において, 入院直後より糖尿病の厳格な治療を長期にわたって行うと同時に, 抗真菌剤の投与を行うことにより, 肺真菌症を治癒し得た.このことより, 糖尿病を基礎疾患とした内臓真菌症治療における血糖コントロールの重要性を再確認した.
  • 河津 捷二, 根岸 清彦, 鈴木 将夫, 石井 淳, 山内 俊一, 赤沼 宏史, 藪内 正彦, 赤沼 安夫
    1988 年 31 巻 8 号 p. 715-718
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    The plasma concentrations of 1, 5-anhydro-D-glucitol (1, 5-AG) were determined in normal subjects, and in patients with renal glucosuria and with diabetes mellitus (9-18 years old), as diagnosed by oral glucose tolerance test.
    No sex-or age-related differences in the concentrations of plasma 1, 5-AG were noted in normal subjects. The plasma 1, 5-AG level in patients with diabetes mellitus with marked glycosuria was significantly lower than that in normal subjects. Moreover, significant reduction of plasma 1, 5-AG was also found in patients with renal glycosuria without glucose intolerance.
    Significant negative correlation was also observed between fasting plasma 1, 5-AG and Σ urinary glucose excretion during the oral glucose tolerance test.
    These results suggest that the reduction of plasma 1, 5-AG concentration may be caused by the increased excretion of urinary glucose, due to concomitant excretion of 1, 5-AG in urine.
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