早期腎症でのcharge selectivityの障害を, 分子量が同じで荷電の異なるIgGとIgG
4のclearanceの比較により検討した. 対象は平均年齢60歳のNIDDM患者32名, 腎症なし14名, 早期腎症12名, 顕性腎症6名よりなる. 各例より, 午前尿, 運動時尿, 午後尿, 夜間尿の4部分時間尿の採取を行った. おのおのの部分尿において, 尿アルブミン排泄率 (AER), β
2MGを測定し, IgG/IgG
4clearance比によるselectivity index (SI) を求めた. 各部分尿でのAER<20 (A0), AER20~200 (A1), AER>200 (A2) におけるIgG clearanceは, A2のみA0, A1より高かった.SIは, A1ですでにA0に比べ著しく低下し, A2ではA1よりさらに低下を示し, SIとAERは有意に相関した (r=-0.60, p<0.001). β2MG clearanceは3群で同様であった. 時間尿に伴うAER, SIの変化は認めなかった.以上より, 早期腎症のcharge selectivity障害はsize selectivity障害に先行すると考えられた.
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