症例は41歳の女性.2000年1月, 急性に全身倦怠感, 口渇などの症状が発現, 当科を受診した.血糖437mg/d
l, 尿ケトン体陽性, 動脈血PH7.288, HCO
313.2mmol/
lであり, 糖尿病性ケトアシドーシスと診断されたが, Hb A
1cは6.3%とわずかに上昇しているのみであった.血清アミラーゼ, エラスタ-ゼ1, リパーゼのいずれも上昇していたが, 急性膵炎の所見はなかった.抗GAD抗体, ICA, 抗IA2抗体は陰性であった, 経過より劇症1型糖尿病と考えられたが, 入院時9.5μg/日と低下していた尿中Cペプチド値はその後32.0-34.6μg/日まで回復, アルギニン負荷試験にてもインスリン分泌反応を認めた.HLAは, A24, DRB1*0405, *0901, DQB1*0401, *0303を認めた.内因性インスリン分泌能の改善をみた劇症1型糖尿病の報告はなく, 興味ある症例と考えられた.
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