グリベンクラミド(以下GC)血糖低下作用が減弱した症例へのインスリン(以下In)抵抗性改善薬であるピオグリタゾン(以下Pio)併用の有効性を報告する.症例は未治療2型糖尿病患者で女性1例男性3例である.全例に0.625 mgのGCで治療を開始した.全例で血糖値,HbA
1cは低下し効果が確認された.投与継続中に効果の減弱が認められたため,3症例はGCの増量とブホルミン100 mgを追加投与した.一定期間有効であったがHbA
1cは徐々に上昇した.1症例は,GCを10 mgまで増量したが,HbA
1cが8%以上に上昇したため中間型Inの投与を開始した.4∼8単位のInと2.5∼5 mgのGCの併用でHbA
1cは8%以下に低下した.全例にPioを併用投与したところ,HbA
1cは低下し,In投与例でInが中止可能となり,全例GCは1.25 mg以下に減量することができ,2∼3年間HbA
1cは8%以下にコントロールされた.このことはIn抵抗性改善がGCの長期投与における作用減弱を補完しうることを示唆する所見と考えられた.
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