糖尿病
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50 巻, 5 号
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原著
  • —東神楽町検診受診者についての検討—
    相馬 光宏, 武藤 英二, 高後 裕
    2007 年 50 巻 5 号 p. 297-301
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    糖尿病を除外した東神楽町1993年度検診受診者542例(男性208例,女性334例)について,検診データを運動習慣別に検討し,その後10年間での糖尿病・脳梗塞の発症を追跡調査した.[成績](1) 運動習慣なしの群は運動習慣ありの群と比べて,FPG·HbA1cが有意に高く,HDLコレステロール(以下,HDL-C)が有意に低かった(性・年齢・喫煙量で補正).(2) 1週間に4日以上運動している者からは糖尿病・脳梗塞の発症がみられなかった.(3) 1993∼1996年度の夏・冬検診を連続受診した者のうち,運動習慣なしの群でのみ夏から冬の間でHDL-Cの有意の低下がみられた.[結語]運動習慣は糖・脂質代謝に好影響を及ぼし,糖尿病・脳梗塞の発症に防御的に働くことが示唆された.
  • —大垣病診連携研究—
    鈴木 厚, 藤谷 淳, 清田 篤志, 山内 雅裕, 柴田 大河, 青木 孝彦, 傍島 裕司
    2007 年 50 巻 5 号 p. 303-311
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    高度の合併症を持たない軽症糖尿病患者を対象に病診連携を開始し,4年間の経過から,病診連携の現状と問題点を明らかにした.病診連携で一般医に紹介した78例に対し,診療所の診療とは別に,当院への半年毎の受診と年に1回の合併症精査を行った.紹介から半年後に患者の満足度を調査し,4年間の診療状況と合併症の進行を調査した.半年後のアンケートでは8割の患者から満足が得られたが,紹介後の検査や治療変更に患者の不安や不満が見られた.4年間追跡が可能であった症例は69例であった.4年間病診連携を継続した52例のHbA1cは1年後から有意に上昇し(p<0.001), 4年後には当院で治療を継続した対照群より高い傾向を認めた(p=0.047). 病診連携を開始した患者における網膜症や腎症の進行した割合は対照群と同等であった.病診連携を行う場合,血糖の悪化に対する迅速な対応と合併症の定期的な検索を行うシステムの確立が必要である.
症例報告
  • 仲舛 純一, 村上 啓治
    2007 年 50 巻 5 号 p. 313-318
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    グリベンクラミド(以下GC)血糖低下作用が減弱した症例へのインスリン(以下In)抵抗性改善薬であるピオグリタゾン(以下Pio)併用の有効性を報告する.症例は未治療2型糖尿病患者で女性1例男性3例である.全例に0.625 mgのGCで治療を開始した.全例で血糖値,HbA1cは低下し効果が確認された.投与継続中に効果の減弱が認められたため,3症例はGCの増量とブホルミン100 mgを追加投与した.一定期間有効であったがHbA1cは徐々に上昇した.1症例は,GCを10 mgまで増量したが,HbA1cが8%以上に上昇したため中間型Inの投与を開始した.4∼8単位のInと2.5∼5 mgのGCの併用でHbA1cは8%以下に低下した.全例にPioを併用投与したところ,HbA1cは低下し,In投与例でInが中止可能となり,全例GCは1.25 mg以下に減量することができ,2∼3年間HbA1cは8%以下にコントロールされた.このことはIn抵抗性改善がGCの長期投与における作用減弱を補完しうることを示唆する所見と考えられた.
  • 進藤 美恵子, 吉田 英子, 瀧井 康, 永淵 正法, 浜口 和之, 熊本 俊秀, 原田 実根
    2007 年 50 巻 5 号 p. 319-322
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,男性.37歳時,重症筋無力症およびバセドウ病を発症.バセドウ病に対してはチアマゾール投与を,重症筋無力症に対しては胸腺全摘術およびプレドニゾロン(PSL)投与を行い症状は改善した.その際,耐糖能異常を指摘され,当初は食事療法のみでコントロールされていたがHbA1cが徐々に上昇したため43歳時より経口血糖降下薬が開始された.しかし,その後HbA1cはさらに上昇し,抗GAD抗体高値を認めたため緩徐進行1型糖尿病が疑われ,今回インスリン治療導入を行った.本症例は多腺性自己免疫症候群(polyglandular autoimmume syndrome: PGA)の3型と考えられるが,重症筋無力症,バセドウ病,緩徐進行1型糖尿病の3疾患を合併した稀な症例であり,文献的考察を加え報告する.
  • 中村 博志, 田中 正巳, 天野 雅久, 大村 豪, 石井 均
    2007 年 50 巻 5 号 p. 323-326
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例1: 58歳,女性.グリベンクラミド2.5 mg/日にて糖尿病治療中.HbA1c 9.8%. 発熱,悪寒を主訴に受診,腰部叩打痛を訴え,腹部CTで左腎腫大と内部ガス像を認め,気腫性腎盂腎炎と診断.症例2: 56歳,女性.インスリン4回注射で糖尿病治療中.HbA1c 13.1%. 1週間続く発熱と全身倦怠感のため受診,腹部CTで気腫性腎盂腎炎と診断.症例3: 66歳,男性.1週間続く全身倦怠感と前日からの嘔気のため受診.空腹時血糖735 mg/dl, HbA1c 11.4%から糖尿病と初めて診断された.腹部CTで右腎周囲の毛羽立ち像,内部ガス像を認め気腫性腎盂腎炎と診断.本疾患は予後不良例,外科的に治療される例も多いが,提示した3例はいずれも保存的治療のみで治癒した.本疾患では早期診断とともに,重症度に応じた的確な治療法の選択が重要である.予後因子を評価し,保存的治療が可能か否か検討することが必要である.
コメディカルコーナー・原著
  • —ランダム化比較試験—
    松岡 幸代, 佐野 喜子, 津崎 こころ, 同道 正行, 岡崎 研太郎, 佐藤 哲子, 鮒子田 睦子, 阿部 圭子, 東 あかね, 田嶋 佐 ...
    2007 年 50 巻 5 号 p. 327-331
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    耐糖能異常を伴う肥満者41名を同じ指示エネルギーの減量食群と,1日1食をフォーミュラ食(マイクロダイエット®; MD)に代替したMD群の2群に無作為に割り付けた.MD群では,減量食群に比べて早期(4週間)に減量効果がみられた(-1.3 kg vs. -3.0 kg; p=0.014). 空腹時血糖とHbA1c値は,MD群では介入12週間後に有意に低下したが,減量食群では有意な変化を認めなかった.収縮期血圧は両群で介入後に有意に低下したが,拡張期血圧と中性脂肪値はMD群でのみ有意に低下した.ビタミンB1, B2, B6, E, 鉄,カルシウムは,MD群で減量食群よりも有意に多く,減量時のビタミン,ミネラルの不足を回避できたが,減量食群では,蛋白質,鉄,B1, B2が有意に低下した.以上の成績は,フォーミュラ食を併用した減量プログラムが安全にかつ早期に減量効果が得られることを示している.
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