本態性高血圧症とインスリン感受性低下の関連をSteady State Plasma Glucose (SSPG) 法で検討した.対象は健常群7例, 境界域高血圧 (BLHT) 群10例, 本態性高血圧症 (HT) 群9例で, 非肥満 (body mass index<25kg/m
2), 75gOGTT正常例, 未治療である.本法で得たglucose clearance (GC) は健常群に比しBLHT群, HT群で有意に低値 (p<0.05, p<0.01) を示した.GCと収縮期血圧 (SBP), 拡張期血圧 (DBP), 平均血圧 (MAP) はいずれも有意な負の相関 (p<0.01, p<0.01, p<0.01) がみられた.7590GTT時basal IRIは各群間で差はなく, DBP, MAPと有意な正の相関 (p<0.05, p<0.05) があった.インスリン面積 (ΣIRI) は健常群に比しBLHT群およびHT群で有意に高値 (p<0.01, p<0.01) であり, DBP, MAPと有意な正の相関 (p<0.05, p<0.05) があった. また, SSPG法施行中血中カテコールアミンは増加せず, FENaは変化がみられなかった. 重回帰分析による検討ではSBP, DBP, MAPいずれもΣIRIに比しGCが最も強く関連 (p<0.01) がみられた.以上より本態性高血圧症における血圧は高インスリン血症よりもインスリン感受性低下とより強い関連を有する可能性が示唆された.
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