糖尿病
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47 巻, 4 号
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  • 鈴木 竜司, 島田 朗, 林 啓介, 猿田 享男
    2004 年 47 巻 4 号 p. 265-269
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    初診時HbA1c10%以上の血糖コントロール不良の2型糖尿病患者に対し, 短期間のインスリン治療で糖毒性をとり, ナテグリニドに切り換える検討を行った. 6カ月以上経過観察し, HbA1c6.5%未満に維持された症例を有効例とした. 41症例中, 有効例は33例 [HbA1c4.6~6.4 (5.7±0.5)%], 無効例は8例 [HbA1c6.9~10.7 (8.1±12)%] と有効例が多数を占めた. 両者で年齢, 男女比, BMI, 空腹時血中CPR, 切り換え前のインスリン使用量と使用期間に有意差はなかった. 罹病期間とSU薬服用期間は無効例で有意に長く, 内服への変更を考慮する際に重要な要素と考えられた. インスリン治療後の内服への変更はこれまでSU薬が中心であったが, 罹病期間の短い2型糖尿病では, 薬剤特性を考慮すると, ナテグリニドがまず試してみるべき候補薬剤であると考えられた.
  • 菅田 有紀子, 山田 和代, 原田 友美子, 川崎 史子, 斉藤 美恵子, 井上 寛, 松田 昌文, 松木 道裕, 衛藤 雅昭, 加来 浩平
    2004 年 47 巻 4 号 p. 271-275
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    【目的】インスリン強化療法導入2型糖尿病患者で, インスリン治療から離脱しえた症例 (離脱群), および継続を余儀なくされた症例 (継続群) について, 臨床的特徴を比較検討し, インスリン離脱の予測因子を解析した.【対象と方法】2型糖尿病患者83名を対象とした. 導入時にHbA1c, BMI, 罹病期間, 血清CPR, 24時間尿中CPRを, さらにHbA1c, インスリン投与量を経時的に測定した. 離脱の条件はHbA1c6.5%以下で投与量が0.3U/kg体重未満とした.【結果】離脱群42名, 継続群41名で, 年齢, 導入時のBMI, HbA1cに差はなかった. 罹病期間は離脱群で有意に短く (p<0.05), 離脱時のインスリン投与量とHbA1cは同時期の継続群に比べて有意に低かった (いずれもp<0,0001).【考察】罹病期間は離脱予測因子として, インスリン投与量およびHbA1c値は離脱の評価因子として有用である.
  • 浦川 英己, 勝木 顕, 松本 和隆, 丸山 範子, 森岡 浩平, 北川 良子, 堀 恭子, 中谷 中, 矢野 裕, 足立 幸彦, 住田 安 ...
    2004 年 47 巻 4 号 p. 277-282
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    日本人非肥満2型糖尿病患者のインスリン抵抗性に関連する因子を明らかにすることを目的とした, 非肥満2型糖尿病患者 (BMI<25) 149名を対象とし, インスリン抵抗性をグルコースクランプ法におけるブドウ糖注入率 (glucose infusion rate: GIR) で, 内臓, 皮下脂肪断面積を腹部computed tomography (CT) を用いて, さらに血清脂質を評価した. 非肥満2型糖尿病患者のGIRは, 内臓脂肪断面積 (r=-0.254, p<0.01), 皮下脂肪断面積 (r=-0.261, p<0.01), 血清中性脂肪値 (triglyceride: TG)(r=-0.180, p<0.05) と有意な負の相関を認めた. さらに, 内臓脂肪断面積は血清TG値と有意な正の相関 (r=0.299, p<0.01) を示した. 日本人非肥満2型糖尿病患者のグルコースクランプ法で評価したインスリン抵抗性は, 内臓, 皮下脂肪蓄積, 血清TG値と関連していた.
  • 後ろ向き調査によるグリベンクラミドとの比較検討
    滝澤 裕美子, 佐藤 譲, 高橋 和眞, 石原 寿光, 平井 完史, 片桐 秀樹, 檜尾 好徳, 鈴木 進, 岡 芳知
    2004 年 47 巻 4 号 p. 283-289
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    抗酸化作用や血小板凝固抑制作用などのあるグリクラジド (GCZ) には, その作用のないグリベンクラミド (GBC) に比較して, 糖尿病細小血管障害抑制作用がある可能性がある. 本研究ではGBCまたはGCZを投与された2型糖尿病患者を対象に, 糖尿病網膜症と腎症の発症までの期間に両薬剤間で差があるか否かを, 後ろ向き調歪によるKaplan-Meier法によって解析し, COx比例八ザード解析によって検定した. 糖尿病発症から網膜症発症までの期間はGBC群よりもGCZ投与群で有意に長く, 発症率も低かった. これに影響する独立因子は薬剤そのものの差ではなく, GCZ群で有意に低かった経過中の平均HbA1cと平均BMIであった. 糖尿病発症から微量アルブミン尿, 顕性蛋白尿出現までの期間には2群間で有意差はなかったが, 発症後約25年以上の顕性蛋白尿出現率はGCZ群で低い傾向にあった, 良好な血糖コントロールの網膜症発症抑制効果が再確認された. また, BMIと網膜症の関連が示唆された.
  • 上原 好, 宇都宮 一典, 蒲池 桂子, 吉原 理恵, 谷口 幹太, 横田 太持, 蔵田 英明, 松島 雅人, 田嶼 尚子
    2004 年 47 巻 4 号 p. 291-295
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症 (以下, 腎症) における低蛋白食の指導・実践に際して, 蛋白摂取量の簡便な客観的指標の臨床応用が望まれている. そこで, 随時尿中尿素窒素 (UN) 濃度に着目し, クレアチニン比で表したUN/Cr比と摂取蛋白量との相関を検討した. 腎症患者51名をCcr 30~60ml/min 31名 (A群), Ccr<30ml/min20名 (B群) の2群に分け, 摂取蛋白量を24時間蓄尿からMaroniの式により算出した, A群では随時尿UN/Cr比と摂取蛋白量に密接な正相関を認めた. さらに, ROC曲線 (曲線下面積0.88±0.07) の解析から, 随時尿UN/Cr比のカットオフポイントを4.46とすると, 摂取蛋白量08g/kg/日以上となる感度と特異度は, それぞれ90.48%, 77.78%を示した. B群でUN/Cr比と蛋白摂取量との間に相関は認められなかった. 低蛋白食の適応となるCcr 30~60ml/minでは, 随時尿のUN/Cr比が蛋白摂取量の簡易指標となることが示唆された.
  • 小林 由佳, 妹尾 高宏, 長谷川 剛二, 中村 直登, 吉田 俊秀
    2004 年 47 巻 4 号 p. 297-301
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は48歳, 男性. 通院・服薬のコンプライアンスが悪く, 糖尿病のコントロール不良であった. 全身倦怠感を主訴に救急受診. 低栄養状態, 著明な炎症反応, 発熱があり, 腹部超音波, CTにて肝両葉多発性の腫瘤, 腹水, 腸管浮腫を認めた. 第3入院病日には, 多量の左胸水が出現した. 腹水, 胸水中より複数の腸管内常在菌が検出された. 特に腹水は性状が漏出性であり, 漏出性腹水の存在下に細菌性感染が続発したものと推察された. 以上より, 本症例は血糖コントロール不良な糖尿病, 低栄養状態を基礎に肝膿瘍, 細菌性腹膜炎, 膿胸を発症したものであり, 腸管浮腫が存在したことより, その感染経路としてbacterial transbcationの関与が考えられた. 血糖コントロール不良な糖尿病では, 感染経路としてbacterial translocationも考慮する必要がある.
  • 出口 雅子, 日比野 康, 山田 恵三, 新谷 茂樹, 嶺尾 徹
    2004 年 47 巻 4 号 p. 303-307
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は62歳, 女性. 1999年7月に人間ドックに入院した際, 空腹時血糖値119mg/dl, たため当院外来を受診し, 血糖値520mg/dl, HbA1c12.4%, 尿ケトン陽性を認め入院となった. 内因性インスリン分泌は尿中CPR24μg/日, 血清CPR 0.3ng/ml (空腹時), 33ng/ml (食後2時間) と枯渇ではないものの低下していると推測され, IA-2抗体陽性, GAD抗体陰性で, 1型糖尿病と診断した. 入院直後よりインスリン治療を開始し, 退院後約6カ月間はインスリン治療なしでHbA1c 6.0%台の良好なコントロール状態であったが, その後再びインスリン治療を必要とした-現在にいたるまでIA-2抗体は持続陽性であるがGAD抗体は陰性のままで, HLAタイピングは日本人1型糖尿病感受性遺伝子であるDRB 1*0405-DQB 1*0401, DRB 1*0901-DQB 1*0303八プロタイプの双方を有していた. 高齢発症1型糖尿病でIA-2抗体のみ陽性を示す症例は稀であり, 報告した.
  • 中村 昭伸, 小野 百合
    2004 年 47 巻 4 号 p. 309-311
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病合併妊娠9例において静脈血漿血糖値 (a) と血糖自己測定値 (b) との差異を検討した. 妊娠初期~中期群ではaとbに有意差を認めなかったのに対し, 妊娠末期群ではbがaに比べ有意に低値を示した. また妊娠末期群では, aの100mg/dl未満群は100mg/dl以上群に比しa, b間の%誤差が大きい傾向を認めた. 妊娠末期にはbは低値の傾向を示し, 正常血糖値であっても低血糖と判断される危険性も高いと考えられた.
  • 受診全糖尿病患者の通院状況と通院中断理由
    菅原 薫, 片貝 貞江, 飯泉 恵子, 本橋 しのぶ, 酒井 百合子, 岩永 志律子, 川井 紘一
    2004 年 47 巻 4 号 p. 313-318
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病では, 治療中断により合併症が進展, 増悪することが知られている. 当院では来院患者の治療継続を支援するため, 治療中断予防指導と共に通院中断者の調査を毎月行い, 中断者には電話での呼びかけを行う等の治療継続援助対策を行っている. また, 開院時からの全来院糖尿病患者のデータベースをCoDiC®を用い作成している. そこで, 来院患者の通院状況を分析し, 当院治療継続援助対策の有効性を評価した. 月当りの治療中断率 (来院指示に従わない3カ月以上の通院中断) は99年1.6%より02年08%へと減少 (p<0.0003), 初診後6カ月以内の治療中断にも減少がみられ, 現在の治療継続援助対策が有効と判断した. 治療中断者の特性には既報と大差がないことより, 医療者は初診時に治療中断が起こりやすい状況にある患者を把握し, そのような患者には治療中断が起こらないような対策をとることが重要と考える.
  • 2004 年 47 巻 4 号 p. 319-352
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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