糖尿病
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32 巻, 8 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 松葉 育郎, 鶴岡 明, 蔵田 英明, 種瀬 富男, 池田 義雄
    1989 年 32 巻 8 号 p. 567-572
    発行日: 1989/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ハムスターインスリノーマ (In-111RI) を膵抗原とした膵島細胞質抗体 (ICA) の測定法を検討した. 対照抗原として白血病由来リンパ球細胞質 (CRF-CEM) を用いて, In-111RIとの混合細胞浮遊液よりスタンプ標本を作製した. これを用いた間接螢光抗体法にてICAを測定した. 本法では, In-111RIの細胞質にのみ特異的螢光が認められた場合を陽性と判定し, その最終稀釈価をもって表現した. 従来のヒト膵法と比較した. ICA陰性検体では一致率は良好だが, ICA陽性検体では可成りの不一致が認められた. 本法では抗核抗体 (FANA) およびICA以外の細胞質螢光反応を識別することが可能であった. 本法におけるICAの出現率は, インスリン依存型糖尿病患者 (IDDM) で20%認められ, 正常健常者の9.6%より高率に認められた. また, ICAの力価は, IDDMで高力価を示した.
  • 人工膵島による検討
    伊藤 景樹, 三村 明, 野村 幸史, 鶴岡 明, 佐々木 敬, 斉藤 茂, 景山 茂, 池田 義雄
    1989 年 32 巻 8 号 p. 573-577
    発行日: 1989/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    α-glucosidase阻害剤であるAcarboseの血糖コントロールに及ぼす影響を検討するため, インスリン依存型糖尿病8例を対象とし, Acarbose 100mg (以下A) あるいはプラセボ錠 (以下P) を各食前に経口投与し人工膵島 (Biostator®) によるfeedback controlの成績を比較した. 各食前から食後3時間までのインスリン需要量はAでは朝食14.8±1.5U, 昼食9.4±1.1U, 夕食11.1±1.2Uであり, Pでの朝食18.9±1.8U, 昼食12.9±1.2U, 夕食14.3±1.0Uに比較し昼食と夕食において有意に低下した. 食事開始より食後最高血糖値に達する時間はAでは朝食145±27分, 昼食133±27分, 夕食136±22分であり, Pでの朝食68±7分, 昼食72±18分, 夕食93±13分に比較し朝食と昼食において有意に延長した. 人工膵島を応用してAの糖質吸収抑制作用を検討した結果, A投与時には食後血糖の上昇が緩やかになり, 人工膵島によるインスリン需要量の減少を認めた.
  • 河原 玲子, 兼松 幸子, 吉野 正代, 雨宮 禎子, 古守 知典, 平田 幸正
    1989 年 32 巻 8 号 p. 579-584
    発行日: 1989/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン治療中の小児IDDM80名と年齢をマッチさせた非糖尿病児34名の血清フルクトサミン (FRA) を測定しその意義を検討した. 1) 非糖尿病群およびIDDMのFRAは10歳以下でそれ以上より有意に低値であった. また非糖尿病群ではFRAと年齢との問に正相関があった (r=0.74, p<0.01). 2) 同時測定のFRAとA1cはr=0.79, FRAと血糖はr=0.29, A1cと血糖はr=0.55でいずれも有意な相関がみられた. しかし過去1~4週間の食前血糖平均値とFRAまたはA1cとの間に相関は認められなかった. 3) SMBG施行13名のFRAは3.99±0.69mmol/l, A1cは8.9±1.1%でともに高値であった. 4) 月1回の受診で過去3ヵ月間FPGが120mg/dl以下であった10名のFRAは3.65±0.50mmol/l, A1cは7.8±1.1%で, FPG200mg/dl以上の10名に比しどちらも有意に低値であった. 以上より小児IDDMにおいてFRAはA1cとほぼ同等に有用と思われた. なお今回の検討ではFRAがより短期間の指標になるという成績は得られなかった.
  • 日比 晶
    1989 年 32 巻 8 号 p. 585-591
    発行日: 1989/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    高浸透圧性非ケトン性昏睡の病態におけるvasopressin (VP) の関与を明らかにする目的で, 糖尿病および正常対照ラットにVPを2時間持続注入し, 血中ブドウ糖, ケトン体, FFA, グリセロール, グルカゴンおよびインスリンを測定した. 高濃度VPの持続注入 (1.2U/kg/時) にて血糖は63%, グルカゴンは600%上昇, ケトン体は30分で22%の低下を示したあと前値へ復した. 低濃度VP注入 (0.06U/kg/時) では血糖, グルカゴンは上昇せず, 対照の生食負荷で認められたケトン体上昇は抑制された. VPとソマトスタチン (100μg/kg/時) の同時注入下ではグルカゴン分泌は抑制され, 血糖は25%上昇, ケトン体は30%の有意の持続性低下を示した. FFAは血中ケトン体の低下と必ずしも平行せず, VPによるケトン体の低下は肝における産生の抑制と想定された. これらのことは, VPが非ケトン性昏睡の病態に関与している可能性を示すものと考えられる
  • 杉山 泰雄, 小高 裕之, 志村 佳子, 池田 衡, 松尾 隆夫, 阿部 茂樹, 鈴木 研一, 後藤 由夫
    1989 年 32 巻 8 号 p. 593-599
    発行日: 1989/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    自然発症糖尿病GKラットの糖代謝におけるインスリン (以下INSと略す) 感受性をeuglycemic clamp法と放射性同位元素を用いた糖代謝速度測定法を組合せて算定した. 対照ラットでは120mU/hのINS注入による恒常血漿INS (以下SSPIと略す) の上昇に応じて, 末梢組織による糖利用は1.9倍に増加し肝の糖産生 (HGP) は完全に抑制された. 血漿グルコースおよびINSが高値のGKラットでは, INS注入によりSSPIは上昇し恒常血漿グルコースは正常範囲に低下した. SSPIに対する糖利用反応曲線は対照ラットと差を認めなかったが, 糖産生はINS注入により抑制されなかった. 肝のフルクトース-2, 6-ビスリン酸含量は, 対照ラットではINS投与により増加したがGKラットでは増加せず有意に低かった. GKラットの単離脂肪細胞における糖利用にINS感受性の低下は認められなかった. これらの成績はGKラットの肝臓にINS耐性が存在しそれに基づくHGPの増加が高血糖の発症に寄与していることを示す.
  • 宮川 高一, 中村 仁, 佐藤 栄子, 藤崎 知文, 伊藤 芳樹, 中野 忠澄
    1989 年 32 巻 8 号 p. 601-607
    発行日: 1989/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病にガス産生感染症を合併しやすいことが知られている. 今回我々は非クロストリジウム性ガス産生肛門・会陰部壊疽の1例を経験した. 症例は57歳, 女性. 肛門周囲から会陰部・右大陰唇にかけ黒色の壊死組織を認め, 右鼠径部から下腹部にかけて腫脹し, 一部に径10cm大の膿瘍を形成, 前腹壁の皮下には広範に気腫が存在していた。直ちに外科的に排膿切開し, 抗生剤投与及び厳密な血糖コントロールにて救命した. 本症例はStoneらのいうsynergistic necrotizing cellulitisであり, 広範なガス産生に至ったものとおもわれ, Fournier's gangreneと同様の病態と考えられた. 起炎菌は大腸菌とバクテロイデスであり, 好気性菌と嫌気性菌間のsynergisti actionを糖尿病が助長したと考えられた1例であった. Synergistic necrotizing cellulitisは糖尿病などの基礎疾患があると合併しやすく, また死亡率も高いことから注意すべき病態とおもわれ報告した.
  • 根岸 清彦, 河津 捷二, 鈴木 将夫, 渡辺 敏郎, 高橋 修樹, 春藤 俊一郎, 森谷 茂樹, 石井 淳, 米田 嘉重郎
    1989 年 32 巻 8 号 p. 609-612
    発行日: 1989/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    We examined the effects of interleukin-1 (IL-1), a product of macrophages on rat islet insulin secretory function using neonatal rat pancreatic monolayers. Rat IL-1 was derived from Wistar rat peritoneal macrophages stimulated by silica in vitro.
    Addition of rat IL-1 containing supernatant to the culture for 4 days inhibited insulin release by 40% to the control levels, and reduced insulin content by 60% at a concentration of 10%(V/V). This effect was dose dependent and reproducible. We also assessed the effects of human rIL-1β on the culture. Dose dependent inhibitory effects on insulin release and content similar to those of rat IL-1 were observed with 0.5 to 5.0u/ml of hrIL-1.
    On the other hand, in short incubation studies, hrIL-1stimulated insulin release from the pancreatic monolayers after 2 hrs in the culture.
    Morphological studies showed that these actions of IL-1 did not appear to account for pancreatic islet destruction.
    These data suggest that IL-1 could play an important role as a potent modulator of insulin secretion, and it could be hypothesized that involved in a pathogenic role in type 1 diabetes mellitus.
  • 1989 年 32 巻 8 号 p. 613-627
    発行日: 1989/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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