咽頭食道透視検査で誤嚥の観察された95症例に対して誤嚥の消失する嚥下姿勢を指導し, 嚥下動態の障害因子と姿勢指導の有効性との関係を検討した. 姿勢指導は72%の症例に有効であったが, この内37%の症例には1回嚥下量の指導も必要であった. 各障害因子に対する姿勢指導の有効率は, 舌根運動の障害76%, 嚥下反射の遅延74%, 喉頭挙上障害74%, 喉頭麻痺73%, 口腔期の障害68%, 食道入口部の開大不全57%で, 喉頭麻痺には回旋位または前屈位+回旋位, 他の障害因子に対しては前屈位または前屈位+回旋位の指導の有効率が高かった. 一方, 食道入口部の開大不全や障害因子を重複する症例では, 姿勢指導の有効性が低くなる可能性が示唆された.
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