日本耳鼻咽喉科学会会報
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100 巻, 2 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 井之口 昭, 劉 飛, 横光 智, 嬉野 元喜, 小宮山 荘太郎
    1997 年 100 巻 2 号 p. 199-204
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    麻酔下モルモットを用いてカロリック刺激に対する血圧の変動様式と視床下部室傍核ニューロンの応答との関係および刺激の強弱, 麻酔深度や視床下部破壊の血圧変動様式に与える影響について検討した. 血圧が下降後上昇をした際には92%の室傍核ニューロンが応答したが, 血圧反応様式が下降, 無反応を示した際にはニューロンの応答率は各々63%, 0%に低下し, 視床下部に到達する前庭入力の多寡が血圧変動の様式に影響すると考えられた. 同一量の温刺激を経時的に加えると時間の経過とともに血圧上昇の成分が増加した. また視床下部を破壊すると刺激後の血圧変動が減弱し, 前庭性心血管反応を司る神経性調節機構への視床下部ニューロンの関与が示唆された.
  • 小坂 和己
    1997 年 100 巻 2 号 p. 205-212
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    内耳自己抗体を同定するためにめまいおよび難聴患者277名の血清を用い, 牛内耳組織を抗原としたWestern blotting法で内耳自己抗体をスクリーニングし, 臨床症状, 経過, 原因疾患, 年齢, 抗核抗体の有無に関して検討を試みた. 分子量68kD蛋白では, めまいおよび難聴患者において難聴が高度になるほど, また聴力変動する難聴患者血清では陽性率が有意に高く, さらに進行性感音難聴患者14名中9名 (64.3%) に反応陽性例を認めた. めまいおよび難聴患者の一部には, 分子量68kD蛋白を介しての自己免疫学的機序が感音難聴, 特に進行性感音難聴の発症因子として, 重要な役割を演じている可能性が示唆された.
  • 中溝 宗永, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 苦瓜 知彦, 保喜 克文
    1997 年 100 巻 2 号 p. 213-219
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    喉頭全摘出術後の咽頭皮膚瘻の発生頻度と治癒過程について手術時の年齢, 術前の照射線量, 頸部郭清の有無・内容との関係を明らかにするため319例の喉頭全摘出術の術後経過の統計的検討を行った. その結果, 手術時の年齢と頸部郭清の有無・内容と瘻孔発生とには有意差を認めなかったが, 術前の照射線量と瘻孔発生には関係が認められ, 60Gy以上の症例では瘻孔発生率が高く, 手術で閉鎖する必要のある症例が多かった. 瘻孔発生率は全期間では9.4%であったが, 最近では改善傾向があり2%台であった. その要因として照射線量の少ない症例の増加と術者間での偏りの少ない手術手技が考えられた.
  • 大前 由紀雄, 唐帆 健浩, 羽生 よう子, 村瀬 優子, 北原 哲, 井上 鐵三
    1997 年 100 巻 2 号 p. 220-226
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    咽頭食道透視検査で誤嚥の観察された95症例に対して誤嚥の消失する嚥下姿勢を指導し, 嚥下動態の障害因子と姿勢指導の有効性との関係を検討した. 姿勢指導は72%の症例に有効であったが, この内37%の症例には1回嚥下量の指導も必要であった. 各障害因子に対する姿勢指導の有効率は, 舌根運動の障害76%, 嚥下反射の遅延74%, 喉頭挙上障害74%, 喉頭麻痺73%, 口腔期の障害68%, 食道入口部の開大不全57%で, 喉頭麻痺には回旋位または前屈位+回旋位, 他の障害因子に対しては前屈位または前屈位+回旋位の指導の有効率が高かった. 一方, 食道入口部の開大不全や障害因子を重複する症例では, 姿勢指導の有効性が低くなる可能性が示唆された.
  • 安田 健二
    1997 年 100 巻 2 号 p. 227-235
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    除脳, 非動化, 人工呼吸下ネコを用いて, 上喉頭神経単発電気刺激により誘発される横隔神経活動の変化および延髄呼吸性喉頭運動ニューロンに発生する抑制性シナプス後電位 (IPSPs) の電気生理学的特性および薬理学的性質について検討した. 吸息相刺激では吸息性喉頭運動ニューロンに, 呼息相刺激では呼息性喉頭運動ニューロンに長いIPSPsが誘発され, 横隔神経の反射性応答と一致し, これらIPSPsは, 電気泳動適用されたビククリンにより減少した. これより, 上喉頭神経刺激により誘発される長い潜時のIPSPsは, 呼吸中枢神経回路を経由する多シナプス経路を介して伝達され, その最終経路にGABAA受容体機構が関与していることが示唆された.
  • モルモットにおける検討
    篠原 孝之
    1997 年 100 巻 2 号 p. 236-243
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    内耳圧や脳脊髄圧変化に伴って生ずる低音障害型難聴の成因は内耳感覚器と内耳伝音系の障害によるとされているが, 耳小骨振動様式の変化も関与している可能性がある. 本実験ではモルモットの内耳圧や脳脊髄圧を変化させて鼓膜臍とキヌタ骨の振動をレーザードップラー振動速度計で測定し, 圧変化の影響を検討した. その結果, 内耳に陽圧あるいは陰圧を負荷したところ鼓膜臍の振動は主に低音域で抑制された. また脳脊髄圧を上昇させたところ, 鼓膜臍とキヌタ骨の振動変化は低音域でほぼ同程度であった. 以上より内耳圧や脳脊髄圧の変化は耳小骨振動特性を変化させ中耳伝音系に影響を与えうることを明らかにした.
  • 山形 和彦
    1997 年 100 巻 2 号 p. 244-252
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ラット内喉頭筋の分化発育様式を神経下装置と筋線維タイプから検討を加え, 四肢筋の場合と比較した. 生後5日まで各筋間に差はなかった. 生後15日において, 内喉頭筋は四肢筋より早い発育を示した. 生後30日において輪状甲状筋および甲状披裂筋は後輪状披裂筋より発育が早かった. また, 長指伸筋は成熟し内喉頭筋より発育が進み, ヒラメ筋は最も発育が遅れていた. 内喉頭筋間で差が生じたのは, 系統発生学的な相違に加えて, 下気道防御の重要性のためと推測した. また, 生後は哺乳に関する内喉頭筋が早期に発育し, 生後15日以降は歩行に関する下肢筋の発育が進み, 筋活動の相違により筋の分化発育は異なることが示唆された.
  • 森 直樹
    1997 年 100 巻 2 号 p. 253-263
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1978年に原田は平衡斑支持細胞からの球状の突出物をX線マイクロアナライザーを用いて分析し, カルシウムが含まれていることを認め, これが耳石の前駆体であり, 耳石の生成部位は平衡斑支持細胞であると唱えた. しかしながら, 支持細胞において耳石生成過程における細胞内カルシウムの経路は明らかとなっていない. そこで今回私は器官培養法を用い, カルシウムイオンに特異性の高いピロアンチモン酸カリウムによる卵形嚢支持細胞内のカルシウムイオンの局在と, さらに, ストレプトマイシン暴露によるカルシウムの局在変化を観察し, 耳石形成と平衡斑支持細胞の関係を明らかにしたので報告する.
  • 谷川 徹
    1997 年 100 巻 2 号 p. 264-275
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    モルモット前庭I型単離有毛細胞に神経伝達物質を負荷し, 形態変化を観察した. フィゾスチグミン+アセチルコリン負荷で, 細胞の頸部が短縮し, F-アクチンの局在にも変化を認めた. グルタミン酸負荷でも形態変化を認めた. 以上より, 遠心性神経及び神経杯部の伝達物質は有毛細胞の運動性に影響を与え, その機構にF-アクチンの関与することが示唆された. ウシガエル単離有毛細胞でも同様に, アセチルコリンの負荷により細胞の長径の短縮を認めた. 同時に, 自発放電数と時定数が減少し, 求心性神経の活動が抑制されていることが明らかになった. 以上より, 前庭有毛細胞では遠心性神経のもたらす運動性と膜電位の変化は順応機構に影響を与え, さらに求心性神経の活動を抑制し, 興奮伝達機構に対して能動的な制御を行っているものと思われた.
  • 眼振の三次元解析から
    潮 建司朗
    1997 年 100 巻 2 号 p. 276-282
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    コンピュータ画像認識システムを用いて眼球運動の三次元解析を行い, 良性発作性頭位眩暈症の病巣局在について検討した. 良性発作性頭位眩暈症例の頭位変換眼振の最大緩徐相速度の垂直成分と回旋成分の比率を比較した結果, 回旋成分の方が垂直成分よりも有意に大きかった. また, 振子様回転検査で健常者および, 一側内耳機能廃絶例に垂直半規管刺激を加え生じた眼球運動の振幅の垂直成分と回旋成分の比率を比較した結果, 垂直成分の方が回旋成分よりも大きかった. 以上の結果から, 良性発作頭位眩暈症例の病巣が垂直半規管, 特に後半規管のみに限局しているとは考えにくいと思われた.
  • 味覚障害 (CT, MRI, 味覚検査)
    池田 稔
    1997 年 100 巻 2 号 p. 284-287
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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