最近9年間に経験した先天性真珠腫38症例40耳および内外の文献から, 先天性真珠腫の局在部位, 形状, 耳小骨奇形との関連について検討した. その結果, 1. 自験例を含めた本邦報告例 (95耳) では, 中鼓室後上部 (PSQ) を占める小真珠腫 (33耳) が同前上部 (ASQ) を占める小真珠腫 (14耳) より多く, いわゆるopen-typeの真珠腫も19%みられ, アメリカ合衆国, カナダの報告とは異なる傾向がみられた. 2. 耳小骨奇形と先天性真珠腫の合併している症例では, PSQや上鼓室にopen-typeの真珠腫の存在する場合が多く, 奇形はキヌタ骨長脚, アブミ骨上部構造の欠損が主であった.
今後更に, 初期先天性真珠腫症例の蓄積と詳細な解析, 胎生学的研究が必要と考えられる.
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