日本耳鼻咽喉科学会会報
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99 巻, 9 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 久 和孝, 小宗 静男, 小宮山 荘太郎, 中村 恭子
    1996 年 99 巻 9 号 p. 1157-1161,1233
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    抗カルジオリピン抗体陽性を示した急性感音難聴を3例経験した. 抗カルジオリピン抗体による内耳血管の血栓症が急性感音難聴の原因であろうと推察した. 障害部位は, 症例1では低音域の聴力障害があり迷路機能低下を認めなかったことから蝸牛の頂回転, 症例2では全周波数での聴力障害および迷路機能低下を認めたことから蝸牛および前庭, 症例3では全周波数での聴力障害があり迷路機能低下を認めなかったことから蝸牛全回転であることが推察された. 治療は, ステロイド以外にプロスタグランジンE1や塩酸チクロピジンが有効であることが示唆された.
  • 中林 成一郎, 鈴木 直弘, 中塚 滋, 池田 勝久, 高坂 知節, 稲村 直樹
    1996 年 99 巻 9 号 p. 1162-1171,1233
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    大量飛散年となった1995年において, スギ花粉症患者25名に対し, 塩酸アゼラスチン使用下でプロピオン酸フルチカゾン (以下FP) 点鼻の初期治療を行い, FP点鼻の初期治療の有効性を検討した. 方法は, 自覚症状, 他覚所見及び免疫染色を用いた観察による. 結果は, FP点鼻の初期治療を行うと自他覚所見のほぼすべての項目で症状が抑制されていた. 免疫染色ではmast cell tryptase陽性細胞, EG2陽性細胞は浸潤が抑制されなかったが, CD68陽性細胞は浸潤が有意に抑制されていた. 従って, FP点鼻の初期治療を行うことにより, すべての炎症細胞の浸潤を抑制するには至らなかったが, 大量飛散年においても良好な治療成績を得られることが判明した.
  • 高村 博光, 高崎 賢治, 弦本 日芳, 神田 幸彦, 小林 俊光, 吉見 龍一郎
    1996 年 99 巻 9 号 p. 1172-1175,1233
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    近年の鼻アレルギーの増加とともに鼻茸組織中への好酸球浸潤が目立つ症例が増え, アレルギーとの関連が注目されている.
    今回鼻茸切除により得られたパラフィン切片を用い, 鼻茸組織中に浸潤した好酸球に注目し, その浸潤度と組織型との関係を病理組織学的に検討するとともに, 活性化好酸球についてEG1抗体, EG2抗体を用い免疫組織学的にも検討した.
    組織型では浮腫型が最も多く, ついで腺嚢胞型, 線維型であった. 好酸球浸潤は浮腫型を含む組織型で目立った. また鼻茸組織中に浸潤した好酸球は高率に活性化しており, 鼻茸の遷延化の一因である可能性が示唆された.
  • 波多野 吟哉
    1996 年 99 巻 9 号 p. 1176-1184,1233
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    前庭の代償過程における頸部深部知覚の役割を検討する目的で, 一側前庭機能障害者98名に頸部振動刺激を行い, 体平衡に及ぼす影響を検討した. 頸部振動刺激により前後左右の動揺が有意に増大し, 前庭代償がすでになされていると考えられた症例では, 位置ベクトルは患側に大きく, 動揺中心は患側に偏位した. 急性一側性前庭機能障害である前庭神経炎の例では, 経過とともに前庭代償がなされるに従い, 頸部振動刺激による動揺中心は, 患側に偏位した. 以上のことから, 前庭の代償過程に頸部の入力が重要な働きをしていると考えられた.
  • 樋口 栄作, 飯塚 桂司, 庄田 英明, 武市 紀人
    1996 年 99 巻 9 号 p. 1185-1189,1235
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    当科で治療を行った下咽頭癌新鮮例41例の臨床的検討を行った. 当科の治療方針は, 化学療法と放射線治療, 手術療法を組み合わせた集学的治療であり, 全症例の累積5年生存率は23.0%で, stage別の5年生存率はatage Iとstage IIがそれぞれ0%, stage IIIが46.3%, stage IVが0%であった. 根治治療群25例と, 非根治療群16例の他病死を除く5年生存率は, それぞれ53.1%と0%で両群に有意差が認められた. stageは必ずしも下咽頭癌の予後の指標にならなかった. 根治手術を行った症例は予後が良好であり, 根治照射を行った症例は予後不良であることが結論として得られた.
  • 苦瓜 知彦, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 中溝 宗永, 保喜 克文, 三谷 浩樹, 永橋 立望, 横島 一彦, 吉本 世一
    1996 年 99 巻 9 号 p. 1190-1199,1235
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    癌研究会附属病院頭頸科において, 過去20年間に治療した中咽頭側壁型扁平上皮癌79例の臨床像, 病理像, 治療法, 生存率の見直しを行い, 予後を左右する因子について検討した. 病期分類では, T4, N2b以上, Stage IVの治療成績は有意に不良であった. 年齢, 腫瘍の進展範囲, 肉眼的性状, 病理学的分化度は, 多変量解析の結果, 有意な予後因子とは証明されなかった. 放射線感受性の違いも生存率に影響しなかった. Stage IIIに対して手術を行った群の生存率は, 根治照射を行った群よりも有意に良かったか, その最大の要因は原発巣制御率の違いであった. 特にT3症例に対しては手術が望ましいことが示唆された.
  • 自験40耳と文献的考察
    末武 光子, 小林 俊光, 佐々木 直子, 高坂 知節, 湯浅 涼
    1996 年 99 巻 9 号 p. 1200-1207,1235
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    最近9年間に経験した先天性真珠腫38症例40耳および内外の文献から, 先天性真珠腫の局在部位, 形状, 耳小骨奇形との関連について検討した. その結果, 1. 自験例を含めた本邦報告例 (95耳) では, 中鼓室後上部 (PSQ) を占める小真珠腫 (33耳) が同前上部 (ASQ) を占める小真珠腫 (14耳) より多く, いわゆるopen-typeの真珠腫も19%みられ, アメリカ合衆国, カナダの報告とは異なる傾向がみられた. 2. 耳小骨奇形と先天性真珠腫の合併している症例では, PSQや上鼓室にopen-typeの真珠腫の存在する場合が多く, 奇形はキヌタ骨長脚, アブミ骨上部構造の欠損が主であった.
    今後更に, 初期先天性真珠腫症例の蓄積と詳細な解析, 胎生学的研究が必要と考えられる.
  • 久我 むつみ
    1996 年 99 巻 9 号 p. 1208-1217,1235
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    本研究は妊娠による味覚機能の変動の詳細を検討したものである. 妊婦97例を対象に妊娠後の味覚につき問珍し味覚検査を行った. 32例については, 経時的な味覚機能の変化の検討を行った. 72例については, 血清微量元素の測定も行った. 対照は健常女性30例とし, 妊婦, 対照とも検査は全例同一検者が行った. 妊婦の味覚域値は妊娠前期から中期に, 非妊娠女性に比べ有意に上昇していた. 妊婦の血清亜鉛値は妊娠中期から後期に低下する傾向を認めた. 従って妊娠初期の味覚障害の成因を亜鉛欠乏との関連のみで説明づけることは困難であると思われた.
  • 西野 宏, 阿部 弘一, 五十嵐 丈人, 宮田 守, 喜多村 健
    1996 年 99 巻 9 号 p. 1218-1222,1237
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    再発・転移頭頸部扁平上皮癌症例にcisplatin (CDDP) 少量連続投与を行った. 対象は男6例, 年齢64~86歳 (平均75歳), 部位では喉頭2例, 上咽頭1例, 頸部リンパ節1例, 遠隔転移巣2例 (原発; 喉頭1例, 上顎1例) であった. CDDP 10mg/mm2を1日量として24時間連続7日間投与を1クールとし, 1クール行ったのが2例, 4-6週間の間隔をおき2クール行ったのが4例であった. 奏効度は有効2例, 進行4例で奏効率が33%であった. 有効の2例の有効期間は244日, 55日, 全奏効期間は357日, 104日, 治療開始後の生存期間はいずれも12ヵ月で, 1例は退院し社会生活に復帰できた. 副作用は認めなかった.
  • 鼻副鼻腔のMRIとAcoustic Rhinometry
    加瀬 康弘
    1996 年 99 巻 9 号 p. 1224-1227
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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