日本耳鼻咽喉科学会会報
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109 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 側頭骨•頭頸部領域の疾患を中心に
    福田 諭
    2006 年 109 巻 3 号 p. 139-141
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科•頭頸部外科領域の手術における光学式ナビゲーションシステムの応用について,169例の経験から特に側頭骨領域ならびに頭頸部領域(良性腫瘍を含む)に関して具体的な症例呈示も含めて概説した.
    実際の手術に際しては,側頭骨•頭頸部領域ともに,骨切りライン,切除ライン,削開ラインの設定•確認(境目の見極め)や的確な解剖学的位置の三次元的把握に有用であった.具体的には,側頭骨領域では再手術例,先天性外耳道閉鎖症,頭頸部領域では骨腫,線維性骨異形成症,鼻咽腔血管線維腫,頭蓋底を含む上顎癌症例などに対して有用であった.
    複雑かつ個人差の大きな耳鼻咽喉科•頭頸部外科領域の手術において,術野における解剖学的位置の確認や三次元的把握,より安全で正確な手術,また学生•研修医の教育という面からもこのシステムは有用であると思われた.
    精度の向上,registrationの時間,価格,適応,軟部組織での応用など症例を重ねるにつれ細かい問題点も明らかになってきており,これらについては更なる検討が必要である.
  • 飯尾 光博, 本間 明宏, 古田 康, 福田 諭
    2006 年 109 巻 3 号 p. 142-148
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    嗅神経芽細胞腫の組織像は多彩な所見を示すので術前の病理組織診断はしばしば困難であるが,そのMRIの画像診断に関する報告は少ない.ここでは嗅神経芽細胞腫のMRIを検討し,診断における有用性についての知見を得ることを目的とする.
    対象は,1980から2004年までに北海道大学病院耳鼻咽喉科およびその関連病院にて診断および治療を行った嗅神経芽細胞腫症例のうちMRIが撮影された12症例である.9例はCTも撮影された.MRIとCTの所見,腫瘍辺縁の性状,形状,腫瘍内辺縁の嚢胞性変化の有無について検討した.
    MRI12例のうち,T1強調像(T1)を行った11例全例が低信号,T2強調像(T2)を行った8例全例が高信号を示した.11例中10例においてガドリニウム(Gd)で著明に造影され,大部分が内部均一,辺縁明瞭,辺縁平滑に造影された.一方,CTでは単純または造影で9例中8例の腫瘍の辺縁が不明瞭であった.嚢胞性変化は,12例中6例(50%)のMRIで認めた.CTでは頭蓋底浸潤を検出できなかった1例でもMRIでは検出できた.
    T1で低信号,T2で高信号,Gdで内部均一,辺縁明瞭,辺縁平滑で著明に造影される鼻腔上方•篩骨洞の腫瘍は,嗅神経芽細胞腫を念頭におき生検を施行する必要がある.嗅神経芽細胞腫のMRIでは,T2とGd造影像に着目すべきで,CTに比べ進展範囲をより正確に検索でき,特徴的な所見も示した.
  • 久保田 彰, 古川 まどか, 小松 正規, 花村 英明, 杉山 正人
    2006 年 109 巻 3 号 p. 149-156
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    化学放射線同時併用療法(CDDP/5-FU)後のadjuvant chemotherapyの有用性を検討した.対象は前治療のない根治切除可能な頭頸部扁平上皮癌の41例で,病期はIIIが9例,IVが32例で,下咽頭が14例,喉頭が12例,口腔が9例,中咽頭が6例であった.放射線終了1ヵ月後から外来でUFTE顆粒を400mg/日の連日内服とNedaplatinを80mg/m2の点滴を4週ごとに6コースを計画した27例をadjuvant群とし,adjuvant chemotherapyを希望しなかった14例を対照群として生存率,progression free survival (PFS)率をWilcoxon法で検定した.Adjuvant群の投与回数の中央値は6コース(1-6コース)でgrade3の毒性は白血球減少を15.4%,血小板減少を7.7%に認めた.1例が胃潰瘍で死亡した.生存期間の平均はadjuvant群が30.1月(5.5-50.1月),対照群は21.7月(6.6-48.3)で,PFSの平均はadjuvant群が22.8月(3.6-50.1月),対照群は16.3月(4.0-48.8月)であった.2年生存率はadjuvant群が73.7%,対照群が55.7%で,2年PFS率はadjuvant群が66.9%と対照群の27.8%より有意に良好であった(p=0.03290).特に同時併用の奏効度がPRではadjuvant群の2年PFS率は59.3%と対照群の15.6%より良好であった(p=0.01102).局所•頸部リンパ節再発はadjuvant群が29.6%と対照群の64.3%より低い傾向であった(p=0.0716).両群とも遠隔転移はなかった.臓器温存率はadjuvant群が66.7%と対照群の35.7%より高かった(p=0.1183).化学放射線同時併用療法後のadjuvant chemotherapyは局所再発率を減少することが示唆された.
  • 太田 康, 椿 恵樹, 山本 昌範, 児玉 梢, 牧野 伸子, 石川 敏夫, 市村 恵一
    2006 年 109 巻 3 号 p. 157-162
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    好酸球性副鼻腔炎患者7人に対し,フルチカゾン噴霧を通常投与量の倍量(1日4回)3ヵ月間投与しその効果を検討したところ,いずれも鼻漏,鼻閉といった鼻症状は軽快し,症状の経過は良好であった.また,副鼻腔CT上も若干の軽快が認められた.一方嗅覚障害は軽快することがなく,フルチカゾン噴霧療法ではその治療に限界があると考えられた.好酸球性副鼻腔炎症例に対しては,フルチカゾン噴霧療法(倍量投与)がある程度の効果が期待できると考えられた.
  • 上野 ゆみ
    2006 年 109 巻 3 号 p. 163-170_1
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌の増殖,転移における血管内皮増殖因子(VEGF)の役割を検討するために,VEGF遺伝子導入腫瘍細胞を用い検討した.頭頸部癌患者から採取した腫瘍組織から,VEGFを発現していないヒト上顎癌細胞株OKK-LNを樹立した.この細胞株にVEGF165cDNAを遺伝子導入し,VEGFの産生および腫瘍増殖に対する影響を検討した.すなわち,VEGF165を遺伝子導入した細胞株およびコントロール細胞株をそれぞれヌードマウス皮下に移入し,生存期間,腫瘍体積を検討したところ,VEGF遺伝子導入株では培養上清中にVEGF産生を認め,コントロール群と比較し著明な腫瘍増殖と9日間の生存期間の短縮を認めた.次に,頭頸部癌の治療における血管新生抑制の可能性を探るために,血管新生阻害剤TNP-470,抗VEGF中和抗体の腫瘍に対する効果を検討した.すなわち,TNP-470,抗ヒトVEGF抗体を腫瘍細胞移入マウスに,1週間に1回または2回,5週間腹腔内投与を行ったところ,TNP-470,抗VEGF抗体とも腫瘍増殖抑制効果を認め,CD31抗体を用いた免疫組織染色により抗VEGF抗体投与マウスにおいて腫瘍血管数の有意な減少を認めた.今回の検討でVEGFは腫瘍増殖において重要な役割を担っていることが示唆され,抗VEGF抗体は頭頸部癌治療において有用な治療となりうると考えられた.
  • 急性感音難聴
    曾根 三千彦
    2006 年 109 巻 3 号 p. 182-185
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 久 育男
    2006 年 109 巻 3 号 p. 186-187
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 中島 格
    2006 年 109 巻 3 号 p. 188-189
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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