日本耳鼻咽喉科学会会報
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95 巻, 9 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 外耳道外骨腫と感音性難聴について
    大柿 徹, 苦瓜 知彦, 大久保 仁, 小松崎 篤
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1323-1331,1477
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    職業ダイバー31人について聴力検査, 内視鏡による外耳道の検査を行った. この結果, 外耳道外骨腫は40%以上に, 感音性難聴は70%以上に認められ非常に高い発生率を見た. 外骨腫は潜水歴の長さとは関連性がなく, またこれと難聴との関連性もなかった. 感音性難聴においてはその程度と潜水歴と長さとに関連性が認められた. 感音性難聴が認められた者の中で内耳窓破裂等の内耳圧外傷による急激な聴力の低下を経験している者は極めて少なかった. 現在, 潜水による感音性難聴としてはこの内耳外傷による急性の感音性難聴が認められている. しかし内耳圧外傷が生じる程の大きな圧変化でなくても何らかの経路を介して内耳リンパ液圧の変化をもたらし, これが頻回に繰り返されると内耳聴覚器に障害が生じ, 慢性の感音性難聴が発症するのであろうと推察した.
  • 本橋 ほづみ, 馬場 重仁, 多田 幹夫, 高橋 和彦, 櫻井 時雄, 白土 正人
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1332-1338,1477
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    壊疽性軟部組織感染症は頭頸部に発生する感染症の中で致命的となりうる重篤な疾患である. 最近我々の経験した2症例を報告する.
    症例1: 52歳男性, 以前に糖尿病を指摘されたが治療を中断. 左耳下部の腫脹を放置, 当科初診時には左側頭部から左鎖骨上窩に発赤腫脹が拡大し, 耳下部は自潰し悪臭のある膿が流出していた.
    症例2: 55歳女性, 慢性関節リウマチにて加療中. 歯痛あり, 歯の治療後より左耳下部腫脹が出現した. 抗生剤を内服したが, 左頭頂部から両側顎下部, 右頬部にまで腫脹が拡大し, CTにて著明なガス像が認められた. 呼吸困難が出現し気管切開を施行した.
    いずれも適切な全身管理と局所処置により救命可能であった.
  • 古田 茂, 江川 雅彦, 尾崎 美紀子, 大山 勝
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1339-1344,1477
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    “scratch and sniff”法を用いた嗅覚識別検査の日本人への臨床応用を報告した. 3つの研究で300人以上の対象者が参加した. 研究1では, 嗅覚識別検査に使用されている29の嗅素名がその経験に基づいて判定された. 嗅素の組み合わせに対する経験率も検討した. 研究2では, 正常者に対して本検査を応用した. 本検査の平均値は, 10歳代や60歳代で低下を示す加齢変化を示した. 研究3では, 嗅覚識別検査は嗅覚障害者と正常者を明らかに判別した. 本検査法は研究室, 臨床および郵送による研究で, 複雑な道具や保管場所をとる化学薬品を用いないで嗅覚識別機能を評価することが可能である.
  • 病型分類と手術の役割
    柴 裕子, 溝尻 源太郎, 野崎 智嗣
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1345-1351,1477
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    53例のポリープ様声帯症例の重症度を, 米川の方法で分類した. I型14例, II型22例, III型17例であった. 全例手術を行い, 術前後の聴覚心理的印象, 音声機能 (基本周波数, 呼気流率, 音圧, 発声持続時間) を比較した. 術前の聴覚心理的印象は, 粗〓性を主とし気息性・努力性を伴う中等度の嗄声で, 音声機能も低下しており, ともに重症に比例して障害は強くなっていた. 手術による改善は, 高度病変ほど顕著であった. 音声機能は術後1ヵ月以上に改善したが, 聴覚心理的印象の改善には1~3ヵ月を要した. 両者とも正常化するには至っていないII III型は手術適応として良いが, 治療成績の向上には禁煙指導, 音声治療など非手術的治療も必要である.
  • いわゆるメニエール病前駆期の蝸牛障害について
    阿部 隆, 立木 孝, 村井 和夫, 近 芳久, 草野 英昭, 石川 健, 浅野 義一
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1352-1359,1479
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    低音型突発難聴 (LTSD) の診断で経過観察中メニエール病に移行した6例を検討し次の結果を得た. (1) メニエール病移行の割合は7.5%であった. (2) 移行までの期間は最短4ヵ月・最長6年8ヵ月・平均2年9ヵ月であった. (3) 移行様式にはLTSD様発作を反復して短期間に移行する例と1年以上の無症状期の後に移行する例の2型が認められた. (4) 発作3ヵ月後に単発不変型LTSDであった例がメニエール病に移行し易い. (5) メニエール病前駆期の自覚症状と聴力像の間に密接な関連はなかった. (6) メニエール病移行時の聴力像は種々であった. (7) 聴力の長期予後は6例中3例が良好で, そのうち2例はメニエール病軽症例と思われた.
  • 能登谷 晶子, 鈴木 重忠, 手取屋 浩美, 古川 仭
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1360-1365,1479
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    105dB以上の重度聴覚障害幼児2例に, 0歳代と1歳代から文字音声法に手指法を併用し, 手指言語の発達と音声言語の発達との関係を助詞や疑問詞の初期の獲得を中心に検討した. 2例の言語発達は, 手指による表出が音声による表出に先行した. 初期において先行した手指による助詞や疑問詞の発達は, ほぼ健聴児の発達に匹敵していた. また, 先行した手指による表出は, まもなく多用期をむかえ, また音声との併用期を経て, 音声のみへと移行する傾向を示した. 以上より, 重度聴覚障害幼児にとって, 手指の利用は音声言語の発達に有用であることが示唆された.
  • 聴覚代行としての蝸牛電気刺激の有用性
    松島 純一, 熊谷 雅彦, 原田 千洋, 高橋 国弘, 犬山 征夫, 伊福部 達
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1366-1371,1479
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    我々は母音の第2ホルマント情報を時系列処理方式することにより単電極型においてもホルマント情報の伝達が可能であることを示唆した. 触覚においてもこれが可能であることから, 時系列処理方式で最も重要な要素である刺激の時間分解能について岬角電気刺激, 触覚との間で比較検討した.
    結果は, 岬角電気刺激の時間分解能が触覚よりも約3倍良いことから, 時系列処理方式により音声の母音にcodingした方式を用いた時, 母音の第2ホルマントの伝達は触覚よりも人工内耳の方が良いことが示唆された.
  • 蝸牛神経核細胞の大きさとの比較
    松島 純一, 犬山 征夫
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1372-1378,1479
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    生後6週目に難聴になった子猫の蝸牛神経を電気刺激をしたところ, EABR (electrically evoked auditory response) の最大振幅と刺激側蝸牛神経前腹側核細胞の大きさとの間で高い正の相関が得られたが, 非刺激側では相関は認められなかった. ラセン神経節細胞の生存率とEABRの最大振幅との間においても明らかな正の相関は認められなかった. これらのことから, 聴覚系の成熟の途中で難聴になった場合はEABRの最大振幅はラセン神経節細胞の生存率のみならず, 中枢聴覚系の発達状況によっても影響されることが分かった.
  • 丹生 健一, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 高橋 久昭, 中溝 宗永, 苦瓜 知彦, 島田 士郎, 保喜 克文, 八木 克憲, 内田 正興
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1379-1388,1481
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1970年より1989年までの20年間に当科で治療を行った聴器癌症例21例 (聴器外癌8例・深部外耳道癌6例・中耳癌7例) について検討した. 聴器外癌ではほぼ全例手術単独で治療し, 再発は1例も認められなかった. 深部外耳道癌では外耳道に限局した3例では手術単独で, 外耳道から中耳に及ぶものでは拡大中耳根本術や側頭骨亜全摘などの手術に術語照射を組み合わせた治療を行い, 5生率は60%であった. 中耳癌では中耳根本術後, 根治照射を行った症例がほとんどであったが, 全例2年以内に死亡していた. 中耳癌は従来の放射線を中心とした治療では治癒は期待し難く, 適応のある症例には積極的に側頭骨亜全摘を試みるべきと思われた.
  • リドカイン静注療法による耳鳴治療
    上田 晋介
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1389-1397,1481
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    耳鳴患者155例196耳に対し, リドカイン静注療法を施行した. 二重盲検法 (double-blind test) にて有効性を検討したのち, 臨床項目別に有効率の統計的分析を行い本法の適応について考察し以下の結論を得た.
    1) double-blind testにて有効性を確認した.
    2) 全症例における有効率は60.2%であった.
    3) 年齢が高くなるほど有効率は上昇し, 老人性難聴が最も良い適応疾患であると推察した.
    4) その他, 40dBを越える聴力レベルに伴う耳鳴, 音色は濁音性耳鳴が良い適応であった.
    5) 副作用は, すべて一過性で重篤なものはなかった.
  • 各種臨床検査による発症因子の検討
    藤田 信哉
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1398-1408,1481
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    動揺病の症状は, 自律神経症状を含めた前庭―自律神経反射によるものと考えられているが, 動揺病の発症を惹起させる因子として, 前庭入力以外に視覚入力, 体性感覚入力, 情緒的, 心理的, 身体的諸因子さらにこれらを統合する脳幹や小脳の機能が考えられる. そこで動揺病の発症に関与する諸因子と酔いとの関係を各種の臨床検査の面より究明した. 対象群は, アンケート調査により常習者群と非常習者群に分類され, 発症因子に対する両群間の違いを基に動揺病の易罹患性を検討した. 動揺病の易罹患性を判断する臨床検査として, CVR-R, 温度刺激検査, Visual suppression test, OKP testなどの有用性が示唆された.
  • 耳石器関与の可能性
    嘉和知 直美
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1409-1420,1481
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    正常者29人, のべ194回の温度眼振暗所開眼下ENG記録を検討した. 温度眼振第1相には背臥位刺激で上眼瞼向き, 腹臥位刺激で下眼瞼向きの垂直成分を認めた. 垂直成分は腹臥位が背臥位より極めて大きく, 水平成分は背臥位が腹臥位より約16%大きかった. したがって, 第1相垂直成分は垂直半規管のみでは説明困難で, これに加え三半規管以外の因子の関与を推察した. 背臥位または腹臥位で温度眼振第1相終了後に坐位にすると水平性の第2相が, また腹臥位刺激で第1相終了後, 注水耳が側臥位にすると上眼瞼向きの第2相が認められた. これらはいずれも床に平行な眼球運動であることから第2相の方向決定には耳石器が関与すると考えられた.
  • 免疫組織化学的研究を中心に
    谷田 次郎
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1421-1429,1483
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Glutathione S-transferase胎盤型分子種 (GST-π) はヒト癌組織および血清中に発現増加する多機能酵素として注目されている. そこで著者は頭頸部腫瘍患者80例の扁平上皮癌組織と異型上皮および対照正常上皮を対象として, 免疫組織化学的にGST-π発現の有無を検討した. その結果, GST-πは扁平上皮癌に高率に発現し, しかも前癌病変と考えられる異型上皮でも発現する. ただし, GST-πの発現は放射線照射により陰性化するので, 腫瘍マーカーとして利用する場合, 照射前に検索することが必要と考えられた.
  • 1992 年 95 巻 9 号 p. 1430-1439
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 95 巻 9 号 p. 1439-1450
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 95 巻 9 号 p. 1450-1464
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 下咽頭癌進展特性との関連性
    村上 泰
    1992 年 95 巻 9 号 p. 1466-1469
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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