Shapiroらのいうadult supraglottitisとは, 声門より上部の喉頭と咽頭に多発性の急性炎症をきたす疾患である. 今回, 本邦の急性の声門上炎の臨床像を明確にし, 急性喉頭炎の範疇の特異型として成立するか否か臨床的に15例を検討した. 症状は, 激しい咽頭痛9例, 嚥下困難4例の順であった. 咽喉頭の主病変は, 披裂喉頭蓋ひだと披裂部であった (13例/15例). 披裂喉頭蓋ひだと披裂部に著しい炎症所見を認めた5例は, いずれも嚥下時の耳放散痛を訴えた. 細菌検査では, Strep. pyogenes, Strep. pneumoniae, α-Strep., Staph. aureusが1例ずつ検出された. 治療は, PIPC, CLDM, FMOX, ASPC, CTMによる点滴と, 必要に応じてステロイドを静注し, 全例, 完治した. この比較的激しい臨床症状および喉頭炎, 喉頭蓋炎とも異なる局所所見より本症は, 急性喉頭炎の中の特殊型の一つと考えられた.
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