日本耳鼻咽喉科学会会報
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96 巻, 11 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 笑気吸入による中耳圧変化より
    大野 文夫, 今給黎 泰二郎, 昇 卓夫, 大山 勝
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1861-1868,2011
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    笑気吸入時の中耳圧変化をティンパノメトリーを用いて67例測定し, 中耳粘膜を介する中耳換気能について検討した. その結果, 1) 笑気吸入による中耳圧変化の個体差が非常に大きい, 2) 若年者ほど中耳圧変化が大きい, 3) 中耳腔容積が小さいものほど中耳圧変化が大きいことが分かった. 特に4歳から7歳の小児において笑気吸入に伴う中耳圧変化は著明で, この現象は中耳腔の大きさのみでは説明できないものであった. このことから, 小児の中耳腔は中耳粘膜を介する換気能が亢進しており, 呼吸状態の変化に伴って中耳圧が容易に変化しやすいものと考えられた.
  • 新しい疾患概念とその症例
    古賀 慶次郎, 川城 信子, 土橋 信明, 荒木 昭夫
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1869-1877,2011
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    先天性狭鼻症は1988年Knegt-Junkらが報告するまで知られていなかった新しい概念の疾患である. 著者らは1986年から1990年までに類似症例10例を経験してきた. これらの患者の骨性鼻道の幅は正常乳児のそれより狭いことをレ線所見で示した. これらの患者は生後呼吸困難があり, 約半数の患者で低体重か他の奇形を合併した. 経鼻あるいは経口挿管または粘膜収縮剤の点鼻で4例は月齢4カ月以内に治癒し, 残りの6例は6カ月以上を要した. 1例で気管切開が行われた. 不完全後鼻孔閉鎖や鼻入口部狭窄との鑑別を要する. Knegt-Junkの症例と類似していた. この疾患の成因は胎生期での顔面中央3分の1の発達の遅れによるものと推定した.
  • 小塚 誠, 石田 和也, 多湖 千晃, 柳田 則之
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1878-1888,2011
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    一側の耳管咽頭口を閉塞したモルモットに気圧変化負荷を与え, その蝸牛への影響について走査電子顕微鏡を用いて形態学的観察を行った. 耳管閉塞側では, 急激な加圧時に著明な聴毛の障害が見られたが, 減圧速度の違いによる障害の差は認められなかった. 一方, control側では, 主として急激な減圧時に軽度から中等度の聴毛の障害を認めた. このことより通常の耳管が機能している場合は, 減圧時に中耳腔に生じる相対的な陽圧が蝸牛障害の最も重大な要因と推察された. また, 耳管を閉塞した場合は, 外界の急激な加圧に対する耐性に乏しく, 容易に著明な蝸牛障害が生じるが, その圧伝達経路は耳管が機能している場合とは異なるものと考えられた.
  • Square Drawing Testにみる平衡機能の発達と老化
    松田 嘉子
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1889-1901,2011
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Square Drawing Test (SDT) は, 遮眼書字検査の一法である. 我々はSDTを指標として, 小児と高齢者の平衡機能を検討した. 就学前から中2まで毎春9年間検査をした小児53名と健康高齢者66名を対象とし, 若年成人117名と比較検討した. SDTのパラメーターを4種とした. 就学前から中1の小児群では, 若年成人群と比し数種のパラメーターに統計学的有意差を認めた. 中学2年生では, すべてのパラメーターに若年成人群と統計学的に差がなかった. 高齢者群では, 若年成人と比してほとんどすべてのパラメーターに統計学的有意差を認めた. SDT上, 平衡機能が成熟するのは14歳頃で, 65歳以上では老人性平衡障害があることが示唆された.
  • 仮称鼻涙管下鼻甲介スウィング法
    蔦 佳明, 村田 清高, 南谷 肇子, 太田 文彦
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1902-1906,2013
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    我々は上顎洞, 篩骨洞の削開を容易にし, かつ中鼻道を大きく開放し術後の観察処置を容易とする, 新しいアプローチの鼻内手術を考案した. 下鼻甲介粘膜下切除術に準じた切開により下鼻甲介骨を摘除し, 骨部鼻涙管を一部除去し, 鼻涙管を骨部より離し, 鼻涙管と下鼻甲介を一塊として左右にスウイングさせ, 明視下に膜様部の処理を行い, 上顎洞, 篩骨洞へと術野をすすめる新しいアプローチの鼻内手術である. この方法により従来より死角であった鼻涙管周囲の郭清も十分に行われ, 膜様部を大きく切除でき, 篩骨洞, 上顎洞の郭清も十分行うことができる. 本術式のほとんどの操作は直視硬性内視鏡下に, 局所の所見を確認しつつモニターを見ながら手術を行うことで, 確実で安全な手術となる.
  • 佐伯 忠彦, 湯本 英二, 丘村 熙
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1907-1914,2013
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    我々はWaters法撮影における上顎洞X線陰影のデジタル化により上顎洞病変の客観的評価を試みた. 指標として上顎洞内関心領域平均銅板厚値 (MR値), 全上顎洞内平均銅板厚値 (MW値), 眼窩内関心領域銅板厚値 (O値) を用いた. その結果, MR値, MW値, MR-O値あるいはMW-O値は再現性と信頼性が良好で同一症例の治療効果などの相対的な評価に有用と思われた. MR-O値とMW-O値は症例間の質的診断においても有用と思われた. 今後は局所病変の評価に対して検討が必要と思われる.
  • 木村 寛, 渡辺 行雄, 水越 鉄理, 山本 泰久, 新木 五月
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1915-1921,2013
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    全身麻酔の終盤に耳下腺部が腫脹するいわゆるAnesthesia Mumpsの6例を報告した. 6症例は45歳から77歳の男性で. 麻酔はGOI, またはGOS+NLA変法 (フェンタニール) を施行した. 成因については, 側臥位の1例では, 円座による機械的圧迫, 仰臥位5例では, 麻酔, 手術操作に随伴する自律神経反応, 体位による血流欝滞, 気管内チューブ留置による反射唾液に対する過剰刺激および人工呼吸の関与が推定された. 覚醒後に側臥位例は耳下腺部腫脹を訴えた. いずれの腫脹も経過観察で麻酔後7日目以内に消失し, この間の血清アミラーゼ値の推移はほぼ正常範囲内であった. 全身麻酔の際, 本症の発生やその臨床経過を念頭に置くことは有用であろうと推察された.
  • 吉見 龍一郎, 高村 博光, 高崎 賢治, 弦本 日芳, 隈上 秀伯
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1922-1925_1,201
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    アスピリン喘息に合併した鼻茸に浸潤した好酸球の活性化や好酸球顆粒放出についてモノクロナール抗体EG1, EG2を用いて免疫組織学的に検討した. 連続切片でEG1, EG2陽性細胞が非常に良く一致したことから浸潤好酸球の大部分は活性化していると考えられた. 粘膜固有層の浅層において多数のECPが細胞外に認められた. 以上から鼻茸の発生に好酸球の関与が考えられた. しかし基底膜へのECPの沈着や基底膜の断裂はなく, 上皮の剥離とEG2陽性細胞やECP沈着との関係は見いだせなかったことから, 好酸球の組織障害作用をin vivoで証明することはできなかった. 非アトピー性のアスピリン喘息鼻茸への好酸球浸潤メカニズムには興味がもたれた.
  • その機能と形態学的研究
    姜 学鈞, 梅村 和夫
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1926-1932,2015
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    光増感反応を利用して, ラットの前下小脳動脈 (AICA) 血栓形成による長期観察可能な内耳虚血モデルを作成し, 内耳循環障害が内耳の機能と形態に及ぼす影響を検討した. AICAに血栓形成後の蝸牛血流値は30.8±3.4% (平均値±SE) で, AICA閉塞時及び24時間後にABRに変化があったのは96%であった. そのうち平衡障害症状 (自発眼振または姿勢異常) を伴ったのは77%であった. 短時間内に血流が再開しない場合には, 内耳の広範な細胞の変性と消失が認められた. 平衡障害と前庭・三半規管の組織障害とは相関しなかったが, かなりの機能代償があるものと考えられた. このモデルは内耳虚血の機能と形態学的な研究に有用であると思われた.
  • 角田 玲子, 辺土名 仁, 小松崎 篤, 畑 裕子
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1933-1939,2015
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    温度眼振検査の際の外耳道温度変化と最大緩徐相速度, 眼振持続時間を測定し, 一般診療での冷温交互試験の問題点を検討した.
    正常成人の外耳道温度は平均36.8度であり左右差はなかった. また外耳道温度は腋窩温度よりも有意に高かった.
    20mlの30度冷水と44度温水の注水では冷水の方が外耳道温度変化が大きく, 最大緩徐相速度も有意に大きかった. 50mlの注水でも冷刺激の方が外耳道温度変化が大きかったが, 最大緩徐相速度は有意差を認めなかった. 眼振持続時間は冷温水で有意差を認めなかった.
    温刺激が弱い原因として, 44度温水は室温で速やかに温度が低下し, 外耳道注入時に43度になっていることが示唆された.
  • 理論と手技
    黄川田 徹
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1940-1949,2015
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    機能保存的な鼻内副鼻腔手術として, 近年内視鏡下手術が積極的に行われつつある. しかしながら, 本邦において手術適応の大部分を占める高度な慢性副鼻腔炎に対しては, 内視鏡下にすべての操作を行う内視鏡下鼻内手術は問題が少なくない. このようなことから, 鼻腔にポリープの充満した例, 出血の多い例, また鼻腔の狭い小児など, 手術を行う上でとくに条件の悪い症例に対して, 円滑に, 安全に, そして確実に手術を行うことを目的とした術式を, combined macro-micro-endoscopic techniqueとして提示した. 本術式はヘッドランプ (肉眼), 手術用顕微鏡, そして内視鏡の三者を, 部位と求められる条件に応じて使い分け, 三位一体として鼻内副鼻腔手術を完了するもので, ここではとくにその理論と術式について述べた.
  • 小田 ゆかり
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1950-1961,2015
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ストレプトマイシン (SM) による支持細胞の変化について検討するためin vitroでのストレプトマイシン障害モデルを用いて, 形態学的に観察した.
    SMにより, 支持細胞では, ライソゾームが経日的に増加し, その内部は, ミトコンドリア, myeloid body, 小胞および微小顆粒が存在した. さらに, ライソゾームの蓄積とともに支持細胞内の顆粒および小胞体が消失した. ゴルジ装置のAcPase活性はSMにより抑制されていたが, SM無添加培地に交換後は, ゴルジ装置の発達とそのAcPase活性の増加がみられ, それとともにライソゾームは急速に減少し小胞体の再形成が認められた. これらのことから, ゴルジ装置, ライソゾーム, 分泌顆粒, 小胞体が互いに密接な関係をもっていることが示唆された.
  • 1993 年 96 巻 11 号 p. 1962-1968
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 11 号 p. 1968-1976
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 11 号 p. 1976-1984
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 聴神経腫瘍
    小松 崎篤
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1986-1989
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
  • 調 賢哉, 調 信一郎
    1993 年 96 巻 11 号 p. 1990-1991
    発行日: 1993/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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