日本耳鼻咽喉科学会会報
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98 巻, 1 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 光嶋 勲, 半田 徹, 佐藤 幸弘, 秋定 健, 折田 洋造, 山本 英一
    1995 年 98 巻 1 号 p. 1-7,189
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
    過去8年期に45症例の頭頸部の組織欠損に対して腹直筋穿通動脈皮弁を用いた。本皮弁は腹直筋減量筋皮弁, 薄層減量直筋皮弁, 傍臍穿通動脈皮弁, 薄層傍臍穿通動脈皮弁に分類される. 本皮弁は, 腹直筋内の穿通動静脈を茎とするため, 腹直筋を腹壁側に温存できるとともに除脂肪により薄層皮弁とできる. このため従来の腹直筋皮弁の欠点である皮弁のbulkincssと術後の腹壁ヘルニアの発生を克服できる利点がある. 皮弁の生着範囲は20cm程度は可能で, その適応は腫瘍切除と皮弁挙上が同時に進行できるため頭頸部欠損の再建に最適である. 若い女性とか高齢者では傍臍穿通動脈皮弁が適する.
  • 聴力保存の適応と聴力改善因子について
    村上 信五, 柳原 尚明, 浅井 真紀, 暁 清文, 中村 光士郎
    1995 年 98 巻 1 号 p. 8-15,189
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    経中頭蓋窩法による聴神経腫瘍摘出術を17例に施行し, 13例 (76.5%) に聴力保存が, 15例 (88.2%) に顔面神経の機能が保存された. 聴力, 顔面神経の保存は腫瘍の小さいものほど良好であり, 難聴が突発性に発症し, 谷型の聴力像を呈する症例では早期 (6カ月以内) に手術を行うことにより高率 (6例, 35.5%) に聴力が改善した. 特に, 2症例では術前は聴力保存手術の適応のない高度難聴であったものが, 術後, 有用聴力を取り戻した. われわれの経験では小腫瘍においては顔面神経の保存率は経迷路法, 経中頭蓋窩法に優劣なく, したがって, 高度難聴例でも小腫瘍で, 難聴の期間が短ければ聴力保存手術を試みる価値がある.
  • 永雄 裕美子, 野村 恭也, 大橋 靖雄
    1995 年 98 巻 1 号 p. 16-23,189
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    数量化III類を用いて, 70日の中耳奇形を解析した. 70耳目べて外目道と鼓膜を有し. 手術済みのある.
    中耳奇形は4つのタイプに分類できた. すなわち, おぶみ・前庭窓関節が動き, きぬた骨長脚から前庭窓までの耳小骨連鎖が離断しているD型 (Disruption) 奇形38耳 (54.3%), あぶみ・前庭窓関節が動かないか前庭窓が存在しないで, 長脚から前庭窓までの耳小骨連鎖に離断を認めないF型 (Fixation) 奇形8耳 (11.3%), あぶみ・前庭窓関節が動かないか前庭窓が存在しないで, しかも長脚から前庭窓までの耳小骨連鎖か離断しているDF型奇形15耳 (18.6%), D型奇形もF型奇形も合併しないO型奇形9耳 (12.9%) の4つである.
    70耳中35耳にその他の奇形が合併していたが, 中耳奇形の分類には影響しなかった.
  • 小島 好雅, 平塚 仁志, 加我 君孝
    1995 年 98 巻 1 号 p. 24-30,189
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    蝸牛神経, 前庭神経におけるCorpora Amylaceaの数とコルチの加齢変化との関係, Corpora Amylaceaの起源について検討した. 対象は70歳以上, 11例, 14標本である.
    結果, 蝸牛神経におけるCorpora Amylaceaの数とコルチの老化との間にはなんら相関関係を認めなかった. Corpora AmylaceaはNeurilemma Schwann Sheath Junctionより中枢側にのみ存在した. Corpora Amylaceaの起源について, 稀突起膠細胞または脳硬膜から連なる神経周膜のいずれかが考えられた. さらに, Corpora Amylaceaの発生には脳脊髄液が関与しているものと思われた.
  • 多変量解析を用いた評価
    西池 季隆, 武田 憲昭, 肥塚 泉, 林 治博, 久保 武, 荻野 仁
    1995 年 98 巻 1 号 p. 31-40,191
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    105人のめまい患者に対して, めまいによる日常生活障害に関する30個の質問項目からなるアンケート調査や行った. 回答を因子分析法で解析したところ, 5個の因子として, 社会活動性の障害, めまいを増悪させる身体の動き, 身体行動の制限, 感情の障害, 対人関係の障害が抽出された. 因子ごとに3個の質問を選択し, 3個ごとの得点を比較したが, 疾患 (末梢性, 中枢性, めまい症), 年齢, 性, 罹病期間別に有意な差はなかった. この結果より各因子3個ずつの質問より再構成したアンケートは普遍的にめまいによる日常生活の障害を評価できると考えられた. 詳細に検討すると, メニエール病患者は前庭型メニエール患者に比し感情障害の得点が高く, 前庭神経炎患者は, VBI患者に比し身体の動きの障害の得点が高かった, このように再構成したアンケートではめまいによる日常生活の障害を因子ごと評価しうるものと考えられた.
  • 原口 秀俊, 海老原 敏, 真島 一彦, 羽田 達正, 平野 浩一
    1995 年 98 巻 1 号 p. 41-51,191
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    国立がんセンターにおいて初回治療を行った鼻腔原発悪性黒色腫14症例につき検討を加えた.
    男性10例, 女性4例で, 50歳代に多かった. 初発症状は鼻出血と鼻閉が多く, 部位別では鼻中隔発生が多かった. 組織学的にはamelanotic typeが3例, oligomelanotic typeが3例, melanotie typeが8例であった. 細胞形態による分類では紡錘細胞型が5例, 大型上皮様細胞型が9例であった. 13例に根治手術が行われたが, 局所再発は8例, 9部位にみられた. 内訳は後方断端付近: 3, 上方断端付近: 1, 頬部皮下: 1, 篩骨洞: 2, 前頭洞: 1, 判別不能: 1であった. 治療成績は2年累積生存率54.2%, 5年累積生存率31.0%であった.
  • 野沢 出, 中山 久代, 橋本 かおり, 堀口 茂俊, 今村 俊一, 久松 建一, 村上 嘉彦
    1995 年 98 巻 1 号 p. 52-59,191
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    若年女性301名に, Schellong testとODの診断基準の中で, 大症状のAの立ちくらみめまいとの関連性について検討した. その結果, 若年々性301名中171名 (56.8%) で立ちくらみめまいを訴えていた. さらに仰臥位での収縮期圧が90mmHg以下の低血圧の者とSchellong testの各項目の計測値の変化, 特に収縮期圧低下が11mmHgより大きい者は立ちくらみめまいと有意に関連がみられた. 以上より, 低血圧とSchellong testで判定された循環系の失調が何らかの形で立ちくらみめまいの訴えに関与している可能性を示すと共に, あらためてSchellong testの重要性及び有用性を示唆する結果であると思われた.
  • 池田 元久, 渡辺 〓
    1995 年 98 巻 1 号 p. 60-65_3,191
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    釣り上げたイカを直ちに海水希釈したホルマリン溶液で, 生体固定し, 後固定・脱水にも海水を利用する方法で, 日本近海に棲む4種のイカの保存状態のよい平衡胞の標本を得ることができ, 従来図や説明のみで, その光学顕微鏡写真は示されていない平衡斑を覆う平衡砂膜, cristaを覆うクプラ, 平衡石も含んだ連続切片標本を得ることができた. これらの光学顕微鏡標本写真は, 20世紀前半に報告された光学顕微鏡写真および図や説明と, 20世紀後半に報告された透過型・走査型電顕写真の示すイカの平衡胞の形態との橋渡しをする位置にあると考え若干の文献的考察と共に報告した.
  • 横島 一彦, 大西 正樹, 滝沢 竜太, パワンカール ルビー, 大久保 公裕, 奥田 稔
    1995 年 98 巻 1 号 p. 66-70,193
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鼻Inverted papilloma腫瘍内には鼻アレルギー鼻粘膜上皮層同様に粘膜型肥満細胞が集積している. その集積メカニズムを明らかにするために, 鼻Inverted pailloma腫瘍細胞から産生されるサイトカインについて研究を行った.
    腫瘍細胞の培養上清中にはGM CSF, IL 6, IL 8が検出された. IL 6とIL 8は腫瘍層の最表層に存在するのに対し, GM-CSFは基底膜近傍に存在していた. GM CSFの分布は粘膜型肥満細胞の分布と同様で, その集積にGM CSFが重要な役割を果たしている可能性が示唆された. この結果は, 鼻アレルギー鼻粘膜上皮層での粘膜型肥満細胞の集積のメカニズムを考える上でも重要な意味を持っているものと考えた.
  • 走査電顕による基礎的研究
    向井 康朗, 石山 英一
    1995 年 98 巻 1 号 p. 71-79,193
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    従来より内耳障害を引き起こす薬剤は現在までに多く知られている. これらの薬剤は臨床的, 基礎実験的に聴器毒性が確認されているものも多い. 日常の臨床において慢性中耳炎などに対して, 抗生物質などの点耳薬を使用して治療を行うことも決して少なくない. 著者らは鼓室内に注入する薬物の有する薬理作用のみにより内耳障害が出現することに疑問を持ち, 注入する溶液の浸透圧に注目した. 鼓室内に注入する溶液の浸透圧が内耳のなかでもとくに脆弱な蝸牛有毛細胞の聴毛に対する影響を聴器毒性を有していないと考えられる溶液を精製し, モルモットを用いて走査型電顕により鼓室内注入液の浸透圧と蝸牛有毛細胞の聴毛との関係を実験的に研究を行い興味ある結果が観察された.
  • 口腔内麻酔による味覚障害を防ぐ基礎として
    渡辺 健一, 冨田 寛, 村上 弦
    1995 年 98 巻 1 号 p. 80-89,193
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鼓索神経成分は舌神経内において, 後外側か〓側に位置していた. また, 鼓索神経成分は舌神経固有成分に比べて有意に細かった. さらに, 舌神経には2-3本の頬粘膜枝が必ず存在しており, 下歯槽神経等に加えて舌神経も麻酔の標的にせざるを得ないことが分かった. 以上の結果から, 鼓索神経成分に含まれる味覚線維も, 下神経固有成分以上に口腔内麻酔の影響を受けやすいことが示唆された. 潜在的な医原性味覚神経障害に対する一層の注意を喚起したい.
  • 喉頭室における発癌母地としての評価
    小川 佳伸
    1995 年 98 巻 1 号 p. 90-101,193
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    喉頭室原発の癌の発生母地を解明するために肉眼的に喉頭室に病変を認めない22個のヒト摘出喉頭を用いて臨床病理学的な検討を行い以下の結果を得た. 1) 喉頭室のコンピュータグラフィッタス化を行いその複雑な形状を示した. 2) 著者分類の「浅陥凹型」部分は, 喉頭室の中でも特に扁平上皮化生が強く進み, 発癌の準備段階として重要であると思われた. 3) 「浅陥凹型」部分は喉頭室の前後に分布していた. これは喉頭室原発の癌の臨床的な好発部位とよく一致しており, 喉頭室原発の癌の発生母地として重要であると思われた. 4) 喉頭室粘膜上皮も症例によっては, かなりの範囲で扁平上皮化生が起こり, 喫煙や飲酒の影響で高度に進行することも示された.
  • 越智 健太郎
    1995 年 98 巻 1 号 p. 102-111,195
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    牛の軟骨から抽出したII型コラーゲンにより免疫感作した10匹のハートレー系雌モルモットに, 茎乳突孔から免疫challengeを行い, 蝸電図変化, 組織学的変化を検討した. APの出入力関係曲線では, 振幅の減少, 潜時の延長を認め. SPに関しては+SPの減少を認めた. AP tuning curveは, その曲線パターンに多くの動物で異常を認めず, Q10dBも正常範囲内であった. 組織学的には, 軽度から中等度の螺旋神経節細胞の変性が特徴的所見として認められたが, コルチ器には, 光顕的には異常を認めなかった. APの振幅減少, 潜時延長は螺旋神経節細胞の変性に基づく変化と考えられた. さらにtuning機能に異常変化が乏しいにもかかわらず, +SPの減少という受容器電位変化が認められたことから, コルチ器内の異常病態の存在も推定された.
  • 飯島 正道, 池田 稔
    1995 年 98 巻 1 号 p. 112-118,195
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    いわゆるベル麻痺の原因は現在もなお不明とされている. われわれは強力な血管収縮作用を持つエンドセリンが, 顔面神経麻痺発症のメカニズムに何らかの形で関与しているのではないかという仮説に基づき, 発症1週間以内のベル麻痺62例の血中エンドセリン値を検討した. 同時にハント症候群10例, Zoster sine herpete (以下ZSH) 14例についても検討した. 健常人36例とベル麻痺群の比較にてベル麻痺群のエンドセリン値は統計学的有意差 (P<0.01) を持って高値であった. ハント症候群, ZSHにおいてもエンドセリン値は高値であった. 顔面神経麻痺発症に何らかの形でエンドセリンの関与する微小循環障害がかかわっている可能性が示唆された.
  • 基礎的検討および主成分分析
    山内 由紀, 遠藤 壮平, 酒井 文隆, 吉村 功
    1995 年 98 巻 1 号 p. 119-129,195
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    上昇法による全口腔法味覚検査を, 健康青年男女123名に施行した, 得られた認知閾値は, 今まで本邦で報告されたものと大差なく, 蔗糖は0.0165mol/L, 食塩は0.0316mol/L, 酒石酸は0.000734mol/L, 塩酸キニーネは2.031×103mol/Lであった. この検査液系列は標準液として足るものと考えられた. 主成分分析の結果では, 第1主成分が味覚の総合検知能力を表し, 4つの主成分で約90%の値が説明されることが分かった. 更に4味質が基本味質であることが再証明された.
  • 1995 年 98 巻 1 号 p. 130-139
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 1 号 p. 139-149
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 1 号 p. 149-158
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 1 号 p. 158-168
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 人工内耳手術手技に関する留意点
    伊藤 壽一
    1995 年 98 巻 1 号 p. 170-173
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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