日本耳鼻咽喉科学会会報
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104 巻 , 9 号
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  • 野村 恭子, 飯野 ゆき子, 小寺 一興, 鈴木 淳一
    2001 年 104 巻 9 号 p. 843-851
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1993年7月から1998年7月までの5年間に帝京大学耳鼻咽喉科で外耳道再建型鼓室形成術を行った成人の中耳真珠腫新鮮例のうち, 術後1年以上経過を観察しえた236耳を対象とし, 術後聴力と真珠腫再発について検討した. 一期的に聴力改善手術まで施行したものは147耳 (62%), 段階手術で聴力改善術を施行したものは89耳 (38%) であった. 日本耳科学会の提案による術後聴力の鼓室形成術成功の判定新基準に従った成功数は236耳中157耳 (67%) であった. そのうち成功例は, 一期的手術群で109耳 (74%) であったのに対し, 段階手術群では48耳 (54%) とχ二乗検定で有意差を認めた. また, 鼓室形成術成功判定新基準の3項目を個別に見ると, 術後平均聴力レベル, 術前骨導値と術後気導値の差の2項目で段階手術群に比較し, 一期的手術群で有意に成績が良かった.
    最終術式別では, I型群, III型群, IV型群の順で成績が良く, 新基準3項目および全体の成功率で有意差を認めた. 一期的手術群ではI型群が多く, 段階手術群でIII型群, IV型群の占める割合が多かった. また年齢別では, 平均聴力レベルは加齢に従い悪化した.
    段階手術施行群89耳における再発は, 再形成真珠腫が13耳 (15%), 遺残性真珠種は29耳 (33%) に認められた. また, 術後聴力が不良のため再手術を施行した12例を除く一期的に真珠腫の除去と聴力改善を行った一期的手術群135耳において, 術後1年後における再形成真珠腫数は13耳 (9.6%) に認められた. 再形成性真珠腫, 遺残性真珠腫につき臨床的危険因子の評価を一期的手術, 段階手術群において, 性, 年齢, 耳漏の有無, 真珠腫のタイプ, 術型につき行ったが有意なものは認められなかった. 今回の結果から, 中耳真珠腫症に対する外耳道再建型鼓室形成術では, 術後聴力に関しては妥当な成績が得られたが, その再発頻度は決して少ないとはいえず, その再形成防止対策について現在当教室で行われている処置について述べた. 遺残についてはできるだけ減らす工夫と判定基準の確立が重要である.
  • 篠原 尚吾, 山本 悦生, 田辺 牧人, 前谷 俊樹, 藤原 敬三, 金 泰秀
    2001 年 104 巻 9 号 p. 852-858
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    (目的) 耳下腺腫瘍に対するテクネシウムシンチグラムやガリウムシンチグラムなどのRI検査は, 被曝の問題, cost effectivenessの問題から今後敬遠されることが予想される. 今回我々は過去の手術症例から耳下腺腫瘍の術前検査としてシンチグラムの占める位置づけについて考察した.
    (対象と方法) 対象は過去13年間に当科で耳下腺腫瘍の診断で手術を施行した275名, 283側 (良性235例, 悪性48例) である. これらの症例につき, 以下の項目を検討した. (1) 腫瘍の病理別の各シンチグラムの陽性率. (2) 各シンチグラムが陽性である場合 (あるいは陰性である場合) の占める腫瘍の割合. (3) ワルチン腫瘍におけるテクネシウムシンチグラム集積像の有無を決定する要素. (4) 腫瘍の大きさとガリウムシンチグラム集積の有無の関係。
    (結果) テクネシウム陽性腫瘍の87.9%をワルチン腫瘍が占めた. 40歳以上に絞れば90%以上がワルチン腫瘍であった. また, ワルチン腫瘍の中でも腫瘍の小さい方が, また嚢胞性の方が陽性になりにくいことがわかった. ガリウムシンチグラムは悪性腫瘍で85%と高い陽性率を示したが, ガリウム陽性腫瘍のうち悪性腫瘍の占める割合は37.8%で陽性であることが悪性の指標とならないことがわかった. 一方, ガリウム陰性の場合, 良性である率は94.8%であった. また, 小さくともガリウム陽性の腫瘍が悪性を示すとは限らない結果となった.
    (結語) テクネシウムシンチグラムは40歳以上に限って施行すれば, ワルチン腫瘍の補助診断に, ガリウムシンチは陰性所見が良性, あるいは低悪性腫瘍の補助診断に高い有効性を示すことがわかった. これらのことよりRI検査は耳下腺腫瘍に対する術前診断の有効な武器となり得ることを示した.
  • 龍頭 正浩, 檜垣 雄一郎, 冨田 吉信
    2001 年 104 巻 9 号 p. 859-865
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    頭頸部悪性黒色腫は非常に悪性度が高く, 予後不良の疾患である. 今回我々は1972年から1998年までに当科で一次加療を行った頭頸部悪性黒色腫16例についての臨床経過, 治療, 予後について検討を加えた. 年齢は46から82歳で平均年齢は61歳であり, 男性4例, 女性12例であった. 組織学的にはamelanotic typeが1例, melanotic typeが15例であった. 原発部位は鼻腔10例, 副鼻腔2例, 歯肉2例, 口唇1例, 原発不明1例であった. Kaplan-Meier法による鼻・副鼻腔原発12例の2年生存率は33%, 5年生存率は17%であった. 16例全体の2年生存率44%, 5年生存率22%であった. 口唇, 皮膚を除く粘膜原発の14例の2年生存率は43%, 5年生存率は14%であった. 12例に原発巣の根治手術を施行し, 局所再発が6例7部位に認められた. 拡大手術, 術後照射, 化学療法を併用した3例中2例は3年経過時生存しており, 集学的治療が有効である可能性がある.
  • 藤吉 達也, 因幡 剛, 宇高 毅, 田邊 忠夫, 吉田 雅文, 牧嶋 和見
    2001 年 104 巻 9 号 p. 866-871
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    扁桃周囲膿瘍からの検出菌を検討した文献は意外と少なく, その内訳も施設間によって相違が見られる. 好気性菌ではA群β溶連菌が注目されているが, それ以外のレンサ球菌の検出率も高いことが指摘されてきた. しかし, それらを菌種レベルまで確定し, 起炎菌としての意義を検討した報告は少なく, α, β, あるいはγ-streptococcusとして記載する文献が多い我々は, 自験例からStreptococcus milleri groupが比較的多く検出されることに着目した. 本菌種は口腔内の常在菌でありながら, 近年, 全身の化膿性疾患に関与することが知られているが, 扁桃周囲膿瘍の起炎菌としては重要視されてこなかった. 1990年1月~2000年11月の31症例を細菌学的に検討した. その結果, 18例から病態に関与したと思われる菌が25株検出され, その中の17株が菌種まで確定された. 主なものとして, S. milleri groupが8例 (25.8%), Eikenella corrodensが3例 (9.7%), Staphylococcus aureusが2例 (6.5%), Streptococcus pyogenesが1例 (3.2%) で, それぞれ検出された. S. millerigroupには炭酸ガス培養や嫌気培養が適し, また菌種の確定には酵素産生反応試験が必要とされる. 本菌種の溶血性には多様性があることが報告されているが, 当院の臨床分離36株による検討では88.8%がα溶血性を示した. すなわち, 一般臨床細菌検査では本菌種が検出・同定されずに見過ごされる例や, また, α-streptococcusと判定される可能性がある. 検体の初代培養時のコロニー所見や塗抹標本における白血球貪食像所見等から, 本菌種を常在菌性の検出菌と区別して同定することが重要と考えられる. 抗菌剤の普及に伴い, 正常細菌叢環境と宿主免疫能との適正な関係が破綻する機会が増えるとともに, 細菌自体の性状や毒性も変化することによって, S. milleri groupが起炎菌となる症例が増えてきた可能性も否定できない.
  • 吉田 茂, 豊田 圭子, 森山 寛
    2001 年 104 巻 9 号 p. 872-885
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    椎骨脳底動脈循環不全の診断にMRAが用いられる頻度は高いと考えられる. 例えばMRAの異常所見で, 片側椎骨動脈の描出不良を示す症例は決してまれではない. このような症例では, 椎骨動脈が単に低形成なのか病的狭窄部位を有するのかは不明であり, これを診断するには一般的に, 椎骨動脈造影 (VAG) が必要となる. そこでわれわれは低侵襲なCTスキャンを用いて椎骨動脈の血管形態を観察し, 血流障害の病変検索を試みた.
    CTスキャンの撮影および読影方法は, 後頭骨大孔から大動脈弓の範囲で, 単純CTと造影CTを5mmスライスでそれぞれ撮影し, 単純CTと造影CTを比較することから椎骨動脈の狭窄部位を推定した. 対象はMRAで椎骨脳底動脈系の血管の描出が不良であったり, 血管の描出がほとんど認められなかったり, 血管が蛇行や偏位を示した34症例であった.
    結果としては, 椎骨動脈や鎖骨下動脈の狭窄病変と, 頸椎変形に伴う椎骨動脈の狭窄病変を推定することができた. またMRAで椎骨動脈の描出不良の所見が認められた場合, CTスキャンを用いることによって, 椎骨動脈が病的狭窄部位を有するのかあるいは低形成なのかをある程度判別できる可能性が示された. CTスキャンによる, 椎骨動脈の血管形態を検索する方法は, MRAより有効な場合があると考えられた.
  • 湯本 英二
    2001 年 104 巻 9 号 p. 886-889
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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