日本耳鼻咽喉科学会会報
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110 巻, 10 号
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原著
  • ―ステロイド2クール療法の是非―
    大野 俊哉, 竹腰 英樹, 菊地 茂
    2007 年 110 巻 10 号 p. 665-671
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    (目的) Bell麻痺完全麻痺症例に対しステロイド大量投与療法を施行し, その有効性を検討するともに初回投与量, 総投与量を増やすことによる治療効果の差, 副作用の頻度を調べ, ステロイド2クール療法の是非を検証した.
    (対象と方法) 発症2週間以内にステロイド大量療法を施行し, 経過を追うことができたBell麻痺完全麻痺102症例を対象とした. ヒドロコルチゾン600mg1クール群, 2クール群, 1200mg1クール群, 2クール群の治癒率, 症状固定期間, 副作用出現率を比較検討した.
    (結果) ステロイド大量投与療法はBell麻痺完全麻痺症例に対して有効であることが示唆されたが, 各群間にて治癒率, 症状固定期間に差が生じなかった. 重篤な副作用は認めなかったが, 副作用出現頻度は過去の報告に比べ高かった.
    (結論) ステロイド療法を2クール施行しても治療効果は上がらず, むしろ副作用が多くなることから2クールのステロイド療法は意味がないと考えられた.
  • 坂本 賢生, 板坂 芳明, 石川 和夫
    2007 年 110 巻 10 号 p. 672-679
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    心因性難聴5症例と健康対照群10例につき聴性誘発磁場を記録した. 左右それぞれの耳に1000および2000Hzトーンバースト刺激を加え, N100m最大振幅値とその潜時を記録した. 患者群のN100m振幅値の平均値は対照群に比べ低値であった. 特に左半球での患者群の平均値は, 2000Hz左側刺激時を除いて, 同側刺激, 反対側刺激にかかわらず有意に低値であった. N100m頂点潜時については, 両群の間に有意差は無かった.
    このN100m振幅の減少は心因性難聴患者における特有の聴覚認知と関係している可能性がある. この所見は, 聴皮質, あるいは二次聴覚野において聴覚処理が抑制されているか, あるいは注意の欠損が起こっている可能性を示唆するものと考察した.
  • 渡邉 昭仁, 谷口 雅信, 辻榮 仁志, 藤田 昌宏, 佐々木 重幸
    2007 年 110 巻 10 号 p. 680-682
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌放射線治療後に局所再発した場合には, 喉頭を含めた咽喉食摘出術が治療として選択されることが多いと思われる. 今回われわれはNarrow Band Imaging (NBI) システムを用いた内視鏡検査で下咽頭右梨状陥凹癌根治放射線治療後に局所再発したと思われる癌を早期診断し, 内視鏡を用いた粘膜切除術で腫瘍切除が施行できた症例を経験した. 初期治療から3年, 下咽頭粘膜切除術から約1年喉頭機能を温存でき, 局所再発なく経過観察中である.
    NBI内視鏡検査は咽喉頭に新たに発生する表在癌の診断に有用であることが期待されてるが, 放射線治療後の局所再発発見・診断にも有用性があるのではないかと思われた.
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