日本耳鼻咽喉科学会会報
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111 巻, 7 号
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原著
  • 山元 理恵子, 細川 誠二, 大和谷 崇, 森田 祥, 岡村 純, 峯田 周幸
    2008 年 111 巻 7 号 p. 517-522
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/01
    ジャーナル フリー
    頭頸部に発生する神経内分泌小細胞癌は, 比較的まれで悪性度が高く, 確定診断が困難なことが多い. また遠隔転移の多さも本疾患の予後を悪くしている. 1979年から2006年までに当科で経験した神経内分泌小細胞癌について報告する. 症例は8例で, 平均年齢は62歳 (45~80歳) で全例男性であった. 発生部位は, 上顎洞3例, 篩骨洞2例, 扁桃, 喉頭, 耳下腺が1例ずつであった. 初診時, 全例がT4もしくはN2以上の進行癌で, 4例は初回病理診断で悪性リンパ腫あるいは未分化癌が疑われ, 診断が確定しなかった. 診断確定には免疫染色および電子顕微鏡による神経内分泌顆粒の確認が有用であった. 治療法は肺小細胞癌に準じたVP16およびCDDPによる化学療法と放射線治療が中心で, 手術治療も行われたのは2例のみであった. 5例が8~12カ月で原病死, 1例が10カ月坦癌生存, 2例がそれぞれ1年3カ月と8年無病生存している. 死亡症例は全例遠隔転移による死亡であった. 放射線治療や化学療法が奏効し, 8例中局所再発したものは1例のみであった. 悪性度が高い疾患であり, 病変の早期発見, 早期診断と遠隔転移の制御を含めた, さらにより有効な治療法が望まれる.
  • 吉岡 哲志, 内藤 健晴, 藤井 直子, 片田 和広, 竹内 健二
    2008 年 111 巻 7 号 p. 523-532
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに・目的】耳管形態, 特に各年齢期での違いを検討することで, 耳管機能異常に起因する疾患の病態を明らかにできる可能性がある. われわれはCTを利用し, ヒト生体における耳管計測を行ってきたが, 今回さらに測定値を年齢ごとに比較検討した.
    【方法・対象】対象は成人48耳, 小児31耳 (7歳未満23耳). CTデータ上にそれぞれ設定した基準点座標を元に, 各部の長さ, 径, 角度を計測した.
    【結果】標本で生じるゆがみ・縮みは発生せず, 離れた位置の距離や角度の計測が可能であった. 7歳未満の幼児群と7歳以上の学童成人群を比較すると, 骨部長, 軟骨部長, 耳管全長のすべてにおいて乳幼児群よりも学童成人群で長くなっており, 咽頭口も乳幼児群よりも学童成人群で大きい結果であった. 骨部と軟骨部のなす角は学童成人群でより鋭角となった. 耳管を正面・側面から見た場合においても, 軟骨部が成長と共に有意差を持ってより急峻となり, その結果, 骨部と軟骨部がなす角度がより鋭角へと変化した.
    【考察・まとめ】CTによる耳管測定方法は, 従来の標本による測定法に代替しうる有用な測定方法と考えられた. 小児耳管の立体解剖学的特徴を, ヒト生体において初めて証明した. これらの耳管の年齢変化は, いずれも小児の耳管機能が未熟であることを検証, 示唆するものであった. 本手法は多くの生体標本を利用した精密な計測を可能にし, 耳管形態に関する基礎的・臨床的研究の有益な手法となりうるものであった.
  • 大越 明, 志賀 清人, 佐々木 一葉, 浅田 行紀, 西川 仁, 小林 俊光, 渡辺 みか
    2008 年 111 巻 7 号 p. 533-536
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/01
    ジャーナル フリー
    上咽頭癌放射線化学療法後に放射線誘発肉腫が発生した2例を経験した. 第1例は40歳男性, 上咽頭癌治療後10年目に鼻腔後端部に悪性末梢神経鞘腫malignant peripheral nerve sheath tumor (MPNST) が出現した. 第2例は64歳男性, 上咽頭癌治療後10年目に下顎歯肉原発と考えられる悪性線維性組織球腫malignant fibrous histiocytoma (MFH) が出現した. いずれも根治手術を行ったが, MPNSTの1例は再発し原病死した.
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