日本耳鼻咽喉科学会会報
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104 巻 , 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 正木 義男, 小笠原 香緒, 渥美 和江, 渡辺 道隆, 古川 朋靖, 石川 正治, 市川 銀一郎
    2001 年 104 巻 10 号 p. 1001-1009
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    (はじめに) 音刺激が頸筋に与える影響については, Vestibular Evoked Myogenic Potentials (VEMP, 以下VEMPと略す) として報告されているが, 音刺激が頸髄にどのような反応を引き起こすかということについては報告がない. 今回は音刺激により頸髄に誘発される電位について検討した.
    (対象と方法) 対象は成猫10匹. ミオブロックとケタラールで非動化した後, 鼓膜に異常がないことを確認した. 両耳のABRを測定し, その反応域値を測定した. 頸椎背側を除去し, 頸髄のC3からC6レベルを露出し脊髄前角に直径0.4mmの同心軸針電極を挿入した. 音刺激はクリック音を使用し, 刺激頻度は1Hz~20Hzとした.
    (結果) 音場で1Hzのクリック音刺激を与えたところ, 頸髄C3レベルにて4.89msec~5.10msecにピークをもつ誘発電位が認められた. この反応はABRの域値上45dBSPL~60dBSPLで認められ, 音圧が低くなると潜時が延長した. 頸髄C4からC6レベルでも測定を試みたが反応電位は確認できなかった. また, 対側耳を刺激した場合も反応電位は確認できなかった. 刺激頻度を変化させ100回加算したところ, 刺激頻度が高くなるほど振幅が減少し, 20Hzでは反応がほとんど消失した.
    (考察) 頸髄のC2からC5レベルの脊髄前角には副神経脊髄核が存在しているが, 特にC3レベルは胸鎖乳突筋の運動と関連している. 刺激頻度を高くするとABRは変化を認めなかったが, 本反応は振幅が減少したことから聴覚路とは異なる経路による反応, つまり前庭系の反応である可能性も考えられた. また, 今回の実験結果は副神経脊髄核の音刺激に対する反応を反映しており, VEMPに関連した反応である可能性も考えられた.
  • 矢嶋 裕徳
    2001 年 104 巻 10 号 p. 1010-1016
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    体平衡を維持するために前庭系, 視覚系と同時に深部知覚が重要である. 後頸筋の深部知覚受容器の体平衡に対する重要性はすでに検討されているが, 姿勢制御に関する下肢筋や体幹筋などの他の筋への振動刺激についての系統的な研究は少ない. さらに内耳機能廃絶者へのこれらの筋の振動による効果に関しては, ほとんど知られていない. そこで, 一側内耳機能廃絶者の姿勢制御に対する骨格筋の深部受容器の役割を調べた.
    対象は一側内耳機能廃絶者20例で, 振動刺激装置を装着した後, 重心動揺計の上に直立させた. 後頸筋, 僧帽筋, 腰部, 大腿二頭筋, 大腿四頭筋, 前脛骨筋, 腓腹筋を刺激し, 総軌跡長, 前後・左右移動距離, 外周面積, 動揺中心の偏位などについて解析した.
    僧帽筋, 腰部共に正常者と比べて大きな違いがないことから内耳機能廃絶後の代償について大きな役割をしていないものと考えられる. 大腿二頭筋, 大腿四頭筋刺激は正常者と比べると有意に大きく, 内耳機能廃絶者の代償後の平衡維持の役割の一部を担っていると推測される. 前頸骨筋, 腓腹筋刺激では正常者と比べて有意に大きく, 下腿筋深部知覚は平衡維持や内耳機能廃絶後の代償に対する関与が大きいと言える. 後頸筋では, 刺激によって動揺は大きくなるものの, 正常者と比べ有意差を認めず, 内耳機能廃絶の代償に対して下腿筋や大腿筋ほど大きな役割は担っていないと考えられる.
    刺激部位別に動揺中心の偏位を検討すると, 後頸筋への刺激で一側内耳機能廃絶者では, 患側への明らかな偏位が認められ, 前庭の代償過程において頸部の入力は左右のバランスの維持に重要な役割をしていることが推測された.
  • 近藤 毅, 冨田 吉信
    2001 年 104 巻 10 号 p. 1017-1024
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    近年, 医療の質の向上, 医療費の効率的使用, 在院日数の短縮が提唱されており, そのためにクリニカルパスを用いたチーム医療が注目されている. 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域でも, すでにいくつかの医療施設が両口蓋扁桃摘出術, 鼓室形成術, 上顎洞篩骨洞根治術などに対しクリニカルパスを作成し, 導入しているが, 我々の検索し得た限りでは頭頸部腫瘍に対するクリニカルパスを作成し, 導入施行した報告はみられない. 今回我々は, 頭頸部腫瘍の中でもクリニカルパス導入が比較的容易と思われる甲状腺腫瘍のクリニカルパスを作成・導入し, その結果について検討した.
    当科では平成12年4月から甲状腺良性腫瘍のクリニカルパスを作成・導入し, 術前に諸検査で良性と思われた甲状腺腫瘍患者14例に対して使用し, 併せて医師・看護婦にクリニカルパス使用後のアンケート調査を行った. その結果, 高血圧症合併により血圧測定の回数を増加させた症例が存在したが, クリニカルパスを中止せざるを得ないような大きなヴァリアンスは発生しなかった. クリニカルパスの利点として, (1) クリニカルパス導入前の在院日数が平均18.7日であったのに対し, 導入後は14.5日と4.2日間短縮した, (2) 新人スタッフの教育として使用することができたこと, があげられる.
    腫瘍性疾患はヴァリアンスが多いことからクリニカルパスはあくまで基本であり, 患者によって治療経過には個人差があることを, 患者にも医療スタッフにも教育し十分理解させる必要があると思われた. また, クリニカルパスはその時点での標準・基本であるため, 随時または定期的に見直す必要があると考えられた.
  • 三枝 英人, 新美 成二, 三枝 歌子, 八木 聰明, 高桑 俊文
    2001 年 104 巻 10 号 p. 1025-1033
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    近年, 胃食道逆流症は重症喘息や反復性肺炎, 慢性咳嗽などの呼吸器疾患の誘因もしくは増悪因子として注目されている. また, その呼吸器病変は下気道のみならず, 耳鼻咽喉科領域, 特に下咽頭や喉頭にも及ぶことが指摘されるようになってきた. 一方, 胃食道逆流現象は乳児期には一般によく認められる現象である. 乳児期を過ぎても胃食道逆流現象が遷延して認められる場合, 食道や気道の奇形や, 喉頭外傷後, 脳性麻痺などの神経筋疾患などの基礎疾患が存在することが多いとされている.
    今回, われわれはGERDによると考えられた特異な喉頭病変を有する1歳から8歳までの小児4例を経験した. 全例とも, 他の疾患を否定後, プロトンポンプ阻害剤による診断的治療を行った. その結果, 全例とも著明に改善した.
    最近の生活様式の変遷に伴い, 胃食道逆流症を認める小児が増加しているとの報告もあることから, 今後も, このような患者に遭遇することが予想され, 注意が必要であると思われた.
  • 小川 浩司
    2001 年 104 巻 10 号 p. 1034-1043
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    診療所における急性感音難聴の実態を明らかにする目的で, 当院にて診療した症例について検討した. 平成6年10月より12年9月までの6年間に17, 146名の患者が来院したが, 急性感音難聴は227例 (1.3%) あった. 中等度以上の突発性難聴は45例 (20%), 急性低音障害型感音難聴は111例 (49%), それ以外の軽症の突発性難聴は35例 (15%), メニエール病が13例 (6%), 回転性めまいを伴った急性低音障害型感音難聴が9例 (4%) あった. その他の難聴14例 (6%) は, 音響外傷によるものが7例, 心因性, ムンプス, 聴神経腫瘍がそれぞれ1例あり, 外リンパ瘻, 糖尿病性腎症によるものではないかと思われた症例が1例ずつあった. 側頭部外傷後の難聴が2例あり, 内耳振盪によるものではないかと考えた.
    中等度以上の突発性難聴の場合, 発症から1週間以内に治療をはじめた群では60%が著明回復以上だったが, 8日以後にはじめた群では著明回復以上のものはなかった. 急性低音障害型感音難聴は男女比1: 2.3と女性に多く, 予後は良く, 不明例を除けば79%が治癒であった. 予後不明の者が19名 (17%) いたが, 経過がよかったので, 最終的確認前に通院しなくなったのではないかと想像する. 他の原因不明の軽症難聴は著明回復以上が58%で, 予後は比較的に良かった. メニエール病の聴力障害は予後がよくなかった. 音響外傷による難聴は水平型の高度低下を除けば予後はよい. 小児の心因性難聴は治癒したが, ムンプスによる1例は一側が聾となった. 中等度以上の突発性難聴の22%, 音響外傷以外の突発難聴では, 29%の患者は予後不明であったが, 重い症例や原因がはっきりしない場合は患者自ら大きな施設や専門病院を受診するからではないかと考える.
  • 西山 耕一郎, 高橋 廣臣, 井口 芳明, 山本 一博, 山中 盾, 廣島屋 孝, 佐藤 賢太郎, 竹田 昌彦, 正来 隆, 平山 方俊, ...
    2001 年 104 巻 10 号 p. 1044-1047
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    82歳, 女性の下咽頭の脂肪腫を経験した. 10年前より喘鳴が存在し, 1ヵ月前より呼吸困難を繰り返していた. 呼吸困難の原因は, 脂肪腫に茎があるために容易に移動して, 声門部を閉塞した. 治療は, 年齢と全身状態を考慮し, 極力侵襲が少ないように外切開ではなく, 喉頭直達鏡下にて咽頭腔内よりの手術を施行した. 全身麻酔下に, 下咽頭の脂肪腫基部をレーザーと電気メスにて切断し, サスマタ式縫合器を用いて創面を縫合した. それにより術創の早期治癒を図れ, 早期に経口摂取を開始することが出来た. また外切開を加えないことにより, 低侵襲の手術が施行でき, 術後の経過も良好であった. 喉頭直達鏡下手術におけるサスマタ式縫合器の有用性と, 今後の喉頭直達鏡下手術治療法の拡大について考察した.
  • 大前 由紀雄
    2001 年 104 巻 10 号 p. 1048-1051
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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