日本耳鼻咽喉科学会会報
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98 巻, 7 号
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  • 瀬川 祐子, 東野 哲也, 狩野 季代, 森満 保
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1079-1085,1251
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    外耳道保存鼓室形成術を施行した真珠腫性中耳炎術後のMRI所見と再手術所見を検討した. 再発性真珠腫は, Gdで信号増強されない等信号域として描出され, 特に遺残性真珠腫は削開腔内に丸い等信号域として描出された. 肉芽組織はGdにより信号増強されることにより真珠腫と区別でき, コレステリン肉芽腫は, T1, T2強調像ともに高信号域を示すという特徴的所見を認めた. 血管に乏しい結合組織や貯留液は真珠腫と似たパターンを示したが, 真珠腫よりも均一な信号を呈した. Gd造影MRIは術後性真珠腫の発見に有用であり, 外耳道保存鼓室形成術後の不必要なsecond look operationを回避しうるものと結論した.
  • 山本 哲夫, 久々湊 靖, 縫 郁美, 高田 竜多, 平尾 元康, 上村 正見, 斎藤 博子, 朝倉 光司, 形浦 昭克
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1086-1091,1251
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    シラカバ花粉, カモガヤ花粉, ヨモギ花粉, ダニの4種類のCAPを検査した650例に果物の口腔咽頭の過敏症状の有無を調べた.
    (1) シラカバCAP陽性例 <スコア2以上> 174例の16%に, 他のCAP陽性例 (253例) の2%に果物に対する口腔咽頭の過敏症が見られた.
    (2) シラカバCAP陽性例の13%にリンゴで症状が, 6%にモモで症状が見られ, ともにシラカバのCAPスコアーの高い方が多く, 他の例よりも多く, 花粉の感作の診断の参考となると思われた.
    (3) キウイの症状は, シラカバCAP陽性例の3.5%に, シラカバ以外のCAP陽性例の1.2%に見られたが, 有意差はなく, 必ずしもシラカバ花粉の感作を示すとは限らないと考えた.
  • 石本 晋一, 田中 正, 丹生 健一, 石橋 敏夫, 市村 恵一, 山田 敦
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1092-1096,1251
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    唾液腺腫瘍の病理組織は良性腫瘍から悪性腫瘍まで, 多種多彩であるが, 悪性腫瘍の中にはlow grade malignant tumorといわれる悪性度の低いものから未分化癌などの悪性度の高い腫瘍までさまざまなものがある. 今回, 我々は右口蓋より発生し, 両側上顎洞に進展したと考えられる巨大な唾液腺腫瘍を経験し, 右顔面皮膚切除を伴う両側上顎全摘出術, 及び肋骨付き広背筋皮弁と前鋸筋皮弁による再建術を行った. 病理組織は低悪性度に位置する腫瘍で, 1991年のWHOの唾液腺腫瘍の新しい分類によるとpolymorphous low grade adenocarcinoma (PLGA) に相当した. ここに症例を提示するとともにPLGAに関しての診断, 治療について考察した.
  • 松浦 一登, 海老原 敏, 吉積 隆, 浅井 昌大, 林 隆一, 静 隆雄, 内山 清貴
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1097-1103,1251
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    頭頸部領域の癌患者には喫煙歴を有する者が多く, 術後肺合併症は周術期死亡の原因として重要である. しかし, 技術的な問題から喉摘患者にスパイロメーターでの呼吸機能評価がされることは少なかった. そこで加温加湿フィルターのホルダーを利用して気管瘻マスクを作製し, 喉摘患者8例について喉摘前後に動脈血液ガス測定値と肺活量 (VC), %肺活量 (%VC), 一秒率 (FEV1.0%), V25/身長 (V25/HT) を測定した. その結果, 末梢気道の閉塞性障害の存在を示唆するV25/HTは喉摘後に全例とも限界値以下となった. このことよりV25/HTは, 喉摘後の呼吸機能の評価として良い指標となりうると考えられた.
  • 玉川 雄也, 田中 秀隆, 萩原 秀夫, 石田 孝, 喜多村 健, 西澤 正豊
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1104-1110,1253
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ミトコンドリア脳筋症の1つであるMELASで知られていたミトコンドリアDNAの塩基番号3243位A-G点変異が, 糖尿病と感音難聴を合併する母系遺伝家系にも近年発見されている. 今回我々は, 母系遺伝と考えられる感音難聴と糖尿病の1家系において, この変異を確認したので報告する. 変異により制限酵素の認識部位を獲得することを利用し, 関連した部位をPCRにて増幅した断片を, 制限酵素分析することにより変異を検出した. さらに直接シークエンスにより塩基配列を決定し変異を確認した. この家系では難聴や糖尿病以外の, MELASでよく認められるような症状を呈する症例も認められ, この変異による症状の多様性が示唆された.
  • 予後因子との関連および手術による機能障害
    氷見 徹夫, 新谷 朋子, 山口 朝, 原渕 保明, 形浦 昭克
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1111-1118,1253
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    人工内耳症例について術後の語音聴取能と術前平衡機能との関連, 手術による前庭機能障害について検討した. 対象は成人言語習得後失聴例で, 平衡機能検査を術前術後に行った. 温度眼振を指標とした前庭機能残存群と喪失群の比較では失聴期間の短い症例では子音聴取能が残存群で良好であった. 重心動揺検査でも動揺面積の小さいほど子音聴取能が良好であった. 手術による前庭機能障害は9%の症例にのみ認められ, 他の症例は機能が保存され, 術前術後の重心動揺に変化は認めなかった. 以上より術前の前庭機能残存の程度は, 失聴期間の短い症例では子音聴取能と関連深いと考えられた. さらに, 手術による前庭機能障害は少ないと考えられた.
  • 鎌田 利彦, 小川 克二, 井口 芳明, 中村 要, 望月 高行
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1119-1124,1253
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    我々は喉頭に発生した血管性平滑筋腫を経験したので報告した. 症例は76歳男性で主訴は嗄声であった. 腫瘍は右声帯より声門下に下垂する小豆大の表面平滑な赤色調を呈し, MRIでは周囲との境界は明瞭であった. 局所麻酔下に気管切開を施行後, 全身麻酔下にて喉頭微細手術を施行した. 我々が渉猟しえた喉頭に発生した良性平滑筋腫瘍の報告は20例 (平滑筋腫9例, 血管平滑筋腫10例, 平滑筋芽腫1例) であり, 中高年に多く発生し, 性別では男性15例女性5例であった. このうち血管平滑筋腫は9例が中高年の男性であった. 発生部位は, 声門上12例, 声門4例, 声門下4例であった. 治療は手術によるが発症部位, 形状により気管切開を必要としていた.
  • 加齢変化と性差・喫煙による影響
    山内 由紀, 遠藤 壮平, 吉村 功
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1125-1134,1253
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    全口腔法味覚検査で, 健康な10代から70代までの味覚障害を訴えていない男性325名, 女性374名 (計670名) について味覚閾値を測定した. Tukey-kramerの多重比較法にて加齢変化を検定したところ, 甘味を除く3味質では70歳代で有意な閾値の上昇を認めた. 20歳代以降では, 酸味の半数, 塩味, 苦味の一部の年代で女性の閾値は男性の閾値よりも有意に低くなっていた. 10代後半では, 男性の閾値の方が女性の閾値よりも低値であり, 他の年代とは逆の結果であった. 1日10本以上吸う男性喫煙群では, 20歳代の苦味で有意な閾値の上昇が認められた.
  • 二重盲検法による有効性の検討
    酒井 文隆, 吉田 晋也, 遠藤 壮平, 冨田 寛
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1135-1139,1255
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    73例の特発性および亜鉛欠乏性味覚障害患者にピコリン酸亜鉛を投与し, その効果を二重盲検法によって検討した. 亜鉛投与群には1カプセル中29mgの亜鉛を含有するピコリン酸亜鉛剤を1日3回経口投与し, 3カ月経過した時点での自覚症状改善度, 濾紙ディスク法および全口腔法による治療効果, 血清亜鉛値について対照群との比較検討をした. 自覚症状改善度および全口腔法による治療効果の比較では両群の間に有意の差は認められなかったが, 濾紙ディスク法による治療効果の比較では亜鉛投与群において有意の改善がみられた. また血清亜鉛値においても亜鉛投与群で有意の上昇が認められた.
  • 中里 真帆子, 遠藤 壮平, 冨田 寛, 吉村 功
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1140-1153,1255
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    正常人461名に対して3対の部位の電気味覚閾値を電気味覚計 (TR-06, リオン株式会社) のワイドレンジで1人の検者が測定した. 年齢区分間で多重比較を行ったところ, 加齢により鼓索神経領域と舌咽神経領域では60代より, 大錐体神経領域では70代より閾値が有意に上昇していた. 性差は10代後半で有意に女性の閾値が低下していた. どの部位でも女性の方が閾値が低い傾向があった. 左右差は, 大体6dB以内であった. 部位差は, 軟口蓋の閾値は常に舌尖や舌根より高かった. 舌尖と舌根の閾値はほとんど差がなかったが, 10代後半では, 舌尖の閾値の方が舌根より有意に低かった. 非喫煙者に比べて喫煙者では, 30代, 40代では軟口蓋の閾値が有意に低下していた.
  • 斎藤 和也
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1154-1163_2,125
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    咽喉頭異常感症の成因たる不顕性嚥下障害のビデオ食道透視検査上の特徴を検討した. 咽喉頭異常感症患者30名と正常ポランティア12名を対象とし, 液体バリウムのスプーン嚥下 (35ml) とカップ嚥下 (1520ml) について, パーソナルコンピューターを利用して時空間解析を行った. 咽喉頭異常感症患者のうち嚥下障害の関与を疑われる症例では, スプーン嚥下時, 咽頭内において造影剤の流れが一時停滞するビデオ食道透視検査所見が特徴的であった. 停滞する部位は咽頭蓋谷と梨状陥凹とに分かれたが, いずれの場合も咽頭期嚥下惹起の遅延がその背景にあることが明らかとなった.
  • 1995 年 98 巻 7 号 p. 1164-1172
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 7 号 p. 1172-1191
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 7 号 p. 1192-1201
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 7 号 p. 1201-1214
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 声帯ポリープ切除のコツ
    福田 宏之
    1995 年 98 巻 7 号 p. 1216-1219
    発行日: 1995/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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