日本耳鼻咽喉科学会会報
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73 巻 , 5 号
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  • 小宮 喜八郎
    1970 年 73 巻 5 号 p. 681-694
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
    42才男子は1961年秋より持続する血性鼻漏と鼻閉を主訴として1962年1月に入院した.入院検査の結果は数回の鼻腔粘膜の生検で両側鼻粘膜の肉芽性潰瘍が認められた.又顕微鏡的血尿と蛋白尿が認められ,さらに腎生検による病理組織学的所見により,Wegener氏肉芽腫症と診断された.鼻腔の潰瘍性変化は,ステロイドホルモン投与により一時的に停止した.しかし臨床症状は薬量を減ずると増悪した.約3年間の臨床経過の間に鼻腔の破壊的変化,眼球突出,肺の肉芽性変化は漸次増大した.また一時左側の片麻痺も現われた.1964年11月,発熱,眼窩痛,呼吸困難が起り,胸部X線像で右肺に腫瘤状陰影を認めたがステロイドホルモンの増量投与により,まもなく消失した.1965年2月,気管支肺炎で死亡した.
    死後解剖の主要所見は次の如くであつた.
    1.鼻腔,副鼻腔,咽頭,眼窩,気管,食道,両肺に瀰慢性壊疸性肉芽病巣.
    2.左肺に鶏卵大の膿瘍.
    3.腎,肝の混濁腫脹.
    4.大脳の右頭頂葉と左前頭葉に粟粒大の軟化巣.
    5.組織学的所見:鼻腔その他の多くの器官の肉芽病巣は炎症性細胞浸潤と血管壁の著明な肥厚,Onion skin様所見をともなつた血管周囲組織のフィブリノイド変性が認められた.腎には特異的なフィブリノイド変性及び肉芽病変が糸球体や糸球体周囲組織に認められた.肝と脾には血管壁に肉芽性増殖性変化が認められた.副腎及び骨髄に軽徴な萎縮像を認めた.
    以上の如く症例につき臨床経過と剖検所見につき報告するとともに,以前我が教室で経験した症例や,さらに内外の文献上に現われた他の症例と比較検討し,本症例の興味ある所見及び意義をあげて考察を加えた.
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