日本耳鼻咽喉科学会会報
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98 巻, 3 号
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  • 堂坂 善弘, 間口 四郎, 高木 摂夫, 永橋 立望, 福田 論, 犬山 征夫
    1995 年 98 巻 3 号 p. 357-361,517
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    シラカンパ花粉飛散がない6月にも症状を発現しているシラカンパ花粉症症例をしばしば経験し, 他の花粉の重複感作またはブナ目花粉の共通抗原性を疑い調査研究を行った. 患者のシラカンパ, コナラ, ブナ各RAST値間に高い相関を認め, シラカンパ花粉抽出液によりコナラ, ブナ各RAST値が有意に抑制されたことより, シラカンパ花粉とコナラ花粉およびブナ花粉間には共通抗原性が認められ, シラカンパ花粉症患者が6月に症状を発現する原因はその植生からコナラ属花粉と考えた. 高山以外にシラカンバの植生のない本州地方でのシラカンバRAST陽性者は他のブナ目樹木花粉によって感作されていると推察した.
  • 山際 幹和, 藤田 健一郎
    1995 年 98 巻 3 号 p. 362-367,517
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    500名 (男172, 女328, 年齢58.4±14.0歳) の患者を対象として, CMI健康調査表の自律神経失調症状に関した33問に対する回答結果と心電図R-R間隔変動係数 (CVR-R (%) ) 解析による自律神経機能検査結果が咽喉頭異常感と関連するかにつき検討した. その結果, 咽喉頭異常感のある例で自律神経失調症状数が有意に (p<0.0005) 多く, CVR-R (%) 相対値が有意に (p<0.05) 小さかった. ただし, 自覚的自律神経失調症状の多少はCVR-R (%) や年齢を考慮して算出したCVR-R (%) の相対的な大きさと有意の相関はなかった. 以上のように, 咽喉頭異常感が自律神経失調症状と密接に関連する症状であることを証明しえた.
  • 熊谷 重城
    1995 年 98 巻 3 号 p. 368-379,517
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    カナマイシンを投与して作製した蝸牛障害モルモットのDPOAEと外有毛細胞の組織像とを比較検討した. カナマイシンの作用によってDPOAEレベルが変化し, DP gramと外有毛細胞の残存率のパターンとは良く一致した. この結果から, DPOAEの発生には正常な外有毛細胞の機能が必要であり, DPOAEを測定することによって組織学的検索を待たずして蝸牛内での病変の分布が推定可能であると考えられた. そのためには入り音圧, 中耳環境等を適切に設定することが必要である. またDPOAEは臨床検査としても非常に有用であると考えられた.
  • 70歳前後における聴力経過の検討
    池田 元久, 渡辺 〓
    1995 年 98 巻 3 号 p. 380-390,517
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    70歳前後およびそれ以降にめまい発作が初発したメニエール病11例, 長期経過観察中に70歳以上に達したメニエール病10例について検討し以下の結論を得た. 1) 今後, 単に高齢者人口の増加のみならず, 要職にある高齢者や病気の家族の看病をしなければならない高齢者の増加が明確であるので, めまい発作が70歳以後に初発するメニエール病の増加が予想されることを念頭にいれて, 高齢者のめまい患者に対応する必要があろう. 2) 若年, 中年期に発症したメニエール病症例が70歳前後に達するときは, 回転性めまい発作を長期間認めない症例でも, 発症時の患側のみならず反対側の聴力低下に対する注意が必要である.
  • 河北 誠二
    1995 年 98 巻 3 号 p. 391-401,519
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    モルモット披裂筋を用い, 運動神経支配様式を神経再支配の機序より検討した. 一側上喉頭ならびに反回神経切断後, 光学および透過型電子顕微鏡ならびにグリコーゲン消耗法にて形態変化と神経筋伝達を検討した, 半数の神経筋接合部では神経終末の変性後, 1週目で再生と考えられる神経終末を認めた. 5週目では健側反回神経によりすべての筋線維が再支配された. 左右反回神経披裂筋枝の吻合ならびに筋内神経束で無髄線維の出現と髄鞘化を観察した. 個々の筋線維は片側性支配を受ける. 一側脱神経後は健側からの側枝発芽により, 脱神経された筋線維が変性する前に再支配され, 筋全体では両側から特有の運動神経支配を受けていることが示唆された.
  • 術後経過不良例の検討
    深見 雅也, 柳 清, 浅井 和康, 鴻 信義, 森山 寛
    1995 年 98 巻 3 号 p. 402-409,519
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎に対して内視鏡下鼻内手術を行った153症例について, 自覚症状, 鼻茸の程度, 画像診断上の副鼻腔陰影により術前の重症度の評価を行い, 術後の自覚症状の改善度および内視鏡所見を検討した. 高度病変例を含むほとんどの例で改善が得られ, 自覚症状は総合改善度で99.3%と高率であり, 改善率の低い嗅覚障害でも81.0%であった. 術後自覚症状, 内視鏡所見ともに不良の術後経過不良例8例は, アレルギー性鼻炎や喘息を合併する4例, 嗅裂粘膜の病変が残存した1例, 骨硬化の著明な長期罹患例1例, 膜様部の狭窄した2例であった. 内視鏡下鼻内手術は, 手術の必要な慢性副鼻腔炎患者のほとんどに適応になると考えられた.
  • 井口 芳明
    1995 年 98 巻 3 号 p. 410-420,519
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    当院ではアレルギー性鼻炎患者に対して80%トリクロール酢酸を下甲介粘膜に塗布する下甲介化学剤手術を行ってきた. しかしながら, その治療後に誘発試験が陰性化するにもかかわらず, 水様性鼻汁が存続する患者が認められる. そこでその鼻汁中蛋白質成分を分析しその病態を解析した.
    その結果, アルブミンと23kD蛋白質を測定することによりアレルギー性鼻炎と血管運動性鼻炎の鑑別を正確にかつ客観的にできることがあきらかになった. 誘発試験陰性症例の鼻汁は血管運動性鼻炎様の病態が残存し鼻汁症状を呈していると考えられた. また23kD蛋白質は下甲介化学剤手術の適応, 治療効果判定のパラメータとなり得ることがわかった.
  • 多角的補助手段による病理診断
    鈴木 秀明, 池田 勝久, 高坂 知節, 一迫 玲
    1995 年 98 巻 3 号 p. 421-429,519
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    上咽頭に発生した髄外形質細胞腫のまれな1症例を報告する. 症例は76歳女性で後鼻漏を主訴として来院した. 上咽頭後壁に存在する腫瘍の生検を行い. 病理組織学的に光顕および電顕レベルで形質細胞の特徴を持つ腫瘍細胞の増殖が認められた. さらに, 免疫組織学的検索, フローサイトメトリー及びDNA検索により, IgA-χ産生型の典型的な形質細胞系腫瘍であることが確認された. また骨髄検査, 骨X線写真, CT, シンチグラムにて上咽頭以外の部位に病変は認められなかった. 局所に58Gyの放射線照射を行ったが著効が得られず, KTP/532レーザーを併用した経鼻的内視鏡手術により腫瘍摘出術を施行し, 現在外来にて厳重に経過観察中である.
  • 第2報 睡眠時反応の検討
    梅垣 油里
    1995 年 98 巻 3 号 p. 430-441,521
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    正弦波的振幅変調音 (SAM音) により誘発されるauditory steady state response (聴性定常反応SSR) が, 他覚的聴力検査法として有用か否かを明らかにする目的で検討を行っている. 今回は, 本反応の実測の波形に睡眠がどのような影響を与えるかにつき検討し, 覚醒時反応との比較を行った.
    搬送周波数500HzのSAM音 (変調深度90%, 変調周波数20~70Hz) を用いて, 本反応の反応振幅, Diamond法による反応潜時, visual inspectionによる反応閾値につき, 覚醒時と睡眠時の反応とを比較した. また同様の条件にて睡眠時の乳幼児で本反応を記録し, 成人反応と比較すると共に, 本反応における年齢的成長を確認した.
  • 中井 健
    1995 年 98 巻 3 号 p. 442-456,521
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    咽頭拡大術による声道形態の変化が構音に与える影響を, その代表的術式である口蓋垂軟口蓋咽頭形成術 (UPPP) を行った症例について検討した. 日本語単音節25音による聴覚的検討 (12例) では手術前後の発語明瞭度に有意な変化はなく, 特定の音節への異聴傾向も認められなかった. 5母音のホルマント周波数 (F1, F2) についての音響学的検討 (20例) では, 術後に/e/F1, /e/F2の上昇傾向および/u/F2, /o/F2の低下傾向が認められたが, F1, F2の個人内変動との比較では, 手術による変化は個人内変動の範囲内であった. 以上より, 咽頭拡大術による構音への影響は, 音韻性について問題がないことが示された.
  • 中里 秀史, 池田 稔
    1995 年 98 巻 3 号 p. 457-464,521
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    非特異的ウイルス感染において上昇すると言われている2-5オリゴアデニル酸合成酵素 (2-5AS) を末梢性顔面神経麻痺におけるウイルス感染の診断目的にて, ベル麻痺83例, ハント症候群20例, および健常者74人において測定した.
    測定は血清2-5AS活性および末梢血白血球2-5AS活性の両者につき施行した.
    血清2-5ASはウイルス感染の診断には有用とは言えず, 白血球2-5ASも診断的有用性は十分とは言えなかったが, ベル麻痺において, 白血球2-5AS活性が著しい高値を示した症例が3例 (13.0%) あり, この3例はウイルスが麻痺の原因である可能性が高いと考えられた.
  • 1995 年 98 巻 3 号 p. 465-476
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 3 号 p. 476-485
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 3 号 p. 486-502
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • めまいの外科的治療
    久保 武
    1995 年 98 巻 3 号 p. 504-507
    発行日: 1995/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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