日本耳鼻咽喉科学会会報
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96 巻, 2 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 飯沼 壽孝, 石尾 健一郎, 善浪 弘善, 栗山 純一, 広田 佳治
    1993 年 96 巻 2 号 p. 175-181,361
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    眼窩壁骨折が疑わしい顔面骨折59症例において普通X線撮影法 (コールドウエル法, ウオータース法) と冠状断層CTを行い, 眼窩底と内壁 (いずれも前方と後方に分類して検討) 及び篩骨上顎板の骨折の存在及びその形態を比較検討した. 骨折の存在診断率 (普通撮影法所見で存在しCTでも証明) は眼窩底 (前方78%, 後方73%), 眼窩内壁 (前方72%, 後方72%), 篩骨上顎板64%である.
    偽陽診断率は眼窩底と眼窩内壁では前方に限りそれぞれ約13%, 7%であり, 篩骨上顎板では約11%である. 偽陰診断率は眼窩底 (前方9%, 後方10%), 眼窩内壁 (前方21%, 後方28%), 篩骨上顎板21%である. 従来の類似の報告に比較して眼窩内壁の診断率が高率であった.
  • 殊に視力障害例の分析
    田中 聖, 安岡 義人, 亀井 民雄
    1993 年 96 巻 2 号 p. 182-191,361
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1977年1月より1986年12月までに群馬大学耳鼻咽喉科にて入院加療した, 前頭・篩骨・蝶形骨洞〓胞96例の一般臨床統計, 及び視力障害例の発症原因と予後について検討した. 〓胞の原因は約2/3が術後性, 約1/3が原発性で, 術後性〓胞は男性に多く, 原発性〓胞には明らかな男女差は認めなかった. 原発性〓胞の入院時平均年齢は56.4歳であり術後性は41.2歳で15年の差があった. 〓胞の再発は前頭洞ないし前頭篩骨洞〓胞に多く再発を繰り返すたびに〓胞発生までの期間が短くなっており, 手術方法の工夫が望まれた. 視力障害は視神経管部の圧迫のみでなく眼球後部を圧迫する〓胞でも発症しており, その機序について考察した.
  • 中野 博孝, 関谷 透, 緒方 洋一, 岡崎 英紀, 田原 哲也, 原 浩貴
    1993 年 96 巻 2 号 p. 192-196,361
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    P. multocidaは犬や猫の口腔内常在菌である. 最近ペットブームに伴い, 本感染症が増加し, その病原性が注目されている. 今回飼い猫由来と考えられたP. multocidaによる副鼻腔炎の一症例を経験したので報告する.
    症例は39歳, 女性. 2週間前より鼻閉, 鼻汁が持続. 右鼻内に膿性鼻汁, x線上右上顎洞陰影増強を認めた. 患者鼻汁, 飼い猫唾液からP. multocidaが得られ, その生化学的性状. 血清型, 薬剤感受性がすべて一致したため, 本菌は飼い猫由来と確定した.
  • Acoustic rhinometryの応用
    加瀬 康弘, 市村 恵一, 飯沼 壽孝
    1993 年 96 巻 2 号 p. 197-202,361
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
    鼻副鼻腔手術による鼻腔開存度の変化を客観的に評価する目的でacoustic rhinometryを応用した. 対象は鼻副鼻腔手術を施行した14症例20側, 男: 女=12: 2, 年齢17~68歳である. 測定は術前と術後1~2週間後に施行した. 比較検討した測定値は鼻腔容積 (測定上の6.9~14.1cmまでの容積), 鼻腔断面積 (測定線上の11.0cmと13.4cmにおける鼻腔断面積の平均値) である. 1例を除き全例で術後の鼻腔容積, 鼻腔断面積は術前より増加を示し, acoustic rhinometryは手術による鼻腔開存度の変化を客観的に評価する有用な測定値であることが示された. しかしacoustic rhinometryによる評価にあたり, 生理的な鼻腔粘膜の変動, 副鼻腔の影響, 狭い中鼻道症例についてはさらに検討が必要である.
  • 永瀬 茂代
    1993 年 96 巻 2 号 p. 203-211,365
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    モルモットに10mg/kgのメタンフェタミンを投与し, メタンフェタミンが聴覚系に与える影響を観察し, 次の結果を得た.
    1. ABRの各波潜時および波間潜時は, メタンフェタミン投与後120分までに短縮する傾向が認められた.
    2. 下丘の活動電位ではメタンフェタミン投与後60分まで, 蝸牛神経の活動電位では約90まで持続する潜時の短縮, 振幅の増大が観察された.
    3. 酵素抗体法によるメタンフェタミン投与30分後の光学顕微鏡下の所見は, 下丘では神経細胞と軸索に, 蝸牛ではコルチ器を中心にラセン神経節細胞, ラセン靱帯に強い陽性反応を示した.
    4. 血清中の薬剤濃度は短時間で上昇し, 時間経過とともに指数関数的に減少する傾向を示した.
  • ヒトとスンクスについて
    上野 則之, 須藤 光, 服部 康夫, 弓削 庫太, 宮木 孝昌, 伊藤 博信
    1993 年 96 巻 2 号 p. 212-218,365
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    形態が哺乳動物種間で最も変化に富むとされる外耳において神経分布に種差は存在するのか, 特に原始的な体構造を有するとされる食虫目に属するスンクスとヒトの比較を行った. 外耳領域における神経分布について肉眼解剖学的手法を用いて検討し, 以下の結果を得た.
    ヒトおよびスンクスともに三叉神経, 顔面神経, 迷走神経の3種の脳神経と頸神経叢の枝が外耳領域へ分布しており, 分布する神経の種類において種差は認めなかったが, その分布面積の割合に差があるものと思われた.
  • 切開と穿刺の比較
    矢野 純, 沖田 渉
    1993 年 96 巻 2 号 p. 219-224,365
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    入院治療を行った扁桃周囲膿瘍の32例を対象に, 切開排膿と穿刺吸引の二つの治療の有効性を比較した. 解熱 (37℃未満) までの期間は, 切開排膿の12例が入院後平均2.0日間 (範囲は0~8日), 穿刺吸引の20例では平均2.1日間 (範囲0~4日) であった. 全粥食を取れるまでの平均期間は, 切開排膿の症例で入院後平均3.8日間 (範囲は1~9), 穿刺吸引の症例では平均3.2日間 (範囲は3~9) であった. 入院期間は, 切開排膿の症例で平均5.4日間 (範囲は3~9), 穿刺吸引の症例では平均5.5日間 (範囲は4~10日) であった. 再発率にも差がない (穿刺吸引の症例では3例, 切開排膿の症例では1例の再発) ので, 穿刺吸引は切開に劣らない治療法であると結論した.
  • 水上 千佳司, 山本 悦生, 大村 正樹, 老木 浩之, 辻 純, 宗田 由紀, 田辺 牧人, 白馬 伸洋
    1993 年 96 巻 2 号 p. 225-230,365
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    複数のオージオメータとパーソナルコンピュータを接続し, LANを使用した標準純音聴力検査データベースシステムを作成した. 本システムは, 1) 複数のオージオメータからデータを取り込むことができ, 2) 10年分以上のデータを貯え, 瞬時に検索でき, 有用と考えられた.
  • 強大音負荷及びグルタミン酸阻害剤 (JSTX) の影響について
    瀬成田 雅光, 米納 昌恵, 芹澤 富士子, 原 晃, 待木 健司, 草刈 潤
    1993 年 96 巻 2 号 p. 231-237,367
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    グルタミン酸 (Glu) は蝸牛求心神経の伝達物質の候補の中で最も有力視されているものの1つである. 本研究では強大音負荷及びキスカル型受容体のシナプス後神経毒であるジョロウグモ毒素 (JSTX) の灌流を行い, 外リンパ中のアミノ酸濃度に与える影響につき検討した. 強大音負荷, JSTXの灌流下の強大音負荷共に負荷の前後でGluをはじめ各種アミノ酸濃度に有意差を認めなかった. これらの結果より導かれる推論として, 強大音負荷によって有毛細胞から外リンパ腔へ放出されるGluの量が極めて微少で, 本実験で用いたHPLCでは検出できないか, あるいは放出されたGluが直ちにグルタミン酸に変化する可能性が考えられた.
  • 河合 真
    1993 年 96 巻 2 号 p. 238-248,367
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    人工内耳スピーチプロセッサから電気信号を読み取る装置を作成し, 14子音での電極選択様式を調べた. 電極は高低2つの周波数帯を受け持つもの2群から成っており, 各子音でそれぞれ特徴的なパターンを呈していた. これらをソナグラムから計算した理論値と比較すると, 無声破裂音を除いておおむね似たパターンであった.
    また23人の人工内耳患者に聞き取り検査を行い, 異聴表から情報伝達率を求め, 電極選択様式を参考にして検討した. 有声音や半母音では情報伝達率は高く, 電極選択様式も理にかなっていた. 一方, 鼻音や摩擦音では電極選択が適当であるのに情報伝達率は低く, 渡りの部分や子音の高周波数成分の情報が少ないためと推測された.
  • 加藤 雄一
    1993 年 96 巻 2 号 p. 249-259,367
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    微細形態学的手法であるfreeze-fracture, deep-etch replica法 (D-E法) を用いて, 耳下腺多形腺腫基質における線維性構造の三次元的観察を行った. Myxoid areaの基質には, 7~10nm径の細線維群を主体とした均一なネットワーク構造と, コラーゲン線維束と細線維群が混在した複雑なネットワーク構造の2種類が存在した. Chondroid areaの基質には, 豊富で走行の一定したコラーゲン線維束群とわずかな細線維群からなる構造が観察された. また, 腫瘍細胞膜の表面顆粒と細線維群との結合も観察された. 多形腺腫の基質には, これまで報告されたよりも複雑で豊富な線維が存在し, 腫瘍細胞と密接に関連していると考えられた.
  • 一過性蝸牛循環障害モデルを用いての比較検討
    藤崎 恭大
    1993 年 96 巻 2 号 p. 260-270,367
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    直接観察 (IVM) 法とレーザードップラー (LD) 法を用いて, モルモットの蝸牛管外側壁内の血流測定を測定し, 血圧変化と頸動脈内へのNE注入による影響を比較検討した. IVM法とLD法を用いた血流量の測定では, それぞれ血圧依存性があった. 血管外径は血圧に対する相関性が小さく, これに対して血液量は血圧と一致した変化を示した. 血管外径と血流量には相関関係がなかった, ノルエピネフリン (NE; 0.01-2.5mg/kg) の頸動脈内注入は, 蝸牛血流 (速度) の増加あるいは低下を示した. 血流 (速度) の低下を示すものでは, plasma spaceの延長, 赤血球の重合, 連銭形成等を認めた.
  • 横内 載子
    1993 年 96 巻 2 号 p. 271-281,369
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    視運動性後眼振におよぼす頭位の影響を調べる目的で, 正常者29人を対象として, 坐位と側臥位において, 左右方向の視運動性後眼振を調べた. 方法: Jung型刺激装置を用いて, 80°/sの等速度刺激を120秒間与え, 視運動性後眼振の水平および垂直成分をENGで60秒間記録した. 結果: 坐位では全例に視運動性後眼振が出現した. 重力に直角な方向のOKANの出現率は, 重力方向や抗重力方向のそれより高かった. また出現した場合, 緩徐相速度も高かった. 視運動性後眼振には頭位が関係することがわかった. 側臥位でみられた垂直成分の方向からは, 水平成分から垂直成分へのcross-couplingは必ずしも証明できなかった.
  • 辺土名 仁
    1993 年 96 巻 2 号 p. 282-296,369
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ネコの第3, 4頸髄に支配神経を有する頸部筋群で, 腹側筋を主とする7つの筋を対象とした. それぞれの支配運動神経へHRPを直接注入し, 脊髄前角へ標識される運動神経細胞の分布について解析した. 腹側筋では, 斜筋系の2筋は前角外側縁に, 横筋系の3筋は前角内側縁に標識された. 背側筋の2筋は前角腹側正中部に標識された. これら運動神経細胞の前角内分布は, 末梢神経を中心として肉眼解剖学によって分類された筋系と鏡像の関係を示した. この結果は, 末梢の神経支配が脊髄レベルにおいても一定の法則に従うことを示しただけでなく, 今後前庭脊髄路等を含めて中枢と末梢の関連を電気生理学的に解析する上で重要な知見である.
  • 1993 年 96 巻 2 号 p. 297-306
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 2 号 p. 306-319
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 2 号 p. 319-344
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 甲状腺の血管と神経
    大山 勝
    1993 年 96 巻 2 号 p. 346-349
    発行日: 1993/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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