乳幼児の呼吸障害の原因としてアデノイド肥大・口蓋扁桃肥大による上気道閉塞があり, 呼吸停止, 心停止に至ることもある. 今回我々は2歳未満でアデノイド切除・扁桃摘出術 (以下アデ切除・扁摘とする) を施行した症例について臨床的検討を行ったので報告する.
1988年10月~1998年2月までに生下時より続くいびき, 睡眠時呼吸障害を主訴とし, これらの原因としてアデノイド肥大・口蓋扁桃肥大が強く疑われ, 当科でアデ切除・扁摘を施行した18症例 (男児17症例, 女児1症例) を対象とした.
18症例中13症例にアデ切除・両側扁摘を, 3症例にアデ切除のみを, 2症例にアデ切除・片側扁摘を施行した.
アデ切除・両側扁摘の13症例は術後に睡眠時呼吸障害は呈さず, 経過良好であるが, アデ切除3症例のうち2症例, アデ切除・片側扁摘2症例のうち2症例はアデノイドの再増殖, 残存扁桃の代償性肥大により睡眠時呼吸障害を呈し, 再手術が必要であった.
全症例について, 術後易感染性は認めなかった.
乳幼児のアデノイド・扁桃肥大による呼吸障害は放置せず早期の対策が望まれ, 手術的治療も考慮すべきと考えられた. また, 術式はアデノイドの再増殖, 残存扁桃の代償性肥大の可能性があるため, アデ切除・両側扁摘が望ましいと考えられた.
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