日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
75 巻 , 11 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 牧島 和見
    1972 年 75 巻 11 号 p. 1225-1228_2
    発行日: 1972/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1. 目的: 一酸化炭素中毒による耳神経学的症状と全身症状との関連, およびその背景となる形態学的変化については, 未だ充分に把握されていない. 急性一酸化炭素中毒屍剖検例を中心として, これらの疑問点の解明を試みた.
    2. 方法: 54才, 男性の急性一酸化炭素中毒患者の死後, その内耳および中枢伝導路を病理組織学的に検索し, 本症例と同時被災の症例群の諸症状との関連について考察を加えた.
    3. 結果: 剖検例の病理組織学的所見.
    (1) 両淡蒼球の軟化巣のほか, 一般に大脳, 小脳, 脳幹部, 第8脳神経には著変がなかった.
    (2) 内耳では, ラセン神経節には萎縮が認められたが, 血管条, コルチ器などには著変がなかった. また前庭神経節, 球形のう, 卵形のう, 半規管にも著変がなかった.
    (3) 一酸化炭素中毒による耳神経学的症状は中枢伝導路における病変により惹起されるものと推察した.
  • 増田 喜信
    1972 年 75 巻 11 号 p. 1229-1238
    発行日: 1972/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    〔研究目的〕: 著者はかねてから内耳蝸牛における外リンバの動態, すなわちその生成機転, 循環, 吸収などについて興味をいだき, すでにその成績の一部を発表しているが, 今回は鼓室階外リンバの鼓室階周囲組織, とくにまずラセン器内細胞外間隙への移行を確かめることにより, いわゆるCortilymphの由来, 組成について明らかにするべく, 次でその他の蝸牛組織への外リンバの移行形式から鼓室階外リンバの動態をもあわせて観察すべく, 以下に述べるtracerを用いて実験的研究を試みた.
    〔研究材料・方法〕: 実験動物にはモルモットを用い, horse radish peroxidaseをtracerとし, その移行を酵素組織化学的に追跡し検出するtracer実験を行った. tracer物質は正円窓から鼓室階内に注入され, 光学ならびに電子顕微鏡下に観察した.
    〔研究結果の要約〕: (1) 鼓室階外リンバに注入されたtracer物質は注入後短時間のうちにラセン器内細胞外ならびに細胞間間隙に明らかに証明され, 蓋膜や網状膜より上方には検出されなかったところから, ラセン器内腔とは自由な交通があり, いわゆるCortilymphは外リンバそのものと断定してよいと思われた. またこの鼓室階外リンバ腔とラセン器内腔との間の外リソバの移行経路については, habenula perforataのほかにもラセン器下面の基底膜から直接diffusionのような形で移行する可能性もまた否定できないような所見がみられた. またラセン器内腔をみたす外リンバは, ラセン器の上面を構成する網状膜ならびに蓋板のレベルで内リンバと隔てられており, さらに詳細に観察すると, 網状膜を構成する組織間隙や網状膜と蓋板との間にみられる細胞間のきわめて緻密な接合構造を呈するいわゆるzonula occludensの部位において内外両リンバが隔てられることが確認された.
    (2) ラセン器以外の蝸牛組織への鼓室階外リンバの移行については, まずラセン靱帯には高濃度にかつ早期にtracer物質が移行し, その範囲もその全周に及ぶところから, この疎な結合織より成るラセン靱帯を介して鼓室ならびに前庭階の外リンバは相互に交流が行われうることを示唆していた. またラセン縁にもその組織間隙に多くのtracer物質が認められ, ラセン靭帯とともにいわゆる“perilymphatic tissue”の1つであることを示していたが, 内リンバ方向へは歯間細胞列によってtracer物質の移行が阻止されており, 外リンバが蝸牛管方向に移行しえないことを示していた. 一方直接内リンバに面している内外溝細胞, Claudius細胞, ラセン隆起上皮細胞などは, それぞれの細胞間間隙にtracer物質が証明されたが, それぞれの細胞間の内リンバ面に近い部分にはやはりzonula cccludensが形成されており, この部分より内リソバ方向へのtracer物質の移行は全く認められなかった. また血管条へのtracer物質の移行はそのいずれの細胞層にも陰性であった. 一方Reissner膜では, 中胚葉由来の2層の細胞間間隙と, 内リンバ側 (外胚葉由来) 細胞間間隙のzonula cccludensの部位を除く細胞間間隙にtracer物質が陽性であった. このほかReissner膜だけに特徴的な所見として, この外胚葉由来の細胞には, tracer物質を胞体内にとりこむいわゆるpinocytosis作用がみられること, またこのとりこまれた小胞 (pinccytotic vesicles) の一部を内リンパ方向に排出する過程を示唆する成績がえられたことなどから, この細胞の物質の能動輸送の面で何らかの役割を演じているものと推測された.
  • 和田 昌士
    1972 年 75 巻 11 号 p. 1239-1255
    発行日: 1972/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    中枢神経系疾患の病巣局在診断において, 補助診断法の1つとしての神経耳科学検査が, 最近注目されてきている. しかるに, 今まで, 前庭・平衡機能検査および聴覚検査を同一症例に対しておこない, その病巣局在診断における診断的意義について論じた報告は殆んどない. そこで, 今回は, 「中脳領域障害」を中心に報告した.
    検査対象としては, 第III脳室腫瘍1例, 第III脳室後下部腫瘍2例, 松果体腫瘍4例, 血管障害3例の合計10例である. 以上の症例に対して, 前2回の報告 (延髄障害, 橋障害) と同様, 各種の聴覚検査および前庭・平衡機能検査をおこない検討した.
    検査成績は, 前庭・平衡機能検査により, 1例にて正面固視で上眼瞼向き垂直性眼振, 上方注視時に, 1例にて上眼瞼向き垂直性眼振, 6例に上方注視麻痺を認め, また輻輳時には, 4例に輻輳眼振, 4例に輻輳障害を認めた. OKN検査では, 7例中7例に上向きの解発抑制が認められた. 聴覚検査では, 10例中8例に, 時間歪両耳合成検査にて明瞭度の低下を認めた. 以上より, 中脳領域障害の診断に際して, 前庭・平衡機能検査とともに, 聴覚検査も, 補助診断法の1つとして重要な武器となりうることを報告した.
  • 吉田 義一, 平野 実, 松下 英明, 中島 亨
    1972 年 75 巻 11 号 p. 1256-1262
    発行日: 1972/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    I 我々は5年前, 発声中の声帯振動の超高速度映画撮影装置を開発し, 以来この装置を用いて得られた研究結果を報告してきた. しかし, この装置も常に満足すべきものではなく, 今回過去の経験から新しい装置の開発を行ない完成したので報告する.
    II 新装置開発には, 次の点に留意し設計した.
    1 シャッター定数K=5~10 (ボケの少ない画像のため)
    2 撮影コマ数10,000まで
    3 ASA 200~400フィルム使用 (カラー撮影も可能なこと)
    4 絞りf=8~16
    5 照度250×104Lux以上
    更に装置の一般的構成として
    1 検者と被検者は普通診察時と同じ様に向い合って撮影操作を行なう
    2 装置全体はコンパクトで1つのユニット構造である
    3 高速度カメラは400ftのフイルムも使用可能である
    4 16mmシネカメラ (通常スビード) も同時使用できる
    5 音声, 声門下圧等, 他のパラメーターを同時に記録できる
    III 新しい装置は, 光源として2または3KWのクセノンランプを使用した. 照明法においては光束交叉法が応用された. すなわち, 光源 (クセノンランプ) は回転楕円鏡にて集光され, この光束は第I平面鏡 (コールドミラー) によって90°曲げられた後, 一旦第II焦点を結び再び拡散し, 第II平面鏡 (コールドミラー) にて直角に曲げられ, 非球面コソデンサーによって被写体を照明するに充分な大きさに収束される. この光束は, 口腔内に入り咽頭にて間接喉頭鏡によって声帯に向けられる. 高輝度照明による熱は, コールドミラー型の回転楕円鏡, 2枚のコールドミラー型平面鏡並びに特殊防熱性ガラス材の集光レンズによって除去される. このため熱線による被写体の損傷が極めて効果的に防止されている. 高速度カメラは, 日立HIMAC 16HDを用い, 前後に200mmの可動性をもたせ, 被写体の大きさによって200mmと150mm望遠レンズをつけかえ, これとベローズの組み合わせにより倍率を適当にかえることができる. このカメラは最高400ftまでのフィルム装置が可能なので, 長短種々の発声における撮影ができる. また, オッシロスコープ上の現象を同時に撮影できるので, その他のパラメーターを同時記録することができる. 撮影には, 検者, カメラマン, それに被検者の位置を調整する人を加え3人が当る. カメラマンはコントロールボックスによって全ての器械の作動を1ヶ所で操作できる. 検者と被検者は, 普通診察を行なうのと同じ様に向い合って座り, 被検者には何等束縛を強いることなく, 短時間内に撮影できるのが一大利点である. 従って, 従来よりも広範囲の対象について撮影可能である.
  • 北島 清治
    1972 年 75 巻 11 号 p. 1263-1273
    発行日: 1972/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    目的: 人間の喉頭の発声機能を解明する補助手段の一つとして, 人間喉頭軟骨の軟骨内化骨による骨梁の構築と, これに附着する喉頭筋との力学的関係を検討した.
    研究方法: 研究材料は人の屍体から摘出した喉頭を用いた. 先ず喉頭軟骨の表面に, 細い鋼鉄針で墨汁を穿刺注入した. そして軟骨表面に出来た罅隙線を観察した. 次いで喉頭軟骨をソフテックスでレ線撮影し, 化骨の状態及び骨梁の走行構築を観察した. 最後に輪状軟骨, 披裂軟骨に附着する内喉頭筋のの数と, 太さを計測し, 骨梁と喉頭筋の力学的関係を検討した.
    結果: 輪状披裂関節を中心とした輪状軟骨, 披裂軟骨の罅隙線の走行と, ソフテックス「レ」線像にみられた網目状陰影として認められた化骨骨梁を比較観察して見た. その所見は, 両者共に, 関節面ではそれをつつむように並走する骨梁と, 関節面を中心として, それに直角方向に放射状に走る骨梁とが交叉するのを認めた. この構造はそれらの軟骨に附着する筋肉の牽引や廻転に対して, 十分強力な支持構造になっている. このことは, 輪状披裂関節における披裂軟骨が, その運動に直接関与する7つの筋肉, 即ち, 内外の甲状披裂筋, 後輪状披裂筋, 横斜の披裂筋, 外側輪状披裂筋, 披裂喉頭蓋筋の力を受けとめて, 複雑で強力な不断の運動に対し, 十分適応出来る極めて合理的な補強構築であることを示した.
  • 戸塚 元吉, 小林 武夫, 船坂 宗太郎, 広瀬 肇, 新美 成二
    1972 年 75 巻 11 号 p. 1274-1277
    発行日: 1972/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    顔面筋の異常運動には顔面痙攣, 協同運動など種々のものが含まれるが, その発現機構は全く不明といつてよい. 本疾患では開眼が不能になったり口唇音の発音が不全になったり, 美容的見地のみでなく社会生活上にもいちじるしい障害をうける.
    本疾患は原因が不明のまま, 確実な治療法がない. 薬物などの保存的治療は無効と考えてよく, 主に外科的治療にたよっているのが現状である. しかし外科的治療も異常運動を麻痺におきかえるにすぎない. 我々は2年前より異常運動のうち局所的な例について選択的顔面神経枝ブロックをおこない, 多少の経験をつんだので報告する. この方法では神経枝を発見するのに注射針を兼用する針電極を使用し, 誘発筋電図を観察しつつおこなう.
    方法
    第1段階 1対の表面電極を耳下部にあてて顔面神経本幹を刺激する. 双極針電極を目的とする筋に刺入して誘発筋電図をオツシロスコープで観察する.
    第2段階 戟激用針電極として23G皮下注射針の尖端をのこして絶縁被膜をかぶせたもの2本を目的とする筋を支配する神経枝が走行していると想定される部位に刺入する. この2本の針電極を通して電気刺激を与え誘発筋電図を観察する. 何回かの試行ののち最位も刺激域値の小さい場合をさがせば, これが電極が最も神経枝に近いことになる. 我々は長さ3msecの矩形波刺激で5V以下を目標にしている.
    第3段階 5%フェノールグリセリン2mlを電極針より注入してブロックを完了する.
    本法の利点は非観血的方法で外来でも比較的簡単にできること, 局所的な筋麻痺しかおこさぬので美容的見地からも問題が少いことがあげられる. 故に本法の適応は局所的な筋の異常運動で, 顔面半側にわたる痙攣などは別の方法がよい. 欠点としては何回も針を刺入するので疼痛があること, 他の神経切断術に比し効果が短いことである.
  • 竹林 脩文
    1972 年 75 巻 11 号 p. 1278-1299
    発行日: 1972/11/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    〔第一編〕
    1. 目的
    耳鼻咽喉科及び形成外科領域において, 軟骨移植は種々の目的をもって使用され, 自家のみならず同種移植もよく成功することが知られている. しかし, 軟骨移植の基礎的研究は少く, 殊に同種軟骨がよく生着する事実の説明は充分ではない. 著者は, 軟骨内に多量に含まれているムコ多糖が, 軟骨移植片の長期生存に重要な役割を持っているのではないかと考え, 下記の実験を行った.
    2. 実験法
    体重3kg前後の成熟白色家兎の耳介軟骨を, 他の耳介の皮下に, 移植床となる軟骨に貼り合わせるように自家及び同種移植し, 下記の方法により検討した.
    (A) HE染色 (B) PAS反応及び大野法トルイジンブルー・メタクロマジー (C) Boasの方法によるヘキソサミン定量
    3. 結果
    (A) 自家及び同種移植軟骨は, 組織学的には最高1年まで, よく生着した.
    (B) 組織化学的には, 移植初期 (移植後3日乃至2週) に軟骨細胞内のグリコゲン減少及びそれに引き続いて, 基質内のムコ多糖の減少がみられた. これらの変化は6ケ月乃至1年後にはほぼ正常状態に復した.
    (C) 生化学的観察では, 軟骨内ヘキソサミン量は, 移植後1週で半減し, 以後は再び増量しはじめ, 移植後1年でほぼ正常量に復した. この結果は組織化学的検索とよく一致した.
    (D) 以上から, 同種移植軟骨の長期生存には, 軟骨組織の特殊性, すなわち細胞内の大量のグリコゲン及び基質内の大量のムコ多糖が重要な意義を有するものと考えられた. 殊に, これら物質の, 移植初期における消費が一つの大きな要因となつていると結論した.
  • 水越 治
    1972 年 75 巻 11 号 p. 1300-1308
    発行日: 1972/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
  • 時田 喬
    1972 年 75 巻 11 号 p. 1309-1328
    発行日: 1972/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
  • 1972 年 75 巻 11 号 p. 1329-1348
    発行日: 1972/11/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
feedback
Top