日本耳鼻咽喉科学会会報
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96 巻, 3 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 症例並びに血清疫学的検討
    河合 晃充, 佐藤 幸弘, 山本 英一, 折田 洋造, 岸本 寿男, 木村 雅司
    1993 年 96 巻 3 号 p. 371-378,543
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    近年, クラミジア感染症は変遷しつつある. 特にC. trachomatisによる感染症は最近の性風俗や性習慣の変化により, 口腔や咽頭が感染の場となることが増えている. 著者らは, oral sexによるC. trachomatis感染の患者でMFA法による血清抗体価の上昇と咽頭擦過材料からの抗原の証明に加え, 咽頭側索の生検組織内にもC. trachomatis封入体を証明し得た症例を報告した.
    また, 当科を受診し炎症性疾患患者について各種クラミジアに対する抗体保有率をMFA法にて測定し, 耳鼻咽喉科領域におけるクラミジア感染症の関与についても検討した.
  • 大前 由紀雄, 井上 鐵三, 北原 哲
    1993 年 96 巻 3 号 p. 379-386,543
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    著明な骨棘を認めた10症例の嚥下機能を咽頭二重造影検査と嚥下圧検査で検討した. 咽頭クリアランスが須崎の分類でBタイプを示した5症例では骨棘より頭側の嚥下圧値が有意に上昇し, A+A'タイプを示した5症例では骨棘より頭側における嚥下圧値が有意に低下する頻度が多かった. しかし, こうした嚥下機能の変化と骨棘の大きさとは明らかな相関を認めなかった. すなわち, 骨棘に伴う嚥下機能の変化としては, 骨棘より頭側の咽頭収縮力が亢進し咽頭クリアランス能が比較的良好に保たれる場合と, 咽頭収縮力が低下し咽頭クリアランス能が不良になる場合があり, こうした嚥下機能の変化が咽喉頭異常感の発症に関与していると考えられた.
  • 大橋 晋吾, 服部 康夫, 鶴窪 一行, 中嶋 慶則, 柏戸 泉
    1993 年 96 巻 3 号 p. 387-393,543
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ボタン型電池の鼻腔内異物により重大な組織傷害を来した1症例を経験したので, 家兎を用いて局所傷害モデルを作成し, 傷害の発生因子につき検討し, 更に文献的考察を加えて報告した. 症例の鼻腔内傷害は粘膜, 軟骨および骨の壊死であり, 鼻腔内構造は著しく破壊されていた. 実験によれば, 鼻腔内では短時間内に電池の放電が進み, 同時に強アルカリが生成された. これに平行して鼻腔内構造の壊死性変化も進行した. 以上より症例でも家兎でも組織傷害は, 主として電池放電により生成された強アルカリによって引き起こされ, これに電撃傷及び電池の圧迫による循環傷害も多少関与したと考えられる.
  • 反応初期における蝸牛組織傷害
    富山 俊一, 池園 哲郎, 渡辺 秀行, 八木 聰明
    1993 年 96 巻 3 号 p. 394-402,543
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    内リンパ〓局所免疫反応による蝸牛組織傷害をモルモットで観察した. 二次KLH抗原刺激後5週の期間内で, 140匹中21匹 (15%) に蝸牛組織変性が観察された. 変性部位はラセン器と血管条に最も多く, 各々19匹と17匹であり, ラセン神経節細胞は7匹であった. これらの組織変性は二次抗原刺激後翌日から観察されたが, 発生数には経過による変動はなかった. 1~4日目以内では, 外リンパ腔領域に出血を伴う激しい変性が一部の動物に発生した. 外リンパ腔線維化変性は二次抗原刺激後1週間目以後3匹に観察された. 一次KLH抗原刺激耳では著変なかった. この結果, 内リンパ〓での免疫反応による蝸牛への直接免疫組織障害が示唆された.
  • 岡村 洋沖, 大谷 巌, 菅井 尚則, 鈴木 一憲
    1993 年 96 巻 3 号 p. 403-408,545
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    炭酸脱水酵素 (CA) はいろいろな動物細胞・組織に局在している. 特に, プロトン, 炭酸イオンなどの迅速な交換や運搬が行われている細胞・組織に局在している. 内耳におけるこの酵素の局在と生理機能については良く研究されているが, しかし, これらに関し十分に明らかにされているとは言えない. そこでわれわれは酵素組織化学的方法であるHansson法を用いて, 固定法の改良を行い, モルモット内耳では蝸牛有毛細胞, ダイテルス細胞または神経終末と考えられる部位, 内柱細胞, ベッチャー細胞, 血管条, ラセン靱帯, Vasculoepitherial zone, ラセン神経節細胞に炭酸脱水酵素が局在することを明らかにし, その生理学的役割, 特に内リンパの生産あるいは吸収と関連づけて考察した.
  • 山本 祐三, 伊藤 尚, 坂 哲郎, 高橋 宏明
    1993 年 96 巻 3 号 p. 409-414,545
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    腺様〓胞癌の組織型別増殖能を検討する目的で, 過去に手術摘出した16症例についてHowellらの方法に準じAgNORs染色を行い, 組織型別にAgNOR数を求め, 同一個体内ではAgNOR数を, 個体間では平均AgNOR数の比較を行った. その結果, 腺様〓胞癌の増殖能は同一個体内および個体差に関係なく, 充実型が最も亢進し, 次いで索状型で, 篩状型は最も増殖能が低いことが明らかとなった. この成績は著者らのDNA顕微蛍光測光法による成績と同じ傾向を示した. 従って, AgNORs染色法は腫瘍増殖能を反映する有用な方法であると考えられた.
  • 栗原 秀雄, 田中 克彦, 吉鶴 博生, 西尾 正道, 相川 啓子, 山城 勝重
    1993 年 96 巻 3 号 p. 415-420,545
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍においては多数の腫瘍随伴症候群が知られている. このうち高度の顆粒球増多症を認めた中耳癌の1例を経験したので報告する.
    患者は67歳男性で左顔面神経麻痺で発症し, 中耳癌と診断された. 腫瘍は手術, 放射線照射で制御できずに周囲組織に急速に進展した.
    死亡1カ月前には炎症症状を伴うことなく顆粒球増多症が出現した. 白血球数は急速に増加し, 最高値88300/cmmに達した. このころの血清G-CSF値を測定したところ, 正常の約10倍を示した. 臨床経過から顆粒球増多症が腫瘍によるG-CSFの産生によるものであることが推測された.
  • 森本 賢治, 斉藤 博子, 成田 慎一郎, 朝倉 光司, 形浦 昭克
    1993 年 96 巻 3 号 p. 421-427,545
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    小児鼻アレルギーの発症要因の解明の目的で, 鼻症状を持つ15歳以下の小児196名を対象にし, アレルギー検査およびアンケート調査を行った. アレルギー検査での陽性群, 陰性群におけるアンケート調査での著明な差は認められなかった. 鼻アレルギーをDefinite群, Possible群, Negative群に分けて検討すると, 生後6カ月までの授乳形態が人工栄養であることに有意差が認められた. また合併症および既往歴の検討では, Definite群に喘息が有意に多いことが認められた. 生後6カ月までの人工栄養の有無と, 喘息の既往の有無, 2項目で正判別率を計算すると, 64.2%の確率でDefinite群を予測することができ, 臨床への応用の可能性が示唆された.
  • 柊山 幹子, 松浦 宏司, 森満 保, 小玉 隆男
    1993 年 96 巻 3 号 p. 428-434,547
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    進行性の高度感音難聴, 歩行障害, 錐体路症状, 嗅覚低下. 味覚低下などの神経症状を呈した50歳男性の症例をMRIで脳表ヘモジデリン沈着症 (superficial siderosis of the central nervous systemと診断し, 報告した. そのMRIのT2強調画像では脳表の広範な低信号域と小脳萎縮の典型的な所見を示し, さらに聴神経に沿った低信号も病的所見と思われた. MRI所見, プロモントリーテスト陰性の結果および過去の文献から, 本症例の難聴には少なくとも聴神経障害が関与しているものと推察され, 本症例は人工内耳の不適応とみなされた.
  • 杉本 和彦
    1993 年 96 巻 3 号 p. 435-443,547
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    健常成人, 耳鳴患者, 咽喉頭異常感症患者, メニエール病患者に対してCNVの測定を行った. 各患者にはうつスコアとCMIの検査も行った. CNVの各成分ごとの平均振幅を比較したところ, 健常成人群と比べて耳鳴群では初期成分と中期成分で, 咽喉頭異常感症群では中期成分で, メニエール病群では中期成分と後期成分で振幅が有意に増大した. このことから, 耳鳴患者では音に対して過敏な状態にあり, メニエール病患者では命令刺激に対する準備, 期待が強くなっていると考えた. うつスコアとCNV振幅との間に相関がみられ, これらの疾患の患者に対してCNVの測定を行うことによって, 心理的な関与の大きさを推定できる可能性があると考えた.
  • 心拍変動のスペクトル分析を用いて
    川嵜 良明
    1993 年 96 巻 3 号 p. 444-456,547
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    めまい患者の自律神経機能を検討するため動脈圧波形を非侵襲的に連続記録し, 心拍時間のパワースペクトラムをFFTを用いて計算するシステムを開発し, 68人のめまい患者と33人のコントロールに対して検討した. 心拍変動のパワースペクトラムには0.5Hzまでに3つの成分が認められ, コントロール群のこれらの成分に対する立位, 呼吸, 自律神経遮断薬の影響を評価することにより, 中周波数成分, 高周波数成分がそれぞれ交感神経と副交感神経の定量的な指標となると考えた. コントロール群と比較して, めまい患者群の安静時の副交感神経機能の低下, 受動的立位に対する交感神経機能の亢進の抑制, メニエール病の患者の発作期の交感神経機能の亢進が認められた.
  • 成田 七美
    1993 年 96 巻 3 号 p. 457-465,547
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鼓膜の緊張度, 強度が主に鼓膜固有層の放射状線維で保たれていることに注目してこれを横断する線状切開を作成し, 形態微細構造上の回復過程を観察し, 切開修復鼓膜の引っ張り試験を行い強度の回復過程を検討した. その結果, 透過電顕下での切開4カ月後の鼓膜では, 放射状線維束の断端はずれたままで修復していた. 鼓膜切開後2年経過しても放射状線維が連続的に修復再生している状態は全くみられず, 走査電顕下では切開創の上に瘢痕による膠原線維の塊が厚い層状組織として付着しているのが観察された. しかし放射状線維が連続的に修復しなくても, 修復鼓膜の力学的強度は切開2カ月後で約70%, 4カ月後で約90%の強さに修復した.
  • 河野 淳
    1993 年 96 巻 3 号 p. 466-477,549
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    平均聴力レベル90dB以上 (平均105.9dB) の補聴器装用の高度難聴者49名を対象に, 補聴器による聴覚補償, 主観的評価 (アンケート調査) と客観的評価 (語音了解度検査) との関連性について検討した. 主観的には「静かな所での一対一の会話」の聴覚補償可能例が90-110dBで約60%と高かった. 客観的には聴覚のみと視聴覚併用の正答率は, 単音節で19.6%, 46.3%, 単語で19.8%, 43.4%, 文で29.5%, 60.0%であった. 単語, 文および視聴覚併用, 聴覚の検査項目に他との関連性が多くみられた. 高度難聴者の検査として, 単語, 文の検査, さらに視覚の検査を行えば補聴効果を一層知りうると推察した.
  • 呉 孟達
    1993 年 96 巻 3 号 p. 478-491,549
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    組織構成の基本成分であるプロテオグリカン (PG) およびコラーゲン (Col) は, 組織の結合支持作用のみならず, 細胞の生存環境整備に重要な役割を果たしている.
    特に蝸牛組織とPGとの関連も古くから着目され, アミノ配糖体による蝸牛組織障害においてコンドロイチン硫酸の減少が指摘され, 蝸牛組織障害との関連が強くうかがわれる. 近年種々のPGおよびColの特異抗体が作成され, 従来以上の詳細な研究が可能となってきた. 一方, 近年よく用いられている抗癌剤であるシスプラチン (CDDP) による内耳障害が腎障害とともに重視されている. そこで本研究では, PGならびにColの正常組織における分布と, これに対するCDDPの影響について免疫組織化学的検討を行った.
  • 1993 年 96 巻 3 号 p. 493-501
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 3 号 p. 502-521
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 3 号 p. 521-529
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 気管・食道の臨床解剖
    戸川 清
    1993 年 96 巻 3 号 p. 530-533
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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