炭酸脱水酵素 (CA) はいろいろな動物細胞・組織に局在している. 特に, プロトン, 炭酸イオンなどの迅速な交換や運搬が行われている細胞・組織に局在している. 内耳におけるこの酵素の局在と生理機能については良く研究されているが, しかし, これらに関し十分に明らかにされているとは言えない. そこでわれわれは酵素組織化学的方法であるHansson法を用いて, 固定法の改良を行い, モルモット内耳では蝸牛有毛細胞, ダイテルス細胞または神経終末と考えられる部位, 内柱細胞, ベッチャー細胞, 血管条, ラセン靱帯, Vasculoepitherial zone, ラセン神経節細胞に炭酸脱水酵素が局在することを明らかにし, その生理学的役割, 特に内リンパの生産あるいは吸収と関連づけて考察した.
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