日本耳鼻咽喉科学会会報
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101 巻, 3 号
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  • 清水 隆, 吉田 雅文, 牧嶋 和見
    1998 年 101 巻 3 号 p. 259-265
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
  • 新谷 朋子, 朝倉 光司, 石井 歓, 吉田 瑞生, 形浦 昭克, 小笠原 英樹
    1998 年 101 巻 3 号 p. 266-271
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺の小児(CP児)における夜間の呼吸障害の程度と病態について考察する目的で,アンケート調査および睡眠時無呼吸を有するCP児の臨床的検討を行った.CP児233名を対象に夜間の呼吸状態についてアンケートを行った結果,いびきは147名(63%),鼻閉は46名(19.7%)と健常児に比べ有意に多く見られた.また,喘嗚は37名(15.9%),無呼吸は46名(19.7%)に認められた.アンケートの中で無呼吸を訴えたCP児48名を対験に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のスクリーニング検査を行つ.27%の例でapnea-hypopnea index(AHI)5の病的無呼吸を認め,57.5%例で最低酸素飽和度85%以下の低酸素状態を認めた.蜜た.重度の無呼吸があり精査•治療を行ったCP児10名では頸定してない症例が多く,アデノイド,扁桃肥大例は4名と比較的少なく,舌根レベルでの狭窄が多かつた.無呼吸に対する手術内容は,アデノイド•扁挑摘出術2名,アデノイド切除術2名,口蓋垂軟口蓋嘱頭形成術(UPPP)と舌根切除術1名,気管切開術2名で,いずれも術後経過良好であつた.保存的治療3例の内訳は,抗痙攣荊を変更して改善した1例,側臥位睡眠で改善した1例およびnasal continuous positlve alrway pressu (nasa1 CPAI)にて改善した1例であつた.このようにCP児の無呼吸は多種の要因がからみ治療が困難なことが多いが,閉塞部位の確定を行った後に手術を含めた適切な治療を行う必要があると考えられた.
  • 佐藤 公則
    1998 年 101 巻 3 号 p. 272-278
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    上顎洞病変を治療しても歯性病変が改善せず手術を行った上顎洞性歯性病変5症例を臨床病理組織学的に研究した.
    1)上顎洞の病変は急性上顎洞炎と術後性上顎嚢胞であつた.2)臨床像は上顎洞の病変は改善し,口腔内所見で一見歯冠部ならびに歯周領域に病変がないにもかかわらず,頑岡な頬部痛が続いていた.上顎洞性歯性病変を来した歯は打診痛が全例に認められた.3)組織像は根尖孔から根管部歯髄の感染を起こし歯髄炎•歯髄壊死を生じ,この炎症が根管部から歯冠部へ拡大していく逆行性歯髄炎と歯髄壊死であつた.4)上顎洞病変を加療する際に,上顎洞病変を治療しても頑固な頬部痛が続く症例では,たとえ口腔内所見で一見歯冠部•歯周組織に病変がなくても上顎洞性歯性病変,すなわち逆行性歯髄炎•歯髄壊死の存在を念頭において診断と治療を行うべきであると考えられた.
  • 遠藤 圭介, 五十嵐 眞, 石田 克紀, 飯田 政弘, 坂井 真
    1998 年 101 巻 3 号 p. 279-288
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    C-OKst による OKAN の存在はこれまで明確にされていない.今回我々は,白色背景の黒色ランダムドット刺激により OKAN の存在の確認を試みた.健康成人男女32名(平均25.9歳)に気すして立位,仰臥位,伏臥位にて延べ190回の検査を行い,赤外線 CCD カメラとコンビュータ画像解析器で記録•解析を行った.被験者の片眼にカメラを装着し,他側眼に時計回り(CW),反時計回り(CCW)の刺激を加えた.刺激中は視標追視をさせず,回転中心視のみを課した.立位,仰臥位,伏臥位での刺激中に良好な回旋性 OKN が解発した.更に刺激後,暗所開眼時の眼球運動を記録したところ,伏臥位にて最も明瞭な OKAN の解発が認められた.仰臥位でも解発を見たが,立位では不良であった.解発した OKAN はいずれの体位でもすべて頭位に対し水平性(yaw axis)で,CW 刺激後では緩徐相右向き,CCW 後では緩徐相左向きだった.回旋成分はまったく認められなかった.回旋性 OKN の緩徐増加成分(built-up)は他の報告同様認められなかった.本実験における回旋性 OKN は不随意性であり,間接経路によってのみ解発したと考えられるが,C-OKst による速度蓄積機構を介した出力は,水平性にのみ解発されるという結果であった.
  • 堀井 新, 吉田 淳一, 本城 祐一郎, 三谷 健二, 服部 賢二, 久保 武, 坂井 雅英, 岡本 茂, 高島 庄太夫
    1998 年 101 巻 3 号 p. 289-296
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    唾液腺腫瘍32例において MRI およびflow cytometry (FCM)を用いた核DNA量,細胞周期の分析を行い,病理組織型との相関を検討した。MRIで浸潤所見あるいは境界不明瞭所見を認めた場合悪牲腫瘍と診断し,上記所見を認めずT2強調画像で高信号を示すものを多形腺腫と診断し,T2強調画像で低信号あるいは等信号を示し嚢胞成分を有するものをワルチン腫瘍と診断すると,悪性腫瘍の100%.ワルチン腫瘍の56%,多形腺腫の57%で MRI 所見と病理組織型が一致した.ワルチン腫瘍の33%,多形腺腫の29%は上記分類では病理組織型判定が不可能であり,ワルチン腫瘍の11%は悪性腫瘍と誤判定され,多形腺腫のうちそれぞれ7%ずつは悪性腫瘍およびワルチン腫瘍と誤判定された.FCM の結果,S期および G2•M 期細胞の割合の合計が10%より多い場合悪性腫瘍と診断し,これらが10%以下でKi-67陽性率が20%より多い場合多形腺腫と診断し,Ki-67陽性率が20%以下の場合ワルチン腫瘍と診断すると,悪性腫瘍の67%,多形腺腫の100%,ワルチン腫瘍の78%,で FCM の結果と病理組織診断が一致した.MRI にて病理組織型判定不能となった多形線腫およびワルチン腫瘍を FCM による診断方法によって分類すると全例が正しく病理組織診断され,両者を併用すると最終的に悪性腫瘍の100%,多形腺腫の86%,ワルチン腫瘍の89%で病理組織診断が可能であった.以上の結果より,唾液腺腫瘍術前画像検査として MRI を行い,T2強調画像で高信号を示さない多形腺腫や嚢胞成分を持たないワルチン腫瘍など非典型的症例において,細胞診材料の FCM による分析を追加することによって正確な術前病理組織診断が可能となることが示唆きれた.
  • 臼井 秀治, 下郷 和雄, 大岩 伊知郎, 原田 輝彦, 坂倉 康夫
    1998 年 101 巻 3 号 p. 297-306
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    上顎癌に対する手術療法後の社会復帰を促すための土顎顎欠損に対する機能的補助療法としての顎補綴物の役割は増大してきている一方で,上顎顎欠損症例では,開口障害があるものが30%の割合で存在することが知られている.このために顎補綴を行うための口腔内での操作が物理的に不可能であると考えられ,腫瘍外科医にとって顎補綴治療をためらわせる一因になっているものと推察される.
    1984から1992年の閥に顎補綴症例185例を経験し,全例顎補綴製作し装用させた.このうち,20mm未満の開口量を示す開口障害例が54例あり,これらについて開口量,印象採得回数,顎補綴物の特長,重量などを指標に顎補綴施術が困難か否かについて検討した.
    その結果,現在までのところ最低の開口量が3mm以上あれば義顎製作所要日数,義顎重量およびその形態,印象採得回数には,影響を及ぼさず,義顎製作は可能であった.
    開口量は大きいほど顎補綴施術はより容易であると直感的には感じられるが,この開口部領域,前歯部作業空間面積は共に難易度の差は認められず,むしろ一定以上の開口量とそれを補う空間,すなわち,頬部口唇部の伸展性,残存歯牙,残存顎堤,切除部周辺の瘢痕帯に囲まれた作業空間が難易度を決定する要因になり得るものと推察された.上顎切除後欠損症例で,開口障害が顎補綴治療を不可能にする絶対的な要因とはならなかった.
  • 藤本 保志, 長谷川 泰久, 中山 敏, 松浦 秀博
    1998 年 101 巻 3 号 p. 307-311
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    以前より.口腔•嘱頭がん手術後の嚥下障害に対して輪状嘱頭筋切除術,舌骨•喉頭挙上術が試みられ,その有用性が報告されているが,その適応はいまだあいまいである.
    本報告の目的は舌•中咽頭広範囲切除に伴う嚥下障害の解決策としての輪状咽頭筋切断術,及び舌骨•喉頭挙上術の有用性とその限界について検討することである.
    1992年4月から1996年1月までの間に当科において誤嚥防止術式として舌骨•喉頭挙上術,輪状咽頭筋切除術を施行した舌•中咽頭がん症例.19例を対象とした.年齢は28歳から69歳,舌原発が14例,中咽頭原発が5例である.両側舌骨上筋群切除を伴う舌亜全摘あるいは全摘,舌根を含む中咽頭広範囲切除症例をその適応とした.以上の症例に対して術後の摂取食品や食事内容と切除範囲,及び年齢との関連を検討した.
    その結果,常食を摂取できる2例を含み、15例68%で経口摂取が可能であった.そして,舌根の切除が50%,を超えるかどうかと年齢が60歳以上か否かが経口摂取の可否に有意に影響した.若年症例(59歳以下)では舌根を80%切除しても,常食を摂取できる症例(35歳),舌根を100%切除しても誤嚥しない症例(41歳,51歳)を経験した.しかし一方では,高齢者(60歳以上)で舌根を50%以上切除した4症例はすべて経口摂取できなかった.可動部舌の切除範囲,再建皮弁等は有意な差が認められなかった.
    舌骨•喉頭挙上術, 輪状咽頭筋切断術に広範囲舌,中咽頭切除症例において非常に有用で,若年者ならば,舌根を含む舌全摘であっても喉頭を温存できる.しかし,高齢者でけ限界があり,加齢による嚥下反射の低下が影響ていることが示唆された.
  • 任 書熹
    1998 年 101 巻 3 号 p. 312-326
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    今日,悪性腫瘍の予後や悪性度を推定する上で形態学的病理所見だけではなく,免疫組織学的手法を用いた研究がなされている.本研究では京都府立医科大学耳鼻咽喉科にて治療を行った頭頸部扁平上皮癌106例を対象に免疫組織化学的手法により抗BrdUモノクロナル抗体を用いてS期細胞標準率(SLI)を算出し,細胞増殖活性の指標とするとともに抗EGFRモノクローナル抗体によりEGFRの発現性を調べ,臨床的悪性度および予後との関係について検討した.
    SLIの平均値はT分類においては進行癌で高く,またリンパ節転移陽性例で高値であった.また,SLIの高い症例で生存率が低値を示した.部位とSLIの平均値の間には関連はみられなかった.分化度とSLIの間には関連はみられなかった.一方,EGFRの発現性とT分類の間には関連はみられなかったのに対して,リンパ節転移陽性例でEGFR陽性例が多くみられた.予後についてはEGFR陽性例で生存率が低値であった.部位別では下咽頭癌で他の部位に比べ,EGFR陽性例が多くみられた.また,分化度とEGFRの発現性の間には関連はみられなかった.EGFK陽性例ではSLIの平均値が高植であった.
    以上の結果より,SLIとEGFRは腫瘍細胞の増殖活性を反映し,悪性度の評価に有用であると考えられた.
  • 第42回日本音声言語医学会
    天津 睦郎
    1998 年 101 巻 3 号 p. 340
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
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