日本耳鼻咽喉科学会会報
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109 巻 , 12 号
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  • 佐藤 公則
    2006 年 109 巻 12 号 p. 807-812
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    内視鏡その他の光学器械の発達,レーザーあるいはマイクロデブリッダーなどの手術医療器械の発達,これに伴う新しい手術手技の発達に伴って,鼻•副鼻腔疾患に対しても低侵襲で手術時間が短く,術後の苦痛が少ない手術が行えるようになってきた.これに伴ってオフィスサージャリー(OS)の適応と限界が拡大されてきた.
    鼻•副鼻腔疾患に対するOSの適応と限界を決定する条件は,医療機関の条件としては(1)専門的技術に習熟した耳鼻咽喉科医,(2)医師•看護スタッフの体制,(3)医療機関の設備,(4)帰宅後のフォローアップ体制,特に術後出血がおきたときに速やかな対応がとれる体制,(5)病診連携などが挙げられる.患者の条件としては,(1)患者の状態,(2)OSに対するインフォームド•コンセント,(3)医師と患者との信頼関係などが挙げられる.
    鼻•副鼻腔疾患のOSの適応と限界を決定する重要な条件の一つは,術後の出血にどう対応できるかである.この点から比較的侵襲が少なく,術後出血などの可能性が少ない手術がOSの適応になる.レーザーによる下鼻甲介粘膜焼灼術,非観血的鼻骨骨折整復術,鼻茸摘出術,鼻•副鼻腔手術後の補正手術,副鼻腔嚢胞開窓術などがOSの良い適応になる.さらに鼻内篩骨洞手術程度が,医師も患者も比較的安心してできる限界といえる.それ以上の手術は,同じ疾患,同じ病態でも上述した条件によりOSの適応と限界が異なる.
    耳鼻咽喉科医がOSを含めた治療の選択肢を多く持っていれば,患者の病態,患者の要望に応じた満足度の高い治療が患者に提供できる.特に他科との境界領域疾患の治療を行う際には,耳鼻咽喉科の専門性を発揮することができる.OSの利点と欠点を考慮し,個々の患者,医師,医療機関に適したOSの適応と限界を設定し,安全なOSを行うことが大切である.
  • 王子 佳澄, 松原 篤, 白崎 理喜, 安田 京, 永井 政男, 新川 秀一
    2006 年 109 巻 12 号 p. 813-820
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    花粉飛散開始日は気象条件により左右されるので,その地域に合った予測法の確立が望まれる.青森県は同じ県内でも花粉飛散前の気象条件が地域により異なるため,青森市,弘前市,八戸市の各々について予測に最も有用な気温積算の開始日(起算日)と気温積算の基準となる温度(基準温度)を,過去9年間(1996-2004年)のデータを用いて検討した.また,スギ花粉症患者は個々により感受性が異なり発症時期も異なることから,初観測日,飛散開始日,本格飛散開始日の各々について予測が可能かどうかを検討した.
    その結果,各市において予測に有用な起算日と基準温度を設定し,基準温度を超えた日数(有効日数)を積算することにより,初観測日,飛散開始日,本格飛散開始日が予測できることが示唆された.さらに,2005年の予測と実際の初観測日,飛散開始日,本格飛散開始日についても検討を行った.
  • 橋田 光一, 塩盛 輝夫, 寳地 信介, 北村 拓朗, 宇高 毅, 鈴木 秀明
    2006 年 109 巻 12 号 p. 821-829
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    近年乳幼児における難治性,反復性中耳炎の増加が問題となっており,その要因として薬剤耐性菌の増加,集団保育などが指摘されている.今回我々は夏期•冬期に2集団保育施設園児を対象に,耳鼻咽喉科疾患既往•罹患状況,インフルエンザ菌,肺炎球菌の鼻咽腔検出率,薬剤感受性を検討した.既往歴は中耳炎が最多で,検診結果では鼻•副鼻腔炎が最多であった.インフルエンザ菌検出率は冬期に上昇し,耐性菌比率は冬期に減少した.肺炎球菌検出率は,夏期•冬期ともに40%台で,耐性菌比率は冬期に減少した.耐性菌比率を保育園別にみるとインフルエンザ菌21.6~69.7%,肺炎球菌5.1~48.9%とばらつきがあった.鼻咽腔における保菌の有無,母乳栄養の有無で各疾患の既往に有意差は認められなかったが,冬期の診察所見で,保菌ありの群の鼻•副鼻腔炎の有所見率が有意に高かった.通園期間と保菌率との関係は通園期間3ヵ月以内での保菌率は50.0%で,12ヵ月以降では75~80%であり,ほぼ一定であった.
    以上より,乳幼児は集団保育施設に入園後,速やかにインフルエンザ菌,肺炎球菌の暴露を受け,入園中は菌の定着が維持されるが,耐性菌比率は時期,対象施設によって大きく異なっていた.今後さらに集団保育児の上気道からの細菌サーベイランスを行い,これらの菌の保菌状態,流行性,耐性率を評価する必要があると考えられた.
  • 笹井 久徳, 渡邊 雄介, 宮原 裕, 久保 武
    2006 年 109 巻 12 号 p. 830-834
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    (目的)披裂軟骨内転術は片側喉頭麻痺の外科治療として広く知られており,患側披裂軟骨筋突起に糸をかけ甲状披裂筋と外側輪状披裂筋(LCA)の集約方向に牽引する術式である.ただ原法の牽引方向では甲状軟骨形成術I型の併用を必要とする際,牽引糸がI型の窓枠に干渉し両術式の併用が困難であることも多い.今回我々は筋突起にかけた糸の牽引方向を原法とは異なりLCAに沿ってのみ牽引することで両術式の併用時における有用性と効果について調べた.
    (方法)筋突起へのアプローチは原法に従い行うが,あえて輪状披裂関節は開放せず,筋突起またはLCAの筋突起付着部に糸をかけた.併用する甲状軟骨形成術I型の窓枠を用いてLCAの走行を推定し牽引を行った.甲状軟骨形成術I型の充填材料としてはゴアテックスを用いた.
    (結果)片側喉頭麻痺患者30名に対し行い,全例において術後MPT延長を認め,術前平均6.0秒が術後平均17.9秒と改善した.術後呼吸困難などの合併症は全例において認めなかった.
    (結論)LCAの走行に沿って牽引することで患側披裂軟骨のレベル差の矯正が可能であり,かつ甲状軟骨形成術I型との併用が非常に容易であった.両術式の併用を必要とする高度な声門間隙を有する片側喉頭麻痺患者において非常に有用な方法であると考えられた.
  • 原田 保
    2006 年 109 巻 12 号 p. 840-843
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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