昭和56年に当院癌検診センターが開設し, 昭和59年からは電話音声による嗄声分析システムを補助診断に導入してきた. 開設以来15年が経過したのでその結果を分析し問題点を検討した. 15年間に26, 377名 (男性12, 205名, 女性14, 172名) の受診者があり喉頭癌26名, その他の癌5名 (下咽頭癌2名, 扁桃癌1名, 甲状腺癌1名, 急性リンパ性白血病1名), そしてロイコプラキア51名が診断治療された. 受診者数にしめる癌の割合は約0.12%で, ロイコプラキアを含めると0.31%であった. その他, 声帯ポリープ338名, ポリープ様声帯280名, 声帯結節91名等の良性疾患が診断治療された.
音声分析テレフォンサービスは昭和59年以来17,836件の利用があった. そのうち4,476名 (25.1%) に嗄声を認め, 1,600名 (35.7%) が喉頭癌検診を受診した.
音声分析テレフォンサービスの利用者の精検の結果, 喉頭癌9名, その他の癌1名, 白板症が9名診断され, また声帯ポリープ79名, ポリープ様声帯98名, 声帯結節27名等が診断された.
喉頭癌検診は癌発見率は低いが診断費用が安価であるため癌患者1人あたりの発見に要する費用は胃癌や子宮癌より低く乳癌, 大腸癌と同程度であった.
問題点としては受診者数が少ないこと, 男性の比率が低いこと, 有効な一次スクリーニングの方法が見いだされていないことなどが依然として解消されていなかった.
喉頭癌のハイリスクグループに焦点を当てた啓蒙活動を進める必要があると考えられた.
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