日本耳鼻咽喉科学会会報
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76 巻, 5 号
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  • 全国医療機関登録愚者の生存率調査(昭和35-44年)
    藤巻 龍枝
    1973 年 76 巻 5 号 p. 533-577
    発行日: 1973/05/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    1. 研究目的:喉頭癌の臨床統計は今まで各医療機関毎のものがほとんどであつたが,昭和35年以来頭頸部腫瘍研究会は満10年間,全国大学病院ならびに主要病院において治療された喉頭癌患者の登録を行なつた.そこでこの資料をもとに各種の統計的観察ならびに5年生存率を算出し,本邦における喉頭癌患者の実態を把握し治療法決定に役立てたいと考えた.
    2. 研究方法:毎年1回各医療機関に規定のアンケート用紙による新規患者の登録を依頼し,追跡調査も同様年1回行なつた.10年間の登録患者は6,360例でこれらにつぎ年代的推移,解剖学的分類ならびにStage別分類,性•年令別頻度,自覚症ならびに受診までの期間,治療法別頻度などを調査した.また昭和35-40年の登録患者は満5年を経過し転帰が判明しているので,これらについては主として上記項目別に5年生存率を算出した.なお再発•転移死亡例,ならびに既成の進展度分類についても検討した.
    3. 研究結果:
    1) 全症例は6,360例で10年間に1.5倍になつた.
    2) 解剖学的分類別にみるとGlottic 43.5%, Subglottic 7.4%, Supraglottic 49.1%で,Stage別にはStage I 19.7%, Stage II 48.9%,Stage III 20.9%,Stage IV 10.5% であつた.
    3) 男5,757例,女603例で男女比は9.6:1であった.年令分布は50-69才に70%以上が含まれていた.
    4) 自覚症に嗄声を含むものが86.0%を占め,自覚症発現から6ヵ月までに半数以上が受診していた.
    5) 治療法別例数は部切9.6%,全摘56.2%,放射線34.1%であった.
    6) 5年経過観察を終えた3,361例の予後は生存1,853例,喉頭癌死1,233例,他因死275例でRelativeの5年生存率は60.0%であつた.
    7) 頸部廓清術併用群の方が併用しない群より生存率が高いことが統計的に認められた.
    8) 生命表を応用し5年生存率を求めた結果男62.0%,女63.0%で,解剖学的分類別にはGlottic76.1%,Subglottic 69.0%,Supraglottic 50.7%であつた.治療法別には部切76.4%,全摘65.4%,放射線53,5%であった.またStage Iは83.7%でStage IVの約3.5倍の生存率であつた.
    9) 再発•転移死亡例の部位は頸リンパ簾によるものが34.0%,肺転移が26.8%で,遠隔転移は36.6%にみられた.
    10) T-N総ての組合せによる5年生存率から既成の進展度分類を再検討した結果,T4N0はthe A-merican Joint Committee提案のStage IIよりStage IIIに入れた方が妥当と思われた.
  • 滝口 峻
    1973 年 76 巻 5 号 p. 578-585
    発行日: 1973/05/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    (目的)
    走査型電子顕微鏡を使用して,モルモットの正常なCorti器な観察し,蝸牛各回転毎の毛細胞と聴毛の形態及び聴毛と蓋膜の関係を検索した.
    (実験法)
    Preyer反射正常な成熟モルモットを,ネンブタール麻酔下に断頭後,速やかに蝸牛をとりだし,2.5%グルタールアルデヒドと2%オスミウム酸の混合固定液,又は2.5%グルタールアルデヒドの前固定液と2%オスミウム酸の後固定液を使用し固定した.
    有毛細胞と聴毛の観察には,上昇エタノール系列と酢酸イソアミルで簡易脱水後,真空乾燥又は臨界点乾燥し,蓋膜の観察にはエタノール系列及び無水アセトンにて脱水後温風乾燥し,夫々カーボン,金の二重蒸着をして日本電子製JSM-U3型走査型電子顕微鏡で観察した.
    (結果)
    筆者は,便宜上外毛細胞列を内側(蝸牛軸側)より外側(ヘンゼン氏細胞側)に向けて,1st row,2nd row, 3rd row,一細胞上の聴毛列を外側より内側に向けてA,B,Cと名付けた.
    1) 外毛細胞列は,基礎回転より第3回転までは,3列又は4列であるが,第4回転蝸牛頂部では,helicotremaより1/2回転下方辺より上方に向つて,3rd rowの細胞は配列が乱れ,消失してくるため2列になり,やがて2nd rowの細胞も消失し1st rowのみとなり,遂にはこれも消失して内毛細胞列のみ残つている.この内毛細胞もhelicotremaでは消失している.
    2) 外毛細胞には,W又はV型に配列した3列の聴毛があり,その長さは,同一細胞列では,上方回転ほど,又同一回転部位では,外側細胞列ほど長い.この傾向は,Aにおいて特に著るしく,次いでB,Cの順になつている.従つて聴毛の長さは,毛細胞の位置により異る.但し,蝸牛頂部ではCが痕跡様の場所がある.
    3) 外毛細胞の聴毛数は,上方回転ほど少く,同一回転でも外側列の細胞ほど少い.
    4) 外毛細胞聴毛の配列形態は,基礎回転では各細胞列間に差がないが,上方回転に行くにしたがい,外側列細胞ほど内側聴毛列(C)から不整となり,数も減少している.
    蝸牛頂部の第1列外毛細胞では,BとCの聴毛は殆んど区別できぬほどに数も少く長さも不定となつている.
    5) 外毛細胞聴毛と蓋膜の関係では,蓋膜裏面に各細胞の最外側列聴毛に一致する小孔の列を認めた.
  • 岡 美貴子
    1973 年 76 巻 5 号 p. 586-609
    発行日: 1973/05/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    目的:
    耳鼻咽喉科領域にいて,言語機能と聴覚とを結びつけた研究はほとんど行なわれていなかつた.著者はKey-tappingによる大脳半球優位性テストによつて,言語機能と聴覚機能との関連性について研究を進めた.言語機能の局在側は和田法によって確認し,聴覚検査結果とWada法との結果を対比し,聴覚による大脳半球優位性テストの臨床的意義について検討を加えた.
    検査対象:
    手術,精査の目的で東女医大脳外科に入院した患者44名について,次の検査を行こなつた.(1) 純音オージオメトリー,(2) 語音明瞭度検査,(3) Key-tappingによる大脳半球優位性テスト,(4) 数字加算による大脳半球優位性テスト,(5) 歪語音検査,(6) 和田法による言語位側の決定.
    結果:
    (1) 和田法によつて,言語優位側は44例中38例(86.4%)が左脳優位,5例(11.4%)が右脳優位1例(2.3%)は左右差がなかつた.
    (2) 脳外科で左脳損傷と診断された24例のうち,障害側が優位のものは22例,右脳優位のものは2例であつた.右脳損傷,脳幹部損傷,開頭精査で脳損傷を認めなかつた20例のうち右脳優位のものは3例,左脳優位のものは17例であつた.
    (3) 和田法とtappingによる優位性テストの対応を求めると,44例中母音"あ,,に対して右耳(左半球)1KHZ純音に対しては左耳(右半球)優位のnormal patternを示した17例では,和田法による言語優位側は全例左脳であつた.normal-contra型の2例は和田法でも右脳優位の成績が得られ,normal-pattemを示す例では両者の成績は一致していた.no-difference型のもの11例では全例左脳優位を示した.左側または右側への病的Shiftを示した13例(左脳へのShift 3例,右脳へのShift 10例)では偏位側と言語の局在とは無関係であつた.
    (4) 脳外科診断による脳の障害半球側とtapping法による障害半球側との対応関係は左脳への病的Shiftを示した3例うち,2例は右脳損傷.1例は多発硬化症であつた.右脳への病的Shiftを示めした10例では全例左脳障害であり,優位性の病的Shiftは片側脳の障害を見い出す根拠となり得ることがわかつた.
    (5) 数字加算法による大脳半球優位性テストの結果は,左脳優位23例,右脳優位2例,左右差のないもの13例,テスト不能6例であつた.左脳損傷例24例のうち,和田法で左脳優位は21例であつたが,このうち19例は数学加算法で左脳優位の成績を示し,tapping法によるよりもより言語機能と関連が深いことが知られた.
  • 大野 政一
    1973 年 76 巻 5 号 p. 610-635
    発行日: 1973/05/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    目的:喉頭癌の予後はその早期発見とあいまつて著しく改善されてきている.したがつて現在治療に関しても,その機能を保存した形での治癒を目的とするようになりつつある.
    しかし一方ではなお進行癌症例に遭遇することも稀ではない.南九州における本症の実態把握のため,鹿児島大学耳鼻咽喉科学教室で治療を受けた症例な中心に臨床統計的に観察し,早期発見を妨げる要因,治療法や予後との関係について検索し一部UICC分類の有用性に関して香検討した.
    本症はまたその発生部位および進展状態によつて,治療に対する腫瘍の反応,すなわち治療効果,ひいてはその予後に大きな差がある.したがつて腫瘍の存在する部位またはその領域によつて異る腫瘍の形態学的特性については病理組織学的に検索した.
    研究方法:(1)主として当教室で入院加療を受けた150例について臨床統計的に観察した.
    (2)腫瘍の解剖学的部位による,形態学的ならびに臨床的特性をその腫瘍発育先端部の差異に求め,喉頭癌症例87例,下咽頭癌症例13例の可及的腫瘍中心部をとうり,而も辺縁部,健常部をも含む大切片を作成し,HE染色をした後検索した.
    結果:本症は南九州において必ずしも増加していない.supraglottic cancerは他の領域の腫瘍に比べ予後が悪い.この部位の腫瘍は,その進展範囲より術前照射を施行することが多いが,転移形成による死亡例が多い.喉頭癌は一般的にいつて再発部位が局所であるか,或いは又遠隔転移を示す例では予後が悪いが,頸部リンパ節転移例は治療効果が期待出来る.
    病理組織学的にsupraglottic cancerは(1)腫瘍の脈管内蔓延進展を見る症例が多い.(2)この腫瘍の脈管内蔓延と頸部リンパ節転移には密接な関係がみられる.(3)腫瘍周辺部上皮の異型性増殖が,他の部位よりも多い頻度でみられる、これに対しsubglottic cancerは(1)腫瘍発育先端部の簇出度が高い.(2)腫瘍発育先端部の腫瘍胞巣壊亮がより多く認められ,この周囲には結合織の増殖が著明に認められる.この発育先端部に腫瘍胞巣の変性壊死像のみられる例は,予後が良い.
    喉頭癌は一般的にいつて,腫瘍発育先端部の簇出度と再発との関係は判然としない.腫瘍の脈管内蔓延は術前照射例により多く認められる.
    以上の事例より,術前照射例は抗腫瘍剤の投与が必要であり,腫瘍発育先端部の腫瘍胞巣における壊死巣は,切除範囲の決定に有用であることなどが判つた.
  • 高山 幹子
    1973 年 76 巻 5 号 p. 636-649
    発行日: 1973/05/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    目的:1839年に耳真珠腫が初めて報告されて以来,各方面に渡つてその研究が成されている.その発生に関しては,真珠腫と皮膚との構造の一致を見ることより,外耳道から上皮が侵入するとするimmi-gration theoryが主説となつている.今回脂質分析の面から真珠腫と皮膚との比較を行ない,脂肪酸構成が真珠腫の性質をどのように特微づけているかを考察してみた.さらに総コレステロールについては,臨床所見との比較検討を行なつた.
    実験方法:乾燥試料,それから抽出した脂質,および蛋白質,以上を定量した後,抽出脂質については,総コレステロール,およびそのエステル型と遊離型,中性脂肪,遊離脂肪酸,燐脂質の定量,さらにコレステロールエステル,中性脂肪,遊離脂肪酸の脂肪酸構成をガスクロマトグラフィーにより分析した.
    結果
    1. 乾燥重量に対する脂質は平均25.8%で表皮中の脂質の2倍量であつた.蛋白質は平均40.5%であつた.
    2. 乾燥重量100gに対する総コレステロールは平均4757mg,脂質に対する総コシステロール含有量の割合は平均16.5%,燐脂質は平均2.8%であつた.燐脂質の割合が多いことより真珠腫がactiveな組織であることを裏付けた.
    3. 総コレステロール中,エステル型は42.5%,遊離型は57.5%で,表皮の角質層のエステル型より多いことは,強い角化の性質を有しているといえる.
    4. コレステロールエステルの脂肪酸構成は,パルミチン酸28.2%,パルミトオレイン4.9%,ステァリン酸20.1%,オレイン酸29.6%,リノール酸13.8%,アラキジン酸3.4%であつた.真珠腫と血清との脂肪酸構成を比較すると,その相異は前者では飽和脂肪酸が48.3%と多かつた.粥状動脈硬化症のplaqueと比較するとオレイン酸が脂肪酸中で一番多い割合を示した点が類似していた.
    5. 真珠腫の中性脂肪と遊離脂肪酸の脂肪酸構成は,ステアリン酸を除外して血清および粥状動脈硬化症のplaqueのそれに関しコレステロールエステルほどの差はなかつた.
    6. 真珠腫の乾燥重量に対する総コレステロール量の割合と臨床所見とで相関のあつたものは,罹患年数,術前の聴力損失,真珠腫の存在範囲であつた.
    7. 骨破壊のみられたものでは,乾燥重量に対する総コレステロール量は4046mgで,真珠腫の平均総コレステロール含有量4757mgよりも少なかつた.
    8. 術後性真珠腫で早期に再手術を施行されたものは,総コレステロール量が多かつた.また前回真珠腫のなかつた再手術例に比して,前回も真珠腫の認められた例では,再手術時総コレステロール量が多かつた.
  • 渡邊 嘉彦
    1973 年 76 巻 5 号 p. 650-657
    発行日: 1973/05/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    40才,男子の右側梨状陥凹より発生した,平滑筋肉腫の1症例に関して述べた.すなわち,嗄声と呼吸困難とを主訴として来院したが,下咽頭右側梨状陥凹に中心をもつ直径約6cmの,ほぼ球形の腫瘍が存在し,これが喉頭を圧排していた.右側頸部にも,硬い不動性の長径約7cm,短径約4cmの楕円形,扁平の腫瘤を認めた.この頸部腫瘤の試験切除にて本症と診断した.
    60Coによる放射線治療には抵抗を示したが,下咽頭,喉頭および頸部腫瘤とを一塊として摘出し得て,術後経過良好であるかにみえたが,脳と肺に転移を認め,全身衰弱にて死亡した.
    頭頸部領域における本腫瘍の発生は,きわめてまれなものである.本症例とともに,内外文献にみられた当領域における本症に関して,検索を加えた.
  • 第1編 鼻腔抵抗測定法に関する研究
    長谷川 誠
    1973 年 76 巻 5 号 p. 658-678
    発行日: 1973/05/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    昔からrhinomanometryに関する研究は非常に多く,研究者によりその方法も色々であつた.
    著者はそれらの方法を大別し,
    1. anterior method,2. posterior method,3. combined method,4. その他の方法,の4つに分類し文献的な考察を加えた.またrhinomanometryに関する流体力学的検討もあわせて行つ
    た.
    著者はcombined methodによる鼻腔抵抗測定法について,それより得られる鼻内気流の層流係数,K1及び乱流係数,K2を推計学的手段により求め,他の報告者との比較を行つた.
    またrhinomanometryの臨床的応用のために,鼻内気流の圧-流速関係を示すリサージェの傾きより鼻腔抵抗を表現する著者独自の方法,すなわち角度にて表わす方法により鼻腔抵抗を測定した.
  • Orthopantomography 利用による観察
    大久保 仁
    1973 年 76 巻 5 号 p. 679-701
    発行日: 1973/05/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    目的.頸性に由来する眩暈症に対して,機能検査上で異常を認める場合,形態学的検査(X線診断)で異常の証明が困難であつたり,単純撮影の45°斜位像などでのフイルムが左右対称的に撮影される成功率が低い.そこで当然疑い程度の診断が下される.この左右対称縁としての成功率向上のために,1回の撮影で左右像を表現し,しかも椎間孔を中心とする斜位像の細部にわたつて読影可能な像を作り出す事を試みた.
    実験方法及び装置.この目的を満足させるのに曲面断層が行なえるOrthopantomographyを利用した.乾燥骨による計測を行い頸椎の椎間孔の変化及びこれを形作る側方関節と後方関節を断層する曲面の設定を行った.径は60mm~50mm前後の円軌道で断層域は充分である.使用したOrthopantomographyは径60mmのものである.(2nd path)乾燥骨での難構築模型にて前後左右に断層軌道がずれる場合や観察対象となる椎間孔周辺の像を確認した.また曲面断層は断層域に厚さがある.
    結果.
    曲面断層撮影による頸椎のX線像は従来の単純撮影像における内容と異り,1枚のフィルムからほぼ頸椎の重要部分を読み取る事が出来た。特に椎間孔周辺部分は,頸性症候群として重要な鍵を握る場所である.この部分の側方関節唇,後方関節などの様相を細部に観察出来る.丁度,巣純撮影像の左右45°斜位像と正面縁をつなぎ合せ,像の重なりをさけたフイルムである.この方法で"めまい外来患者"で頸椎由来と考えられる36症例と整形外科医によつて無作為に選ばれた交通外傷後遺症もしくは頸腕症候群15症例について検査が行われた.比較は単純45°斜位像と曲面断層像について行い,めまいとの比較は頸運動時に眼振の認められるもの,疑わしいもの,無いもの等について検討した.眼振の認められる症例は単純45°斜位像で異常1例,疑ぃ1例,正常5例である.曲面断層像からこれらの7症例を分類した結果は,疑いをもたれた症例はC3の上側方関節唇突出(右)が認められた.45°斜位像で正常と診断きれた例には第5椎間孔変形,C4下側方関節唇欠損,第2椎間孔変形,第4椎間孔変形の4症例が発見された.眼振の疑わしい症例14例でも45°斜位像で疑わしい2例は曲面断層像に側方関節や後方関節の異常を認める.正常とされる9例中に異常な曲面断層像の3例があつた.眼振の無い群にも45°斜位像で異常の4例中1例は曲面断層像から正常と診断された.この様に左右を比較し,同一平面上で投影される像を用いる事によつて,現在,上部頸椎が主であるが,異常の発見が可能な曲面断層撮影法及び頸性めまい症例を報告した.この異常がただちに頸性めまいとは著者も考えてはいないが,少くとも何%かは人体における最も運動の頻度が高く,しかも頭部をささえる場所に異常があつてしかるべきと考え報告する。
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