QOLをエンドポイントとする臨床研究の要点は, 「物差し」として標準性が証明されたQOL調査票を採用することと, 適切な統計手法を選択することである. QOL調査票は, 基本的な要因 (活動性尺度, 身体性尺度, 心理的尺度, 社会性尺度など) からなる基本調査票 (core questionnaire) と疾患特異的調査票 (disease-specific module) により構成されている. 統計手法では, 患者の全身状態が不良となりQOL調査票に回答できなくなる (informative censoring) か否かで採用する手法が異なる. 具体的に耳鼻科領域のQOL研究をまとめると, 次の2パターンに要約できる: 1) 悪性疾患で用いられるQOL調査票の基本調査票として, EORTC QLQ-C30, FACT-G, QOL-ACD, または, Care Notebookと, 疾患特異的調査票として, EORTC QLQ-H & N35, FACT-H & N, PSS-HN, または, University of Washington head-and-neck QOLを採用する. そして, informative censoringが予想される研究では, 確実に悪化したと判定するQOLレベル (definitive impairment of health-related QOL) を設定し, そのQOLレベルまで悪化するまでの時間をKaplan-Meier法で評価しlog-rank testで検定を行う. 2) アレルギー性鼻炎の領域では, 基本調査票としてSF-36, 疾患特異的調査票としてRQLQやJRQLQを用い, informative censoringが予想されないので, repeated measurement ANOVA, linear mixed model, または, generalized estimation equation (GEE) を採用する.
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