日本耳鼻咽喉科学会会報
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99 巻, 4 号
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  • 山本 一博
    1996 年 99 巻 4 号 p. 533-543,639
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎症例の下鼻甲介粘膜における神経ペブチドの分布と, それが下甲介化学剤手術により受ける形態学的変化を免疫組織化学的に検討した. アレルギー性鼻炎症例群において, SP陽性線維とVIP陽性線維はアレルギー性鼻炎症状発現に対して第一の反応部位と考えられる下鼻甲介前方に多く認められた. またアレルギー性鼻炎の治療方法の一つである80W/V%トリクロール酢酸塗布はこれらの神経線維を変性させ感受性の低下を惹起して神経反射をもととする症状の軽減をもたらす方法と考えた.
  • 羽藤 直人
    1996 年 99 巻 4 号 p. 544-551,639
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ベル麻痺のモデル動物として作製した単純ヘルペス1型 (HSV-1) の初感染による顔面神経麻痺モデルに対し, ウイルスの感染動態と麻痺発症への免疫の関与を検討した. マウスの週齢別検討で顔面神経麻痺発症率と抗体価に差がみられたことから, 免疫能が顔面神経麻痺の発症に関与していると推測された. PCRによるHSV-1感染動態の結果から, 麻痺発症にはHSV-1の顔面神経への感染が必須であると考えられた. 免疫移入の結果と考え合わせると, blood-nerve barrierの存在により神経内にウイルス感染が成立すれば末梢免疫には麻痺抑制効果がなく, 麻痺発症機序としてHSV-1による顔面神経の直接障害が示唆された.
  • 持松 いづみ, 佃 守, 栗原 美樹, 榎本 浩幸, 陰里 ゆうみ, 加賀田 博子, 河合 敏, 周 莉新
    1996 年 99 巻 4 号 p. 552-557,639
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1975年から1994年までの20年間に12例の頭頸部粘膜悪性黒色腫を経験した.
    性差はやや女性に多く, 年齢のビークは50歳代であった. 原発部位は鼻腔が大部分を占め, 主訴は鼻出血が多かった. 化学療法単独での効果は認められなかった. 免疫療法は単独での効果判定は困難であったが, LAK療法で延命をみた症例があった. 5年生存率は44%であった, 予後は手術施行例の方が良好であった. 治療においては現時点では単独治療は有効なものには乏しく, 拡大手術を主体とし放射線, 化学療法, 免疫療法を加えた集学的治療が必要と考えられた.
  • 小野 雄一
    1996 年 99 巻 4 号 p. 558-566,639
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    加齢による聴力の悪化を個人の聴力閾値の追跡により検討した. 35歳以上, 387名の人間ドック受診者について男女別, 周波数別に急速相 (1年間に20dB以上の悪化) への移行直前の聴力分布を検討した. 男女差はなく, 8kHzは30dB付近と60dB, 4kHz以下は30dB付近に集中を認めた. また35歳以上を5歳ごとに年齢群に分け各年齢群で急速相を示した人の割合を検討した. 急速相へ移行する人は37歳群でも認められ, その割合は年齢とともに徐々に増加し, 57~67歳群で一定となり, 72歳群では減少した. 以上より加齢による難聴の急速悪化は年齢には関与せず, 30dBと60dB付近の聴力に達すると生じると結論した.
  • 高橋 直一, 佃 守, 持松 いづみ, 古川 政樹, 松田 秀樹
    1996 年 99 巻 4 号 p. 567-575,641
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    頭頸部における神経内分泌癌の発生頻度はまれである, 今回我々は鼻・副鼻腔原発の神経内分泌癌の2症例を経験したので文献的考察を加え報告した. 症例1は49歳男性で鼻・副鼻腔原発, 症例2は59歳男性で右前頭洞原発である. 両症例ともに化学療法, 放射線療法を施行したが, 症例1は一次治療終了後, 骨・肝・脳転移が出現, 初診15カ月後に死亡した. 症例2は初診3カ月後に骨転移が出現, 化学療法を追加したが初診6カ月後に死亡した. 診断確定には免疫組織化学染色が有用であった. 神経内分泌癌には早期に遠隔転移をきたし予後が悪い症例が存在するため, CT, エコー, シンチなどの全身転移検索を頻回に行う必要があると考えた.
  • 音声処理コード化法別と聴力レベル別検討
    河野 淳, 城間 将江, 加藤 朗夫, 雁金 理華子, 舩坂 宗太郎
    1996 年 99 巻 4 号 p. 576-585,641
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    平均聴力レベル81dB以上の補聴器装用者55名と人工内耳装用者67例を対象に, 平均聴力レベル別と音声処理コード化法別に両者の語音聴取能について比較検討した. 語音聴取能の評価には福田版ビデオ評価のうち単音節, 単語, 文の聴覚と視覚併用の結果を用い, 両者の聴取能を比較するとF0F1F2とMPEAKではともに平均聴力レベル101-110dBとほぼ同じ結果で, SPEAKは81-90dBよりは悪いが91-100dBよりは良い結果であった. つまり従来の人工内耳での語音聴取能は平均聴力レベル101-110dBの聞き取りに相当したが, SPEAKでは平均聴力レベル91-100dBより良い結果であった.
  • 横山 和則, 西田 裕明, 野口 佳裕, 小松崎 篤
    1996 年 99 巻 4 号 p. 586-593,641
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    蝸電図CM (ECochG CM) と誘発耳音響放射 (EOAE) を17名の聴神経種瘍患者で測定し蝸牛機能を評価した.
    純音聴力の性下例でCMの検出も不良な例では, 蝸牛障害が生じでいると推定された. CMの検出閾値が比較的良好で, 聴力レベルの間に差がみられた例では障害が主として蝸牛神軽にあり, 蝸牛への障害が比較的少ないと考えた.
    蝸電図CMとEOAEでは反応を認めた例について, 検出閾値の相関係数は0.799であった.
    聴神経種瘍による蝸牛障害の検出には蝸電図CMとEOAE共に有用であったが. 臨床的に簡便なEOAEのみでは障害の程度の検討には十分でなく, 蝸電図も必要であると考えられた.
  • 上甲 英生, 比野平 恭之, 湯本 英二
    1996 年 99 巻 4 号 p. 594-600
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
    The color of the nasal mucosa was quantitatively studied. Chromaticity of the nasal mucosa was indicated by two parameters, x (red component in RGB) and y (green in RGB) values, measured with a chromameter (MINOLTA Co., CS-100).
    According to preliminary studies in normal subjects, the following conditions were thought to make the method suitable for measuring the color of the nasal mucosa. 1) The chromameter can be held in the hand. 2) Brightness on the nasal mucosa should be kept as constant as possible. 3) The inferior turbinate mucosa is easier to measure than the septal one.
    In the preliminary study there was no significant difference in chromaticity measurements among the examiners. Chromaticity of the inferior turbinate was compared among patients with perennial nasal allergy (PNA, n=19), with cedar pollinosis (CP, n=11), and normal subjects serving as a control (n=15). The x values in the PNA and CP groups were significantly lower than those in the control group (p<0.01), and the y values were significantly higher (p<0.02). The results agreed with the macroscopic observations made by trained rhinologists. The x values increased when azelastin was administered in five of the PNA group. This increase was related to improvement of their subjective symptoms. Quantitative analysis of the nasal mucosal color could be useful for objective evaluation of the clinical course of allergic rhinitis.
  • 鼻腔の断面積と鼻腔通気度との関係
    谷田 光弘, 野中 聡, 横山 貴康, 堀川 博志, 海野 徳二
    1996 年 99 巻 4 号 p. 601-610,641
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    種々の大きさの円形の間隙をもつアクリル板を, 単独に, あるいは複数枚連結して, 鼻腔通気度の換気力学的検討を行い, 次のような結論を得た. (1) 間隙の形と面積を変化させず, 長さだけを変えると通気抵抗はほとんど変化しなかった. (2) 最小断面積の下流の間隙の面積を増大したdivergentな流れでは, 抵抗は減少した. (3) 上流の間隙の面積が大きいconvergentな流れでは, 明らかな変化はなかったが, divergentな流れを下流に設けると, 抵抗は最も減少した. (4) 3cm以上離して2枚の間隙を接続すると, 抵抗は増大した. (5) 軸をずらして接続すると抵抗は増大した. (6) Acoustic Rhinometryによる断面積測定だけでは, 通気状態の評価に不十分である.
  • 真珠腫性中耳炎
    久保 武
    1996 年 99 巻 4 号 p. 612-615,643
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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