日本耳鼻咽喉科学会会報
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106 巻, 8 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 耳鼻咽喉科•頭頸部外科学教育の課題
    八木 聰明
    2003 年 106 巻 8 号 p. 793-796
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    現行の専門医教育に関する課題として,1. 専門医教育を受けるmotivationあるいはincentive(報酬),2. 専門医の将来,3. 専門医教育の教育カリキュラム,4. 専門医試験の現状(試験方法や合格率),5. 専門医の更新期間と方法,6.必要な専門医数をあげ,これらについて私見を述べた.耳鼻咽喉科専門医に関する制度は,発足から20年以上を経過した.十分な実績を上げてきたが,種々の課題が浮き彫りになってきたことも事実である.今後,専門医に対する社会のニーズも増加することは明らかであり,これらの課題について更なる改善が必要である.中でも,教育カリキュラムとその評価法の改正については,指導医の教育を含めて早急な対応が必要であろう.
  • 菊地 正弘, 山本 悦生, 篠原 尚吾, 塩見 洋作, 塩見 佳子, 藤原 敬三, 渡辺 太志, 田辺 牧人
    2003 年 106 巻 8 号 p. 797-807
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1987年4月より2002年5月までの15年間に当科で手術を行った真珠腫性中耳炎新鮮例853耳のうち先天性真珠腫と診断された60耳(7%)について臨床学的検討を行って以下の結果を得た.
    1. 年齢は2歳から48歳までで,男性48例,女性12例と男性に多かった.多発例が17耳存在した.真珠腫の形態は,closed型が53耳,open型が7耳であった.耳小骨奇形を合併した例が9耳存在した.
    2. 比較的限局した22耳を検討した結果ASQ型13耳,PSQ型9耳とASQ型が比較的多く認められた.
    3. ASQ型の発生部位は真珠腫の癒着部位から,耳管鼓室口から鼓膜張筋半管付近が考えられた.PSQ型の発生部位はキヌタ アブミ関節近傍が考えられたが耳小骨侵食を認める例が多くその詳細な部位は不明であった.
    4. open型真珠腫はclosed型と比較して耳小骨の侵食,耳小骨奇形の合併率が高く,初診時年齢が高かった.open型が遺残性再発時にclosed型に変化していた1例を経験し.ASQ型のopen型も比較的多かった.open型は卵円窓,正円窓に入り込みやすい傾向にあった.
    5. 遺残の認めた部位としては卵円窓,正円窓,顔面神経露出部,外側半規管瘻孔部が多かった.真珠腫の進展度,個数,耳小骨奇形の合併と遺残率の関連は認められなかった.
  • 佐藤 公則, 梅野 博仁, 中島 格
    2003 年 106 巻 8 号 p. 808-814
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    発声障害,誤嚥をきたした喉頭(声帯)に対して,病態に応じて脂肪の注入部位と注入量を変えて喉頭内脂肪注入術を行った.
    1. 全麻下に吸引採取した脂肪を喉頭直達下に注入術を行った.
    2. 発声障害に関しては,声帯粘膜固有層の萎縮に対しては同部および同部の直下に,声帯筋層の萎縮に対しては声帯膜様部の筋層に脂肪注入を行った.発声時に声門間隙が大きい例には声帯軟骨部の筋層(披裂軟骨楕円窩の外側の甲状披裂筋)に脂肪注入を追加し披裂軟骨を内転し,内方へ圧迫移動させた.
    3. 誤嚥に関しては,声帯,仮声帯,披裂喉頭蓋ヒダ,下咽頭梨状陥凹の内側壁に脂肪を注入し,喉頭の閉鎖機能と咽頭のクリアランスを改善させた.
    4. 疾患別あるいは同じ疾患でも病態別に脂肪の注入部位と注入量を変える必要があると考えられた.
  • 小林 正佳, 坂井 田寛, 湯田 厚司, 竹内 万彦, 清水 猛史, 間島 雄一
    2003 年 106 巻 8 号 p. 815-822
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1. 当科における過去10年間の小児睡眠時呼吸障害例72例について検討した.
    2. 臨床症状として全例にいびきを認めた.47例(60%)で睡眠時無呼吸を訴えていたがアプノモニターによる検査上.睡眠時無呼吸症候群の定義に該当したのは28例(39%)であった.
    3. 睡眠時呼吸障害の原因は全例でアデノイド増殖または口蓋扁桃肥大であった.肥満との因果関係は認めなかった.
    4. アデノイド切除術,口蓋扁桃摘出術などの手術加療後1週間の時点で,ほとんどの例で各臨床症状が消失し,無呼吸指数,血中酸素飽和度も有意に改善した.
    5. アンケートによる遠隔成績調査では,回収できた32例のうち,術後1カ月の時点で12例に睡眠時呼吸障害症状が再発し,このうちの9例(75%)でその再発症状が長期残存した.
    6. 症状別にみるといびき再発率は術後長期にわたって約20%であり,年数経過に伴う再発率の増加はみられなかった.睡眠時無呼吸の再発は術後7.5年の1例のみであった.症状再発例の初回手術時の年齢は非再発例と比べて有意に低かった.
    7. 治療法については本人,家族の満足度は高かった.小児における睡眠時呼吸障害の手術的治療は有効であると考えられた.
  • 末梢血単核球における検討
    白坂 邦隆, 盛川 宏
    2003 年 106 巻 8 号 p. 823-830
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1. スギ花粉症患者末梢血における単球マクロファージおよびB細胞上のCD80. CD86の発現動態につき検討した.
    2. CD19陽性細胞上のCD80, CD86の発現は抗原刺激により花粉症患者で健常者に比べ有意に上昇していたが,その発現動態は異なることが示唆された.
    3. CD14陽性細胞上のCD86, CD80の発現は花粉症患者と健常者で有意差を認めなかった.
    4. 末梢血単核球よりB細胞を除去した場合,T細胞上の補助刺激分子の発現は低下した.
    5. スギ花粉症においては,主としてB細胞が抗原提示細胞として作用していることが示唆された.
  • 別府 武, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 苦瓜 知彦, 三谷 浩樹, 吉本 世一, 米川 博之, 三浦 弘規, 福島 啓文, 佐々木 徹, 浜 ...
    2003 年 106 巻 8 号 p. 831-837
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    顎下腺癌のNO症例に対しては全例,肩甲舌骨筋上郭清を行うのが妥当と思われた.
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