われわれは, 冠状断CT画像による133症例の鼻弁部位計測を行い, 形態を定量的に分析する試みを行ったので報告する.
対象: 当科で撮影した18歳以上の症例133例の冠状断CT画像を対象とした.
方法:
1. 冠状断層CTのスライス厚は, 5mmである. 鼻弁部位 (外側鼻翼軟骨下縁, すなわち鼻弁の下縁を含む断面と定義) を含むCT画像の前方と後方の2面において, 計測を行った.
2. 評価に必要な測定点を定義した後, 左右径, 上下径, 角度, 面積を, NIH IMAGE (version 1.59) により, 測定した.
3. すべての測定は, 左右の一側を一単位として行い, 測定値の差の検定は測定値が二項分布をなすことを確認して, t-検定によった.
結果: 今回の報告では以下のような形態学的特徴が判明した.
1. 性差; 前方面のW4, 前方面のH1, H2, 後方面のH2, 後方面のA (角度) に認めた. すなわち, 男性は女性に比べて, 鼻弁下部の幅が大きく, 鼻弁の上下径, 鼻腔底までの上下径も大きい. ただし, 鼻弁の角度に, 有意な男女差はない.
2. 左右差; 前方面W1, 後方面H2において認めたが, 解釈は困難である.
3. 前後差; 最小鼻弁左右径のW2, 鼻弁下部のW4, 高さのH1, H2, 角度A, 断面積S1において有意差を認めた. すなわち, 前方面における鼻腔は, 後方面に比べて, 最小左右径は小さいが, 鼻弁下部では左右径が大きい. また, 前方面では, 角度は広く, 断面積は小さい.
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