日本耳鼻咽喉科学会会報
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104 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 中川 隆之, 高島 忠義, 富山 健太, 朝田 雅博
    2001 年 104 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    近年, 内視鏡下副鼻腔手術の手技および器機を応用した内視鏡下鼻内下垂体手術が行われている. 内視鏡下にトルコ鞍に到る経路には, いくつかの経路があるが, 我々は, 両側経鼻腔法を標準術式としている. 他のアプローチを使用した2例を含め, 下垂体腺腫6例およびラトケ氏嚢胞2例合計8例に対して行った内視鏡下下垂体手術の経験に文献的考察を加え, 内視鏡下下垂体手術に適したアプローチ方法について, 耳鼻咽喉科医の立場から考察した. その結果, 経鼻腔法が最も簡便で, 短時間に行える方法であった. しかし, 腫瘍切除を行う脳神経外科医の用いる手技との関連を考慮し, アプローチ法を考える必要があると考えられた. 両側鼻腔を用いると, やや侵襲が大きくなる反面, 広い術野を得ることができ, 安全性, 術後の経過観察, 再発の危険性を考慮すると利点が勝ると判断された. 特に, 鞍外に進展する大腫瘍例には, 両側経鼻腔法の広いワーキングスペースが有用であった. 内視鏡の導入により, トルコ鞍へのアプローチのみならず, 術後経過の管理など耳鼻咽喉科医の果たすべき役割は拡大しており, 内視鏡手術に経験のある耳鼻咽喉科医の積極的関与が期待される.
  • 宇野 敦彦, 森脇 計博, 加藤 崇, 長井 美樹, 坂田 義治
    2001 年 104 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    良性発作性頭位めまい症 (BPPV) の病態についての考え方は最近, 急速に整理されてきた. 従来からの回旋の強い眼振の誘発されるタイプは後半規管が主たる病巣と考えられ (P-BPPV), 側臥位で水平成分の強い眼振の誘発されるタイプは水平半規管が主たる病巣と考えられている (H-BPPV). このような考えに従って, 1999年度の1年間に当科で経験したBPPV症例についての現状を報告した.
    めまいを主訴とした新患患者619例のうち, 誘発される眼振所見からBPPVと診断されたものが23%, 眼振所見はなかったが問診から疑い診断したものを含めると43%を占めた. 疾患別に最も頻度が高く, めまい患者にしめるBPPVの割合はこれまでの報告と比べても非常に高い. 診断の問題と当院の特性が考えられる. H-BPPVもまれでなく, 眼振所見からBPPVと診断された143例の内, P-BPPVが65%, H-BPPVが31%であった. 検討期間中にP-BPPVとH-BPPVの両方を見た例も4%あった. H-BPPVの中では方向交代性向地性眼振の見られた例が73%, 方向交代性背地性眼振が27%であった. P-BPPVとH-BPPVの差を見ると, H-BPPVの方が早く寛解する率が高く, 頭部外傷後に起きる例ではP-BPPVの方が多い. 性差や年齢分布には大差なく, それぞれが移行する例や, 同じ患者に日をおいて異なったタイプが再発する例があり, 病因の本質的な差はないように思われる. 本検討では誘発される眼振を重視して, 診断と経過について検討した. 回転性めまいの後に続く動揺感については今後の課題である.
  • 池原 由香, 加我 君孝, 坂田 英明, 田中 美郷
    2001 年 104 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1994年の予防接種法改正により, 風疹ワクチンはそれまでの風疹の既往のない女子中学生を対象とした定期接種から, 幼児及び男女中学生を対象とした個別接種へと変わり, これに伴って今後のワクチン接種率の低下や先天性風疹症候群の発生増加が懸念されている. そこで我々は, 1989年以降に発生した先天性風疹症候群による難聴児5名について, 母親の風疹感染状況, 患児の背景因子, 聴覚的所見を検討した. 診断にあたっては米国のCenter for Disease Control (CDC) の定めた診断基準 (1983年改訂) に基づいてCRS confirmedおよびCRS compatibleの症例のみを対象とした.
    母親は, 2名が女子中学生に対する風疹ワクチン定期接種開始以前の世代であり, 3名がワクチン接種対象者であったがそのうち2例は接種を受けていなかった. 患児については, 出生年は1991年から1997年であり, 合併症は3名で低出生体重, 2名で頸定の遅れ, 1名で白内障があったが, いずれも重度合併症ではなかった. 耳鼻咽喉科初診時の年齢は生後3ヵ月から1歳8ヵ月であった. 聴性脳幹反応の閾値は90dBnHLから無反応で, 補聴器装用は6ヵ月から1歳10ヵ月で開始されていた. 津守式乳幼児精神発達検査では, 補聴器装用下の聴能言語訓練の開始が1歳6ヵ月以降であった2名で発達年齢の遅れを認めた. 先天性風疹症候群の発生予防のためには, 接種機会における接種の徹底化と妊娠適齢期の女性への接種の追加の必要性, また, 診断の遅れた症例も見られたことから風疹抗体価判定の徹底, PCR法等による風疹ウイルス胎児感染の早期確定診断の必要性が示唆された.
  • 善浪 弘善, 加瀬 康弘, 飯沼 壽孝
    2001 年 104 巻 1 号 p. 24-32
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    われわれは, 冠状断CT画像による133症例の鼻弁部位計測を行い, 形態を定量的に分析する試みを行ったので報告する.
    対象: 当科で撮影した18歳以上の症例133例の冠状断CT画像を対象とした.
    方法:
    1. 冠状断層CTのスライス厚は, 5mmである. 鼻弁部位 (外側鼻翼軟骨下縁, すなわち鼻弁の下縁を含む断面と定義) を含むCT画像の前方と後方の2面において, 計測を行った.
    2. 評価に必要な測定点を定義した後, 左右径, 上下径, 角度, 面積を, NIH IMAGE (version 1.59) により, 測定した.
    3. すべての測定は, 左右の一側を一単位として行い, 測定値の差の検定は測定値が二項分布をなすことを確認して, t-検定によった.
    結果: 今回の報告では以下のような形態学的特徴が判明した.
    1. 性差; 前方面のW4, 前方面のH1, H2, 後方面のH2, 後方面のA (角度) に認めた. すなわち, 男性は女性に比べて, 鼻弁下部の幅が大きく, 鼻弁の上下径, 鼻腔底までの上下径も大きい. ただし, 鼻弁の角度に, 有意な男女差はない.
    2. 左右差; 前方面W1, 後方面H2において認めたが, 解釈は困難である.
    3. 前後差; 最小鼻弁左右径のW2, 鼻弁下部のW4, 高さのH1, H2, 角度A, 断面積S1において有意差を認めた. すなわち, 前方面における鼻腔は, 後方面に比べて, 最小左右径は小さいが, 鼻弁下部では左右径が大きい. また, 前方面では, 角度は広く, 断面積は小さい.
  • 高齢者の生理的特徴
    佐々木 英忠
    2001 年 104 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
  • 森 泰雄
    2001 年 104 巻 1 号 p. 38-39
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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