日本耳鼻咽喉科学会会報
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91 巻, 2 号
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  • 刺激方式の異なる2症例の音響生理学的背景
    船坂 宗太郎, 湯川 久美子, 高橋 整, 初鹿 信一, 細谷 睦, 寺田 俊昌
    1988 年 91 巻 2 号 p. 177-184,317
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    術前の蝸牛電気刺激結果が比較的似ている2名の人工内耳装着患者 (髄膜炎による聾の40歳女性, 突発難聴による聾の45歳女性) について, 1例は基本周波数; 第2ホルマント (F0, F2), 他の1名は基本周波数: 第1, 第2ホルマント (F0, F1, F2) を送り込む方式を採用し, 言語聴取能の差異を検討した.
    F0, F1, F2方式はF0, F2方式に比べ, 聴取能向上が速やかで, 読話併用時の子音弁別能も良好であった. しかし, 訓練開始後3カ月ではcochlear implantのみの弁別能に差がなくなった. もっとも異聴内容には明らかな差が認められた.
    これらの成績に基づき, 生理学的音響工学的観点から, cochlear implant装着患者における言語情報伝達の条件, 内言語照合の意義, さらに伝達様式の違いによる聴取能の差について考察した.
  • 谷口 俊夫, 藤谷 哲造
    1988 年 91 巻 2 号 p. 185-190,317
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鼻アレルギー患者の鼻粘膜表層細胞のβ受容体の数と機能について調査した.
    β受容体数は, 78.3±33.7fmol/mg proteinで正常人の末梢血中の多核白血球や単体核球と比較して減少していなかった.
    鼻粘膜表層細胞中のcyclic AMP量の増加は, l-isoproterenolの濃度2×10-5M incubation time 5分間で最大を示した. その増加率は約4倍であり, 正常人の末梢血をリンパ球とほぼ同じであった. このことから, β受容体機能は正常であると考えられる.
  • 滲出性中耳炎患者の中耳粘膜病理
    朴沢 孝治
    1988 年 91 巻 2 号 p. 191-196,317
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    滲出性中耳炎の病因を推察するため, 粘液性滲出液を持つ滲出性中耳炎患者の中耳粘膜を免疫組織学的手法を用い観察した. 著しく丈を増し分泌亢進した粘膜上皮下には, helper/inducer T cellとBcellよりなるリンパ〓胞様構造や, 粘膜上皮直下を中心に散在性に分布するCytotoxic/suppressor T cellが観察され, IgG産生細胞を主体としIgM産生細胞も含む形質細胞も数多くみられた. 免疫電顕にてB cellから形質細胞への分化成熟過程が確認され, 液性免疫が賦活されていることが予想された. 一方, 粘膜直下の細静脈や毛細血管内に好中球のpavementation, 血管外への遊走像がみられた. 抗体産生へ向かう免疫担当細胞の動きと合わせるとIII型アレルギーと矛盾しない所見と考えられた.
  • III型アレルギーによる実験的滲出性中耳炎モデル
    朴沢 孝治
    1988 年 91 巻 2 号 p. 197-203,317
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    中耳におけるIII型アレルギー反応の詳細を知るため, horseradish peroxidase (HRP) にて全身感作した後実験動物中耳骨胞内にHRPを注入し, III型アレルギー中耳炎を惹起した. 注入後早期には, 上皮基底膜及び粘膜下血管壁に沈着する免疫複合体が特徴的な所見で, 抗原抗体反応に基づく滲出性炎症が観察されたが, 浸潤した好中球及びマクロファージが盛んに免疫複合体を貪食する結果, 注入後7日目には中耳腔より免疫複合体は除去された. しかし, 中耳貯留液はその後も1週にわたり観察された. 中耳炎を慢性化に導く因子として, 耳管内腔を占める粘液栓等による耳管機能不全と, 炎症が消退した後も残存する形質細胞, マクロファージにみられる中耳の局所免疫が考えられた.
  • 高原 哲夫, 藤谷 哲造, 井上 健造, 納 一功, 古家 隆雄, 服部 浩
    1988 年 91 巻 2 号 p. 204-209,319
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    過去20年間に神戸大学耳鼻科及び放射線科, または兵庫県立成人病センターにおいて治療した口腔中咽頭癌616例の内, 40歳未満症例 (49例, 8.0%) について検討した. 舌癌が39例 (79.6%) と大半を占め, かつ47例 (95.9%) が扁平上皮癌であった. また, 女性に多く (27/49) 認められた. 3年及び5年生存率は, 74.4%, 69.0%で, 40歳以上の舌癌症例に比較して治療成績は良好であった. その理由として, 形成的な観点や術後の機能障害を考慮せず, 積極的に拡大手術を施行したこと及び他因死を認めなかったことが考えられた. しかし個々に追跡すると初診時の局所は小腫瘍であっても進展が早く治療に抗して再発を繰り返す症例が存在し, 治療前に予知する必要性を認めた.
  • 倉田 響介, 佐藤 宏昭, 顔 懿賢, 本庄 巖, 楊 怡和, 謝 地
    1988 年 91 巻 2 号 p. 210-214,319
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    上咽頭癌における滲出性中耳炎発症の機序を知るため, 上咽頭癌新鮮例60例113耳を対象として耳管機能検査を行った. 滲出性中耳炎合併例では, 耳管の動的換気能の障害 (機能的閉塞) と排泄能の低下を多く示す例が認められ, 通気圧高値 (機械的閉塞) を示す例は少ないことがわかった. また滲出性中耳炎非合併例では動的換気能の障害のみ高率に認められた. 以上より動的換気能の障害に何らかの炎症性因子 (中耳陰圧を含む) が加われば滲出性中耳炎の形成に至ると考えられた.
  • 加藤 風志
    1988 年 91 巻 2 号 p. 215-224,319
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    頭頸部悪性腫瘍に対してOK-432 (ピシバニール) を皮内投与し細胞性免疫・体液性免疫の免疫学的パラメーターを測定しその有用性につき検討を加えた. 近年細胞性免疫のSu-PS皮内反応が最も有用なパラメーターであると報告されているが, 今回更に純粋なSu-Protein抗原を用いた皮内反応について検討を加え, Su-PR皮内反応のOK-432投与時の反応のパラメーターまた予後推定のパラメーターとしての有用性が推定された. また液性免疫の菌体凝集抗体価を測定しパラメーターとしての有用性も検討した. OK-432投与時の反応のパラメーターとしては有用であったが, 予後推定のパラメーターとしての有用性は認められなかった.
  • 白幡 雄一, 山崎 可夫, 橘 敏郎, 大西 俊郎
    1988 年 91 巻 2 号 p. 225-232,319
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1984年1月から1986年2月までの14カ月に聖路加国際病院耳鼻咽喉科で撮影し, 副鼻腔に病変を認めた122側 (65例) の副鼻腔CTのうち, 蝶形骨洞に画像上の異常陰影をつくったものは32例 (19例) に認められた. 蝶形骨洞炎が複合性副鼻腔炎109側 (55例) の一つとして発現する割合は17% (23側/109側) で, この内孤立性病変を呈する嚢胞は4側 (3例) に認められた. 蝶形骨洞炎のCT画像上の特徴は軟部組織陰影による粘膜肥厚像と洞充填像で, なかんずく洞充填像は嚢胞に特徴的で, 嚢胞内部はエンハンスメント効果なく, 嚢胞壁は拡張・菲薄化, 硬化像を示し, 骨破壊は規則的, 平滑であった. 一方, Wegener肉芽腫2側 (1例) や蝶形骨洞癌3側 (2例) でも軟部組織陰影と骨破壊が認められたが, そのCT画像は非特異的であり, それのみで診断をくだすことはできなかった.
  • 深谷 卓, 野村 恭也
    1988 年 91 巻 2 号 p. 233-239,321
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    手術的に確認した特発性外リンパ瘻40例40耳の誘因, 自覚症状, 他覚所見を検討した. 誘因では鼓室, 脳脊髄液圧の変化をもたらすものが多かった. 自覚症状では92%に聴覚症状が, 70%に前庭症状が認められた. 聴覚, 前庭症状は多岐にわたっていた. 外リンパ瘻に特有とされるpop音や水の流れるような耳鳴は20%に自覚された. 他覚症状では長時間持続する, 患側下での頭位眼振が55%に認められ, 瘻孔症状は5%に認めるのみであった. 温度眼振検査では正常例が多かった. 純音聴力では平均域値は様々で, 聴力型も水平型, 低音障害型, 谷型等様々であった.
  • 小林 俊光, 佐々木 豊, 末武 光子, 池田 勝久, 高坂 知節, 沖津 卓二, 和田 仁
    1988 年 91 巻 2 号 p. 240-246,321
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    慢性穿孔性中耳炎の術前に上鼓室疎通性を診断することは術式決定の上で重要な意義がある. われわれは穿孔耳においてはティパノメトリーのコンプライアンスが外耳道と中耳腔の含気量の和を表わすことから, これを測定することにより含気腔容積の大小ならびに上鼓室疎通性の良否を推定できると考えた.
    51耳の慢性穿孔性中耳炎と5耳の外傷性鼓膜穿孔の計56耳でティンパノグラムと中耳CT所見の対比を行った. コンプライアンスが2.0ccより大きい33耳はすべて上鼓室疎通性が良好であったが, 2.0cc未満の23耳中19耳, 1.5cc未満の18耳中17耳の疎通性は不良であった. ティンパノメトリーにより簡便かつ迅速に上鼓室疎通性のスクリーニングが行えることを証明した.
  • 村上 正文
    1988 年 91 巻 2 号 p. 247-261,321
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    大小唾液腺腫瘍126例について臨床病理学的観察を行い, 特に多形腺腫の再発の理由と腺様〓胞癌の予後について検索した. また, 免疫組織学的に各種マーカー (lysozyme, lactoferrin, Al-p, keratin, S-100, actin, vimentin, CEA, Ki-67, etc.) の反応性を観察し, 腫瘍の組織発生や細胞性格, 悪性度との関連性について検討した. その結果, 多形腺腫の再発は細胞の増殖力よりも手術による腫瘍散布に起因することや, また腺様〓胞癌で充実型を示すものの悪性度が著明に高いことが示唆された. 免疫組織学的には良性・悪性腫瘍とも導管上皮系細胞と筋上皮系細胞からなることが示された. Ki-67は臨床病理学的悪性度と良く相関した反応が得られ, 悪性度の評価への応用が期待された.
  • 広岡 明美
    1988 年 91 巻 2 号 p. 262-272,321
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    気管の切除可能範囲を術前に予測する手段として, ヒト気管弾性をin vivoで測定できるYerzley Resilience (Y.R. と略す) を求めた. 方法としては衝撃波を与えた際の気管の振動を超音波パルス法M-mode変法を用いて記録し, その波形よりY.R. 値を求めた. 13-78歳の36人を対象とし, 頸部自然位と伸展位のY.R. 値を求めた.
    結果として自然位Y.R. 値は加齢に伴い高値となる, 伸展位と自然位のY.R. 値の比は加齢に伴い小さくなる, 40歳以上では頸部の伸展しにくい例程自然位Y.R. 値が高値となる等が示され, 気管の加齢による硬化や, 頸部の易伸展性の及ぼす影響等が推察された.
  • 1988 年 91 巻 2 号 p. 273-281
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 91 巻 2 号 p. 281-290
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 91 巻 2 号 p. 290-300
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 定義, 手技, 適応, 長期成績, 問題点と対策
    湯浅 涼
    1988 年 91 巻 2 号 p. 302-305
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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