日本耳鼻咽喉科学会会報
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76 巻, 1 号
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  • 超音波パルス透過法による観察
    内藤 準哉
    1973 年 76 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    1. 研究目的:発声中の声帯振動modeを客観的に観察記録する方法としては,stroboscopy,synchronstroboscopy, high speed camera, photoelectroglottography, electroglottography等が挙げられるが,これらの方式では,声帯振動の振幅の絶対値,発声時呼気流率及び声門下圧の同時測定は不可能である.そこで,教室では超音波パルス反射法によるultrasonoglottographyを考案したが,今回更に,発声時の両側声帯の接触面積のone vibratory cycleにおける経時的変化を記録する方法として,超音波パルス透過法によるultrasonoglottographyを開発し,発声機構を解明するための情報をより多く集積することを計画した.
    2. 実験法:ultrasonoglottographyの装置(超音波パルス繰返し周波数5000Hz)に新たにecho selectorを加え,パルス透過法により,closed time中の超音波パルス透過波の受信エコーをselectorでselectし,そのエコーの高さに応じた変化を電位変化として,オシロスコープ上に描出し,観察記録する方式をとつた.なお,使用した2本の探触子の使用周波数は2.25MHzである.更に輪状甲状膜の正中部にコンデンサーマイクロフオンをあて,声門下圧の相対的変化を求め,一方,麻酔用マスクを用い,呼気流をpneumotachometerに接続し,発声時呼気流を測定した.また,音声の強さを口前20cmの所に置いた騒音計で調節記録した.
    3. 結果:得られた結果は,次の通りである.1) 正常声帯では,pitchが上昇すると,contact areaおよびclosed timeは減少する.2) flow rate, subglottal pressureを増大すると,low pitchでは,contact area, closed timeが増大する.high pitchでは,明白な増大は示さない.3) flow rate, subglottal pressureを増大すると,contact areaがmaximumになる迄のsteepnessおよびmaximumからopened phaseに到る立上りおよび立下りのsteepnessが急峻となる傾向にある.4) 病的喉頭では,one vibratory cycleに於ける波形の乱れ,接触面積の不規則性,周期の乱れが著明である.
  • とくにdelto-pectoral skin flap法について
    松浦 秀博, 河辺 義孝
    1973 年 76 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    Bakamjianのmedially based delto-pectoral-skin flapによる頭頸部領域の形成再建手術,とくに下咽頭頸部食道再建について,自験例を中心とし,併せて広く内外の文献的観察をもとに検討を加えた.
    本術式を要約すると,第一次手術にて,前上胸部に,茎を胸骨外縁におき,三角筋,胸筋の筋膜までを含む,大きな細長い有茎水平皮弁を作成し,表皮側を内方にまるめた皮膚管つまり新食道を形成し,下咽頭口と皮膚管上端との端々吻合及び食道端と皮膚管との端側吻合をそれぞれ行なって,食道再建の大部分を完了する.約一ケ月後の第二次手術にて,人工瘻孔の型にされたままの茎部を切断閉鎖して再建を完成する方法である.
    その特長は,(1) 根治手術と同時に行う一次的再建術であること,(2) 適応範囲が広いこと,(3) 消化管利用の方法より手術侵襲が少ないこと,(4) 一次手術にて食道再建の骨子は完了した状態になり,一期的再建術に匹敵することなどの諸点である.
    1970年に吾々をは本邦第一例を報告したが,その後,下咽頭•頸部食道再建8例,口腔底•中咽頭再建一例.頬部頸部の皮膚欠損被覆一例の計10症例を経験した.
    食道再建8例の皮弁は金例に生着を認め,又,上端の吻合は全例に一期治癒を認めたが,食道と皮膚管の吻合部には,4例の瘻孔が発生した.これらは,二次手術の際に修復して,自然閉鎖をみた。第一次手術から経口摂取までに要した期問は,一期治癒をみた場合には,平均8週間であつた.現在8例中7例が,2年8ヶ月から6ヶ月の術後経過にて健在である.
    以上の結果から,吾々もdefto-pectoral-skin flap法は,多くの利点を有する,すぐれた下咽頭•頸部食道再建術であることを確認したが,内外の多数の追試によつても,その有用性が認められ,好評を得ているところであり,今後ますますその適応を拡げて活用されると信じ,本法の現況と今後の問題点について言及,論述した.
  • 松浦 鎮
    1973 年 76 巻 1 号 p. 21-38
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    目的
    頭頸部がんの治療において放射線治療の占める比重は大きく,機能保存療法への貢献はめざましいものがある.放射線治療の成績を更に改善し,治療にともな5放射線障害を極少に止めるには治療計画の精密化,個別化が必要になる.本研究は電子計算機を用いて放射線治療計画及び線量計算業務を治療の現場において実時間で行うことを可能とし,その結果として放射線治療計画の個別化,高精度化,更に最適の照射条件の決定を可能にするものである.また治療計画と同時に病歴情報の収集処理も現場で実行できるようにした.このようにして蓄積せられた治療記録の整備は今後の治療方針決定に大いに寄与するものである.
    方法
    頭頸部がんの放射線治療に当り,アナログ型計算機およびデイジタル型計算機によりそれぞれの特長を生かした線量計算及び治療計画業務の実用化をすすめた.とくにNEAC 3100計算機をベースとしたTheracom 1システムは治療の現場での情報処理を目的として完成されたシステムであるのでその利用価値が大きい
    結果
    電子計算機による頭頸部がん放射線治療に関連する情報処理業務を要約すると次のごとくなる.1) 多数の小線源な用いた場合の複雑な線量計算が短時間にでぎ,また希望する多くの断面での線量分布が迅速に得られる.(舌がんの組織内照射,上顎がんの腔内照射例)
    2) 小線源治療と外部照射の合成が容易にでき,線量不足部分があればただちに重点的な照射の附加の必要性を示唆し追加照射を行うことができる.(舌がんの組織内照射と外部照射の併用例)
    3) 多門照射の場合,重要臓器の遮敞を考慮した適正な線量分布をもつた治療計画がなされる.(上顎がんの眼球遮敞,上咽頭がんの脊髄遮敞例)
    4) 種々の照射方式下における任意の線量レベル別積分線量が求められるので照射治別による治療効果の分析に資することができる.(喉頭がんの1門,対向2門および直角クサビ2門例)
    5) 病歴ファイルシステムの完成により各部位別の治療結果を収集記録し。必要に応じて放射線治療成績等の情報を提供することが可能になつた.(頭頸部がん照射全例収集録)
  • 神経内のリンパ流の面より
    隈上 秀伯, 津田 靖博
    1973 年 76 巻 1 号 p. 39-41
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    ベル麻痺およびハント麻痺はともにファロッピー管内で発症する.これらの疾患の外科的治療として顔面神経減荷手術が行なわれている.この手術によつて神経管が開放されることは神経に如何なる影響を与えるのであろうか.
    著者らは本手術の意義を明らかにするため兎の顔面神経に色素を注入し神経内のリンパ流の速度を観察した。
    兎の顔面神経の茎乳孔より5mmの末梢部位に末梢に向つて,逆行性に螢光物質,あるいは墨汁を毎分0.25mlで5秒間注射した。同一兎の一側は神経管を開放しない非開放側と,他側は神経管を開放した開放側とを比較した.色素は非開放側からさきに注射し,その後3~4分後に反対側の開放側に注射した.その結果,色素の流れ(リンパ流)は開放側が早いことが明らかとなつた.従つて,ウイルスの増殖や,悪循環はファロッピー管内でおこると推定し,減荷手術は適時に行なわれれば合理的であると結論した.
  • 臼井 信郎
    1973 年 76 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    鼻腔通気を評価することは鼻機能を理解するにあたつて重要である.この報告は鼻腔の解剖生理学的な分類にもとづいて鼻の圧•気流速度の関係をもとめ,さらに鼻腔抵抗を算定することによつて,いわゆる正常鼻と異常鼻における鼻腔通気の気流動態を数理的に評価することを目的としたものである.
    検査方法としては,いろいろな程度の鼻閉塞を有する24人の被検者を用いて安静呼吸時の鼻腔通気状態をPosterior Rhinometryによつて描記した.さらにそれらの呼吸曲線より圧•気流速度の関係をRohrerの方程式を用いて解析した.
    その結果,鼻腔における圧•気流速度の関係は曲線的であり,鼻閉塞が増すにつれてK2定数も著明に増加し,曲線の傾斜を増した.
    安静呼吸時正常鼻腔に生ずる気流抵抗は0.97cmH2O/LPSと評価されたが,鼻閉塞を有する異常鼻群においては非直線的な上昇をしめした.また鼻腔抵抗は鼻閉塞の程度に関係なく吸気時の方が呼気時の抵抗よりも大であつた.以上のことから,ここでのべた方法は鼻の解剖生理学的な分類にもとづく患者の鼻腔抵抗をよく評価できる.
  • 竹生田 勝次
    1973 年 76 巻 1 号 p. 49-60
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    (研究目的)鼻咽腔刺激によつて自律神経が興奮し,また,その時に存在する鼻咽腔炎の治療によつて,自律神経の異常状態が正常状態に変るという事実は,教室において数次に亘り,色々な方面から,発表した所であるが,今回はこの自律神経の異常状態が血中遊離脂肪酸(Free Fatty Acid,以下FFAと略す)の動態に対して如何なる影響を及ぼすかということを観察した.
    蓋し血中FFAは交感神経-アドレナリン系の支配を受けて速かに遊動するものであり,且つまたこの変化は自律神経遮断剤の事前投与によつて限止されるという性質があることから,鼻咽腔刺激による血中FFAの変化を観察することによつて,交感神経-アドレナリン系の変化が如何に行われるかということを推測する手段となり得ると考えられるのである.
    (実験法)鼻咽腔刺激によつて血中FFAが急速に上昇すること,しかも刺激後大凡10分でピークに達することを確かめた.鼻咽腔炎患者50名について,鼻咽腔刺激前及び刺激後10分の血中FFAを測定して,その間における血中FFAの変動率を調べた.鼻咽腔治療と共にこの血中FFAの変動率がどのように変化するかを観察した.血中FFAの測定にはダンカン比色改良法を使用した.
    (結果)
    1. 初診時において鼻咽腔炎患者50例中48例において鼻咽腔刺激後血中FFAは上昇した.その上昇率は1~124%であつた.
    2. 鼻咽腔炎の程度と血中FFAの上昇率とは相関する.即ち炎症が高度になるにつれて上昇率は大きくなる.
    3. 鼻咽腔炎治療によつて炎症が軽快すると血中FFAの上昇率は10~30%の範囲に近づく.
    4. 以上から鼻咽腔刺激ないし治療は自律神経系の調節の役割を果すと考える.
  • 柳 陽二
    1973 年 76 巻 1 号 p. 61-75
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
    [研究目的]著者はKimuraの方法にしたがつて,モルモットの内リンパ管•嚢を破壊閉塞することにより,実験的内リンパ水腫を容易に起こしうることを再確認したのち,このような内リンパ水腫の存在が,外リンパの音伝達機構に対しなんらかの影響を及ぼしうるものかどうかを知るために,この動物に音刺激を加えた後のラセン器の傷害状況を検索し,同時にその蝸牛電位の計測をも試みた.
    [研究方法]モルモットの後頭部より脳硬膜内から内リンパ管に向け微細なburrで骨組織を破壊し内リンパ管•嚢を閉塞した.動物は術後1ないし17週間生存せしめて,これに1000Hz,120dB,12時間の音刺激を加えsurface preparation techniqueによるラセン器毛細胞の傷害状況を対照耳のそれと比較検討し,他方ではdifferential electrodeにより蝸牛基底回転から蝸牛電位を測定した.
    [研究成績](1) 病理組織学的所見:水腫は内リンパ管•嚢閉塞術後1~2日で現われはじめるが,1ないし14週間経過した動物の内耳には,蝸牛管ならびに球形嚢に明らかな内リンパ水腫が観察され,その高度のものはReissner膜,球形嚢膜がそれぞれ前庭階上壁,アブミ骨底板にまで接するようになる.中等度以上の水腫が起つている場合にはReissner膜はその断面の長さだけでもその伸展は,80~120%の増加を示した.また蝸牛管における水腫が比較的軽度にみえても,球形嚢膜の膨隆がかなり著明な例もあつた.一方高度の内リンパ水腫が存在しても蝸牛のラセン器,血管条,神経組織などには光顕レベルでは形態的変化は認められず,また卵形嚢や半規管などには明らかな水腫はほとんど見出せなかつた.
    (2) 音刺激によるラセン器の傷害について:内リンパ水腫動物に,過大な純音刺激を加えると,内リンパ水腫側蝸牛ラセン器の外毛細胞の傷害は,与えた純音特有の基底膜の最大振幅部位付近では,正常側よりもむしろ軽い.一方,この最大振幅部位よりも基底側への傷害の広がりは,対照側よりもやや広い.このことは蝸牛管内リンパの液量の増加により,基底膜の音刺激によるtraveling wave patternに変化が生じたために現われる現象ではないかと推測された.
    (3) 内リンパ水腫のCMに及ぼす影響について:内リンパ水腫の度合いが軽度ないし中等度のものでは,そのpseudothresholdならびにinput-output functionはいずれもほぼ正常範囲内に止まり,高度のものにおいても,その40%の動物において,CM測定値は正常範囲内にとどまるが,他の60%のものにおいては,CMの低下がみられた.
  • 高原 滋夫, 岡本 途也
    1973 年 76 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 寛, 小倉 義郎, 原田 康夫, 綿貫 幸三
    1973 年 76 巻 1 号 p. 79-83
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
  • 逃避条件反射に基づく各種聴機能の検討(猫)
    恩地 豊, 五十嵐 真
    1973 年 76 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
  • 堀口 申作, 沢木 修二
    1973 年 76 巻 1 号 p. 86-87
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
  • 岩本 彦之〓, 広戸 幾一郎
    1973 年 76 巻 1 号 p. 88-90
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 淳一, 吉江 信夫, 雨森 良幸, 坂田 英治
    1973 年 76 巻 1 号 p. 90-96
    発行日: 1973/01/20
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 76 巻 1 号 p. 96a
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 76 巻 1 号 p. 96b
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/12/16
    ジャーナル フリー
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