日本耳鼻咽喉科学会会報
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72 巻 , 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 松永 喬, 松永 亨, 川本 浩康, 福田 宗弘
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2127-2142
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    最近のめまい患者の中には高血圧症あるいは脳動脈硬化症が多い. その際のめまいは末梢性にも中枢性にも発現しうると考えられるが, 今回はこの問題を究明するため, まず高血圧症のみにおいて前庭平衡機能検査に異常がみられるかどうか, みられるとすればその責任部位は末梢迷路か, 中枢かを検討しようと30羽の正常成熟学兎を用いて実験的高血圧を作成し, 6ヶ月乃至9ヶ月の慢性実験を行い, その際の平衡機能検査の異常を調べ, 次の如き成績を得た.
    (1) 1側腎動脈狭窄に加えて両側調圧神経切除術を行い, 平均30mmHg以上の持続的高血圧家兎を作り得た.
    (2) その際, 眼振反応としては自発眼振は実験期間中いずれも認めず, 検討し得た高血圧家兎17羽中11羽に頭位眼振が認められた.
    (3) Preyer反射, 迷路性向位反射, 運動反射などは実験期間中殆ど正常であった.
    (4) 回転後眼振検査では持続時間の左右差に著明な変化なく, 軽度の短縮を認めた.
    (5) 組織学的検索では蝸牛迷路も特別な病的変化は認められなかった.
  • 綿貫 幸三, 河本 和友, 片桐 主一
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2143-2145
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    猫蝸牛のライスネル膜について光学顕微鏡による観察がなされた. 蝸牛の切片標本のみならず蝸牛を解体し実体顕微鏡下にライスネル膜全体を取出し新しい方法で利用された銀反応を行ないライスネル膜の表面像をその全体にわたって観察する方法がとられた. ライスネル膜は蝸牛管側で内リンパに面する上皮層と前庭階側で外リンパに面する中皮細胞層との二層により構成されている. 上皮細胞はモルモット蝸牛におけると同様にラセン唇側で小さく血管条側にいくにしたがってその自由表面は大きくなりそれらが放射状に配列しているのがみられた. 一方外リンパに面して一層をなす中皮細胞の形は, 特徴あるキューリ形の細長い細胞でありこれらがラセン唇側及び血管条側で数列のラセン状配列をなしその中間では規則正しい放射状配列をなすがラセン唇側及び血管条側で10~12ヶの細胞の一端が一点に集歛する像が屡々みられた. また屡々中皮細胞間隙の開大が正常蝸牛においてもみとめられ内外リンパの生化学的あるいは生物電気的変化をもたらす一つの原因となりうることが議論された.
  • 中井 義明
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2146-2151
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Reissner氏膜の超微構造及びその発生過程を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で観察し, また物質の能動輸送に重要な役割りを持つAdenosine triphosphatase (ATP-ase) の存在部位をその超微構造の上で明らかにした.
    成熟Reissner氏膜は内リンパ側の細胞層及び外リンパ側の細胞層の2層より構成されている. 内リンパ側の細胞はその細胞間は表層は特殊な構造で堅く結合されているが, 内側は結合はルーズでありinfoldingが形成されている. 細胞内小器官は一般細胞に見られるのとほゞ同様であるが, 小胞及びゴルジー装置が発達している. また内リンパ側に小絨毛が突出しているのが特徴である. 外リンパ側細胞は薄く大きく拡がっている. 細胞間結合もルーズであり, 細胞内小器官も少ない. この内外2種の細胞には, 細胞膜のvesicular invaginationが存在するが, この所見は, 内リンパ液と外リンパ液とがReissner氏膜を介して何らかの交流を持っている事を示唆する.
    内リンパ側細胞膜, 特にその内リンパ面にATP-ase活性が多量存在する事を電子顕微鏡的に明らかにしたが, 内リンパ側細胞が物質の選択的透過性に果す役割りが大であると推論された.
    未成熟期の内リンパ側細胞には各1本のkinociliumが存在するが, 成長するにつれて未だ知られざる役割りを果しながら消失する.
    胎生期のReissner氏膜は内側のectodermal起源の細胞と外側のmesodermal起源の数層より構成され, 毛細血管も含むが, 成長するにつれて外側の細胞層が漸次減少し, 内外2層となる.
  • 隈上 秀伯
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2152-2158
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎の綜合的手術において術後の交通路の確保のために現在まで種々の方法を行ってきた. 本回は篩骨洞のために上顎洞粘膜を保存し一部を有茎として篩骨洞に延長移植し, 術後の交通路を確保せんとした. 一側は粘膜を剥離除去し対照とした. なお篩骨洞は両側ともに十分に粘膜を除去し鼻内手術を合せて行ない下鼻道に対孔を作製した. さらに家兎を用いて家兎の自然口を軟部組織を移植し自然口の閉鎖によって慢性副鼻腔炎を作製し, 対孔作製すなはちDrainageの意義についても検討した.
    また人における術後成績を比較するため上顎, 篩骨および症例によって前頭洞鼻外手術による粘膜剥離除去例142例と, 上顎癌によって上顎全摘をうけた後の篩骨洞を慢性副鼻腔炎の治癒の立場からみた手術的治癒率の検討を行った.
    その結果は
    1) 上顎洞, 篩骨洞の粘膜を剥離除去した例の術後成績は鼻腔所見および自覚的にも鼻漏が消失したものは33%, さらに自覚的に鼻漏が減少したものも含むと51%が改善した.
    2) 上顎洞粘膜の保存手術では32例のうち22例が鼻腔所見で改善を認め, 対孔の開存例, レ線造影によって篩骨, 上顎洞との交通路が保たれている例が結果は良好であった.
    3) 家兎における実験的副鼻腔炎の開窓術の結果は単一の洞の副鼻腔炎においても対孔を作製しただけではすなわち, 外科的一般の排膿路を作つただけでは治癒しない例があることを知った.
    4) 上顎癌によって上顎全摘をされた例の篩骨洞を副鼻腔炎の手術的治癒の立場から観察したが, その30%は治癒しない例のあることは副鼻腔炎の手術的治癒率を知るために参考になる所見とした.
  • 高柳 長子
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2159-2180
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鼻アレルギーを病因別に分類し, それぞれに適応した治療法即特異的減感作療法, 非特異的減感作療法, 薬物療法, 鼻粘膜の弱電気凝固法などを行った.
    治療効果は, 自覚症状, 鼻鏡所見, 皮内反応, 誘発反応, ヒスタミン鼻粘膜反応, 鼻汁中好酸球の変化を継続的に観察して判定した.
    結果
    1. 特異的減感作療法: 自覚症状の改善は, ブタクサ花粉症では有効率87.5% (その中著効は41.7%) ハウスダスト群では有効率90.1% (その中著効は74%) であった. 水性鼻汁, 好酸球増多の減少, 皮内及誘発反応の減弱はみられたが, ヒスタミン感受性の変動は, 著しいものはみられなかった.
    2. 特異的なアレルゲンの見出されなかった群の非特異的減感作: Solganal B注射による自覚症状の改善は79.2%, Histaglobinでは75%, Paspatでは40%, であった.
    3. 抗アレルギー剤投与により, 自覚症状の改善, 皮内及び誘発反応の減弱はみられたが, 効果が一過性であり, 副作用もあるため持続的には使えない.
    4. 弱電気凝固法により, 自覚症状の改善は61.1%みられたが, 他覚的所見は不変であった.
    5. 鼻腔内形態異常の著しいもの, または, 慢性副鼻腔炎を伴った症例では, 手術的療法は, 不可欠のものであると考える.
  • 小林 力
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2181-2206
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    今日癌に対しては, 化学療法, 放射線照射, 手術などによって治療が行なわれているが, すべての癌患者を治癒せしめることは未だ不可能であり, より有効な治療法の確立が望まれる反面, 癌の特殊な代謝機構を解明して薬剤や治療に対する癌の感受性を適確にとらえ, 治療法の選定, 治療効果の判定, 予後の推定などの指標となり得る手段を見い出すことは重要である. そこで酵素生化学的に, 頭頸部悪性腫瘍の癌組織50例と非癌組織37例のLDHアイソザイムを測定して, 癌組織特有のアイソザイムパターンを解明するとともに, 癌患者20例, 非癌患者20例の血清LDHアイソザイムを測定して両者の相異を明らかにした. さらに治療を受けた癌患者については, 治療経過に伴う癌組織及び血清のLDHアイソザイムの変動を検討して, LDHアイソザイムの癌の臨床への応用の意義について考察した.
    LDHアイソザイムの測定は寒天電気泳動法を用い, Wiemeに従い陽極側をLDH1とした.
    1. 癌組織50例のLDHアイソザイムの平均値はLDH1=1.2%, LDH2=10.7%, LDH3=20.3%, LDH4=31.2%, LDH5=36.7%となり, 50例中43例 (86%) はLDH1<LDH2<LDH3<LDH4<LDH5のパターンを示し, LDH5が増加している. 非癌組織37例の平均値はLDH1=5.1%, LDH2=17.8%, LDH3=28.2%, LDH4=31.1%, LDH5=17.5%となり, 37例中35例 (95%) はLDH1<LDH2<HDH5<LDH3, LDH4のパターンを示し, LDH3, LDH4が増加している.
    2. 制癌剤の動注法及び放射線照射によって治療した癌患者18例について, 治療経過に伴う癌組織LDHアイソザイムの変動を検討したところ, 臨床効果が著効の症例では治療後にLDH5が減少し, 無効の症例ではLDH5が減少せず癌特有のパターンを維持している.
    3. 癌組織の辺縁部ないし癌周囲組織のLDHアイソザイムは, 癌組織にきわめて近似したアイソザイムを示し, 非癌組織のアイソザイムとはいちじるしく異る.
    4. 頭頸部悪性腫瘍患者20例の血清LDHアイソザイムの平均値はLDH1=28%, LDH2=40%, LDH3=14%, LDH4=7%, LDH5=11%である. 非癌患者血清20例の平均値はLDH1=41%, LDH2=46%, LDH3=9%, LDH4=2%, LDH5=1%である. 両者の差はLDH1とLDH5にいちじるしい. すなわち癌患者血清では, LDH1が減少してLDH5が増加している. つぎに癌患者を制癌剤の動注法及び放射線照射によって治療すると, 臨床効果が著効の症例では血清LDHアイソザイムのLDH5が減少し, 無効の症例ではLDH5が減少せずかえって増加する傾向を示す.
    以上の結果より, 癌組織及び癌患者血清のLDHアイソザイムは, 癌の酵素学的診断, 治療効果判定の指標として役立ち得るとともに予後の推定に応用され得る可能性を示唆しており, 臨床的意義を有するものと考える.
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. 2207-2239
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. 2241-2257
    発行日: 1969/12/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
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