日本耳鼻咽喉科学会会報
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73 巻, 7 号
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  • 大野 吉昭
    1970 年 73 巻 7 号 p. 837-847
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,人の鼓膜張筋,アブミ骨筋の何れが,音刺激に対して主役を演ずるかを解明し,臨床応用への可能性を示唆することにある.検査法はExtratympanic phonometryに依り耳小骨筋収縮に伴う外耳道微圧変化を検出するもので,正常耳,末梢性顔面神経麻痺,耳硬化症,感音性難聴を対象とし,筋反射域値と潜伏時間を測定した.正常耳の圧変化様式は,圧減少型および圧増加型に区別できたが,筋反射域値,潜伏時間(平均23msec.)ともに差異はなく,筋電図学的に潜伏時間の短かいアブミ骨筋単独の反応と推定された.これは,ベル氏麻痺とハント氏症候群の麻痺回復過程において,外耳道圧変化に圧減少型と圧増加型の2つのTypeが認められたこと,またアブミ骨神経分枝部よりも上位に障害部位を確認しえた外傷性顔面神経麻痺症例では,反応がまつたく出現しなかつたことからも実証しえた.耳硬化症例では反応が検出されなかつた.内耳性難聴群では純音域値と筋反射域値の接近を認めた.この新音響性耳小骨筋反射測定法は,顔面神経麻痺の局在診断,アブミ骨可動性診断,他覚的Recruitment検査等に充分応用しえると思う.
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