日本耳鼻咽喉科学会会報
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121 巻, 11 号
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総説
  • 基準嗅力検査から分子イメージングまで
    志賀 英明, 三輪 高喜
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1329-1335
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     認知症における嗅覚障害の研究の進展と共に, 国内外で嗅覚検査の重要性が再認識されてきている. 一方で, T & T オルファクトメーターによる基準嗅力検査は限られた施設で行われており, 主には OSIT-J やオープンエッセンスなどの嗅覚同定検査が神経内科も含めて広く研究で用いられている. 自験例では T & T オルファクトメーター付属の脱臭装置のほかに, 市販脱臭装置を併用することで, 市中病院でも耳鼻咽喉科外来の一角で検査が行える. 海外の嗅覚検査は保険収載されていないうえに, 日本人にはなじみのないにおいが含まれている. においの感じ方は文化的背景や遺伝的背景の差異に影響を受けるため, 嗅覚検査の施行に当たってはその点を考慮すべきである. また加齢の変化も考慮する必要があり, 特に嗅覚障害のスクリーニングにおいては加齢変化を受けにくい嗅素の選定が重要である.

     パーキンソン病におけるドーパミントランスポータースキャンなど近年の分子イメージング研究と嗅覚研究との関連研究が進展している. 中枢性嗅覚障害の正確な診断には, 脳機能画像研究のさらなる発展が不可欠と考えられる. 一方で嗅神経性嗅覚障害の画像診断法としては, われわれの開発した “オルファクトシンチグラフィ” が有用である. 嗅覚障害の病態を新たな画像診断法で解明し, 患者個人に合わせた治療法の選択に結びつけることで, 嗅覚障害診療のプレシジョン・メディスン構築への貢献が期待される.

  • 甲状腺癌の個別化治療
    森谷 季吉
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1336-1344
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     甲状腺分化癌は10年生存率が90%以上と予後は良好で, その治療の中心は外科的切除である. 治療に関しては, 再発リスクや予後予測に基づいた複数のガイドラインが発表されており, 癌の広がりに応じたそれぞれの切除範囲が推奨される. 2018年に改訂予定の甲状腺腫瘍診療ガイドライン第2版では, 乳頭癌を超低リスク, 低リスク, 中リスク, 高リスクと分類 (案) とし, 超低・低リスクには葉 (峡) 切除を, 高リスクには全摘を推奨し, 中リスクに属する症例には幅を持たせ, 予後因子や患者背景を考慮して全摘か葉切除術かを選択するとしている. 治療における大きな変化は, 1cm以下の微小癌に対する非切除・経過観察が推奨され超低リスクとして分類されたこと, また放射性ヨウ素治療不応の遠隔転移, 切除不能局所進行再発に対する分子標的治療が挙げられる. 超低リスク群に対する非切除・経過観察は, 日本より発信されたものである. 前向き介入研究で, 経過観察中の腫瘍の増大やリンパ節転移出現の頻度は低く, たとえ腫瘍の増大やリンパ節転移のため手術が必要となったとしても, 遠隔転移や癌死はなかったとの報告に基づく. また分子標的薬は2014年に本邦でも承認され, 分化癌ではソラフェニブとレンバチニブの2剤が使用可能である. 再発・転移例の QOL の改善や予後の延長が期待できる薬剤であるが, 治療開始のタイミングの見極めと副作用のマネジメントが重要である. また頻度は高くないが, 高リスク群に分類される隣接臓器に浸潤した腫瘍の取り扱いは, いずれのガイドラインにも具体的な取り扱いの指針はなく常に問題とされる. これらは再発・転移が多く予後不良であるばかりでなく, 切除もしくは切除不能とした場合でも嚥下, 構音や呼吸などの機能障害を引き起こす可能性が高い. 甲状腺分化癌は, 超低リスクから高リスクまで選択すべき治療の幅は広い. 症例ごとで腫瘍の広がりや患者背景を考慮したうえで, 最適な治療を選択する必要がある.

  • 山崎 裕
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1345-1346
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     味覚障害の治療は, 亜鉛製剤の補充療法だけが唯一, エビデンスのある治療とされ, どんな原因であってもまず亜鉛の補充が行われてきた. しかし, 長期間の亜鉛補充でも改善が得られない症例が少なからず認められ, 特に誘因が明らかでない特発性や心因性において, ほかの治療法の確立が望まれていた. これらを踏まえ, 著者らが行ってきた高齢者味覚障害への亜鉛補充療法以外の対応に関して紹介する.

     口腔疾患が味覚障害の原因の場合には, 口腔疾患への適切な対応と口腔ケアのみで完治が期待される. 口腔疾患の中ではカンジダ症が多くを占め, その中で外来患者の多くは紅斑性カンジダ症で, 診察のみでは診断が困難な症例が多いため, カンジダ培養検査を初診時の必須検査項目としている. 特発性, 心因性, 血清亜鉛値が 60μg/dL 以上の亜鉛欠乏性においては, ベンゾジアゼピン系のロフラゼプ酸エチルを第一選択薬としている. 最大の長所は即効性で, 2週間以内に有効症例の8割以上に効果を認めた. 従って1カ月投与し効果が認められない場合には, 亜鉛の補充などのほかの治療に移行が可能である. また, もう一つの対応が漢方薬の投与である. 味覚障害に特異的効果のある漢方薬はないが, 患者の自覚症状と所見から方剤を選択し, 原因不明でも投与が可能である. 経験的に柴胡剤の投与が多く, 方剤の決定に腹診での胸脇苦満の有無や程度が参考になる.

  • 鼻・副鼻腔乳頭腫
    安松 隆治
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1347-1353
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     鼻・副鼻腔内反性乳頭腫は, 50~60歳代の男性に多い良性腫瘍であり, 一側性で表面が分葉状, 易出血性の場合は, 本症を念頭に置く必要がある. 画像検査において CT では鼻・副鼻腔に造影効果がある腫瘍を認めることが多く, MRI では Gd 造影でまだら状に造影効果 (convoluted cerebriform pattern: CCP) が認められることがあり, 進展範囲を知る上で重要である. また, SCC 抗原は内反性乳頭腫における治療前後のモニターツールとして有用である. 治療法として, 周囲の健常粘膜や骨を含めて腫瘍病変を摘出することが求められ, 不完全な切除は再発の原因となる.

     内反性乳頭腫においては悪性腫瘍 (多くが SCC) を合併することが知られており, 頻度は1.2~24%と報告されているものの, 癌化するメカニズムについては不明な点も多い. ただ腫瘍が副鼻腔を超えて進展している場合, SCC を合併している可能性が高く, そうした症例においては治療に難渋することもしばしば経験する. 広範に進展した症例では, 術前から癌合併を十分に想定した上での治療計画を立てる必要がある.

     鼻・副鼻腔乳頭腫の発生には, HPV の関与が指摘されている. HPV 検出率は全体で3割程度と報告されている. 内反性乳頭腫の癌化と高リスク型 HPV とのかかわりについては, 近年否定的な報告が増えている.

  • 住谷 昌彦, 住谷 瑞穂
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1354-1360
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     高度に発展した現代医療においては, それぞれが特化した専門性を持つ医師や看護師など, 役割と知識や教育システムが異なる多様な医療職種がチーム医療を担っており, これらのプロフェッションとしての医療専門職集団が円滑に連携することによって初めて医療安全が確保される.

     医療安全とは, 医療における最も基本的な要件で, 患者に安全な医療サービスを提供することだけでなく, 医療事故や紛争を起こさないための方策とこれらが起きた場合の対応策と定義されている. 厚生労働省がその実現のための10の要点を提案し周知して以来, 病院・診療所いずれの医療機関においても医療安全への重点的な取り組みが望まれてきた. 耳鼻咽喉科は, 内科的役割と外科的役割 (手術加療) の双方を担当する広い診療技能を必要とする特性を持つ. 手術の中にも耳科・鼻科手術や音声手術のような機能改善を目的としたものから, 頭頸部がんや頸部膿瘍, 急性喉頭蓋炎など生命の危機に直結する緊急的な手術症例までを診療対象としており, 医療安全の観点からも患者重症度およびその背景に留意した理解と対応が必要である.

     医療安全のための心構えと基本的考え方として, リスク情報の開示, 提供, 意見交換を行うリスクコミュニケーションがある. 医療におけるリスクコミュニケーションは患者参加が原則で, 医療者は専門性を高めて相互参加する必要がある. 重篤な事象の発生を防止する方法としては, リスクに対する問題解決型アプローチであるインシデント/アクシデント報告システムが広く取り入れられている. 病院における組織的取組と環境整備として, 診療科・多職種横断的な委員会で重篤な疾患予防, 早期診断, 治療について対応することも重要である. また個々の患者の治療方針を決定する際に重要な概念となるヘルスリテラシーの指標として, その質問票である Newest Vital Sign (NVS) の日本語版がある.

  • ―頸部良性腫瘤と頭頸部領域からのリンパ節転移を中心に―
    星川 広史
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1361-1365
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     頸部腫瘤を鑑別するための分類はさまざまあるが, 小児では先天性と炎症性疾患を, 成人では炎症性疾患と腫瘍性疾患を念頭に置きながら診察することがひとつのポイントとなる.

     小児の場合, 80~90%は良性疾患とされ, 頸部リンパ節腫脹を来す炎症性疾患が最も多く, 咽頭粘膜・扁桃の発赤や腫脹の程度, 発熱などの身体所見も併せて, 深頸部膿瘍や川崎病などの重篤な疾患を見逃さないように注意することが必要である. また, ムンプスなど集団感染のリスクにも留意して, 流行している感染症情報にも注意しておく. 先天性のものとしては, 甲状舌管嚢胞や側頸嚢胞などの嚢胞性疾患のほか, 血管腫, リンパ管腫, 皮様嚢腫などを中心に, 腫瘤の存在部位や性状に注意しながら鑑別を進める. 悪性腫瘍の頻度は少ないとはいえ, 横紋筋肉腫などの肉腫系, 悪性リンパ腫などの血液系の悪性腫瘍も鑑別として常に念頭に置いておく.

     成人の場合, 同様に炎症性のリンパ節腫脹が頻度としては多いが, 癌のリンパ節転移の可能性を常に意識しておく. 転移性リンパ節の場合, その大半は頭頸部領域からの転移であるため, 上咽頭, 口蓋扁桃, 舌扁桃といった, 見逃しやすい領域の十分な視診・触診や, NBI 内視鏡等を用いた慎重な診断が重要である. 良性の腫瘤性病変は, 小児に頻度の多い先天性のものに加え, 脂肪腫, 神経鞘種, 傍神経節腫など多彩で, 慢性のリンパ増殖性疾患として木村病, サルコイドーシス, キャッスルマン病など, さらにはメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患など, 既往症, 薬剤使用歴などにも注意を要する.

     診断の手順としては, 十分な問診, 基本的な視診・触診, 必要に応じた画像検査 (超音波を中心に) など, 侵襲の少ないものから順次行い, 悪性を疑うもしくは確定診断に必須の場合には, FNA, 生検も遅滞なく施行する.

原著
  • 本郷 貴大, 中野 貴史, 打田 義則, 力丸 文秀, 藤 賢史, 檜垣 雄一郎, 田口 健一, 益田 宗幸
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1366-1372
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     唾液腺悪性腫瘍は頭頸部悪性腫瘍でも頻度の低い腫瘍であり, その中でも筋上皮癌は極めてまれな組織型である. 今回われわれは, 1991~2018年までに当科で経験した頭頸部原発の筋上皮癌9症例の治療法と経過について検討したので報告する.

     年齢は44~83歳 (中央値63歳), 男性4例, 女性5例であった. 原発部位は, 耳下腺1例, 顎下腺3例, 口腔2例, 中咽頭2例, 副咽頭間隙1例であった. 全例に手術が施行され, 5例が多形腺腫由来筋上皮癌の診断で, de novo 発生と考えられるのは4例だった. 術後化学放射線治療は5例に行われた. 5年生存率は87.5%, 10年生存率は75%であった. 局所再発率は22.2%, 遠隔再発率は33.3%で, 術後無病生存期間の中央値は101カ月であったことから, 長期経過での再発が特徴である. 局所再発した2症例はともに根治切除術が行われ, その後再発なく経過している. 遠隔再発を来した3例はすべて肺転移であり, 2例で化学療法が行われたが, 今回の検討では, 化学療法による延命効果は認めなかった.

  • 猪狩 雄一, 小澤 宏之, 吉浜 圭祐, 齋藤 真, 中原 奈々, 伊藤 文展, 平賀 良彦, 渡部 佳弘, 関水 真理子, 佐藤 陽一郎, ...
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1373-1380
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     外傷性視神経症は頭部顔面外傷に合併する疾患であり, 時に永久的な視力障害の原因となる. 視神経管骨折を伴う症例の場合には視神経管開放術を勧める報告があるが, 手術適応や手術を行う時期について明確な指針はない. また, CT などの画像検査において視神経管骨折の診断が困難な場合があることも治療方針の決定に影響する.

     当院では視神経管骨折による外傷性視神経症に対して, 眼科, 脳神経外科と連携して積極的に経鼻内視鏡下視神経管開放術およびステロイド投与による治療を行っている. 2015年5月から2017年5月の期間に本手術を6例経験したので治療経過を報告する. 年齢は17~78歳, 受傷から手術までの待機期間は19時間~6日であった. 6例中5例で眉毛部外側に外傷を認めた. 術前 CT で視神経管骨折を確認できた症例は3例であったが, 術中所見では全例で視神経管に骨折を認めた. 術前視力は4例が手動弁以上, 2例が光覚弁のない症例であり, 術後6カ月目の視力は5例で改善を認め, 1例では視力は改善せず, この症例は手術待機時間が6日間であった.

     今回の検討で, 視神経管骨折を画像検査で診断することが困難な症例では, 眼科的な評価に加えて眉毛外側の創傷が視神経管骨折の診断に役に立った. 視神経管骨折による外傷性視神経症の症例では早期に視神経管開放術を施行し, 術前後ステロイド投与を行うことで視力が改善する症例が多く, 本治療は有効な治療法であると考えられた.

  • 森 友里絵, 川島 慶之, 高橋 正時, 藤川 太郎, 丸山 絢子, 竹田 貴策, 立石 優美子, 伊藤 卓, 堤 剛
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1381-1388
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     高安動脈炎は, 主に大動脈やその主要分枝に閉塞性あるいは拡張性病変を来す原因不明の血管炎であり, しばしば難聴を合併する. 多くは両側性で, ときに高度難聴に至るが, 高安動脈炎自体がまれな疾患であるため, 耳科学的臨床像は十分には解明されておらず, 治療法も確立されていない. 本研究では, 当科で経験した難聴を伴った高安動脈炎9例の耳科学的臨床像につき報告した. 高安動脈炎の初発時年齢は平均29.8歳であり, 全例女性であった. 高安動脈炎の主要症状出現から耳症状出現までの期間は -4~18年と多彩であった. 高安動脈炎の診断確定時点で耳症状を認めた症例が4例あり, そのうち3例では耳症状が高安動脈炎の初発症状であった. 耳症状は8例が両側性であり難聴, 耳鳴が多かった. 難聴の種類は感音難聴が多く, 緩徐に進行する症例から急激に悪化する症例まで多彩であった. 聴力型は高音障害型が7耳と多かったが, 谷型, 水平型, 聾型, 低音障害型, dip 型と多岐にわたった. 7例でめまいを認めた. 治療は全例でプレドニゾロンが投与されていた. 最悪時の平均聴力レベルが 40dB 未満の症例では半数で改善を認めたが, 80dB 以上の症例では改善例はなかった. 両側高度難聴に至ったのち急速に蝸牛の骨化・線維化が進行し, 人工内耳の電極挿入が困難となった症例を経験しており, 高度難聴例では人工内耳埋込術の適応についても早急に検討する必要があると考えられた.

  • 小林 茉莉子, 榎本 浩幸, 吉村 太一, 矢野 実裕子, 桑原 達, 折舘 伸彦
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1389-1394
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     気管挿管後に発症した声門後部癒着症例を経験した. 症例は75歳男性で, 抜管後約1カ月から労作時呼吸困難を自覚し, 抜管後3カ月で左声帯正中位固定, 右声帯の外転障害を認め気管切開術を施行した. 声門下からの観察で声門後部癒着症と診断された. 一側の輪状披裂関節固着を伴っていたが, 喉頭微細手術下に CO2 レーザーを用いて癒着の切離を行い, 右声帯の外転運動は改善し, 術後3カ月で気管切開孔を閉鎖した. 現在術後1年を経過しているが再癒着は認めていない. 喉頭内視鏡検査で声門後部の癒着を指摘することは困難であることが多く, 初診時両側声帯麻痺と誤診されることがあり注意を要する.

  • 白倉 真之, 渡邊 健一, 橋本 光, 本藏 陽平, 石田 英一, 野村 和弘, 香取 幸夫
    2018 年 121 巻 11 号 p. 1395-1400
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     緊急時の気道確保は, 気管挿管, あるいは気管切開術や輪状甲状靭帯切開といった手術手技により行われる. しかし高度の気道狭窄例では, 挿管困難や, 術中に気道狭窄が進行して換気困難となる危険性があり, 慎重な対応と習熟した手技が求められる. 今回, 診断未確定の高度な声門下狭窄症に対する気道確保時に, 体外循環である ECMO (Extracorporeal Membrane Oxygenation) を併用し, 酸素化を担保された状態で気道確保を安全に施行した症例を経験した. ECMO の特性をよく理解し, 気道確保に高いリスクを伴う症例に対する選択肢として認識することで, より安全な気道確保を行うことができると考えられる.

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