日本耳鼻咽喉科学会会報
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77 巻, 4 号
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  • 坂本 伸一郎, 鈴木 史入, 真柄 孝一, 古島 真理子
    1974 年 77 巻 4 号 p. 255-264
    発行日: 1974/04/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    白血病経過中に感音性難聴をきたした2症例について,その聴覚障害の推移,勝徴を述べた,症例1は27才男子で,鰻性骨髄性白血病経過中に突発性に左側難聴,耳鳴および眩暈を呈した症例で,約10ケ月間の観察期間中,一過性に聴力の改善を示したけれども,最終的には左側完全ろうに至つた症例である.突発性難聴とともに健側向き末梢性特徴を有する自発眼振の出現より,内耳障害が推定された.又,全身的に出血性素因スクリーニングテスト成績の経時的観察と聴力域値の推移の関連性のあることから.内耳出血が聴覚障害の要囚であると考えられた.
    症例2は32才男子で,急性骨髄性白血病および,いわゆるMeningeal leukemiaの症例で右側難聴•頭痛•視力障害•髄液腫瘍細胞の著明増加などの症状所見を星していた.右側難聴の発症は急速ではあるが,突発的ではなくFowler's ABLB testで補充現象は認められず,又,Tone decay陽性を示した.約8ヵ月後には治療により頭痛の消失,視力改善および髄液所見の改善とともに難聴の著明改善を示した.又,冷温交互温度刺激検査で患側c.p.を示し,一方,視性運動性眼振の解発不良,視標追跡眼運動検査で眼球運動の円滑性が阻害されていた.聴力域値の推移と髄液所見の消長との密接な関連性のあることより,頭蓋内,ことに聴神経への細胞浸潤が聴覚障害の主要因であろうと推定した.
  • そのI臨床的研究
    坂上 千代子
    1974 年 77 巻 4 号 p. 265-284
    発行日: 1974/04/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
  • 失語症因子と簡略な失語症検査法の開発
    福迫 陽子
    1974 年 77 巻 4 号 p. 285-301
    発行日: 1974/04/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1.目的
    本来の失語症検査は,経験的に必要と思われる鴬語行動の検査項目を網羅し,かつ信頼性の高いことが目標にされている.そのため検査項目は多く,検査に要する時間も長い.一方臨床的立場からいえば,少ない検査で適確に症状を把握することもまれる.そこで,失語症検査の妥当性の指標として失語症因子を取りあげ,少数の項目よりなる失語症簡易検査を開発することを試みた.この場合目的とする簡易検査は,失語症状に対する因子構造を変えずにしかも因子軸に対する因子負荷量が最大になるような検査からなる項目数の少ないテストバッテリーで,失語症患者のスクリーニングと大略な臨床分類が可能なものである.2.方法
    研究は次の益つの段階からなる,
    1)予備実験として,205例の失語症患者にSchuell-笹沼失語症簡易検査(検査項目数23)を行なつた結果について,因子構造を変えずに検査項目数を減らす方法を検討した.
    2)各臨床型のバランスのとれた失語症患者群すなわちSchuellの臨床分類I,III,IV,V,minorA各群それぞれ20例合計100例について,Schuell-笹沼失語症鑑別診断検査(試案II,検査項目数68)を用いた結果から失語症の因子を推定した.
    3)推定された因子構造指標として,予備実験で得られた方法を用い,上記鑑別診断検査から検査項目数の少ないテストバッテリーを作成した.因子分析の演算は,柳井のプログラムにより東京大学大型計算機センターで行われた.3.結果
    1)一般に,因予構造を変えずに検査項目数を少なくするためには,因子負荷量の大きい検査を各囚子あたり2個以上とればよいことが明らかになつた.その他に,検査の選択にあたっては,テストバッテリーの目的,検査内容,実施場面などに対する考慮も必要であることがわかつた.
    2)失語症の因子として,「言語行動の統合因子」,「視覚過程」,「語の認知」,「構音運動のプログラミング」,「計算能力」,「声器官の運動機能」の6個の隅子が得られた.このうち3~4個の因子は,Schuellの解析や,Schuell-笹沼失語症鑑別診断検査および簡易検査を用いてすでに得られている因子と共通していた.「語の認知」と「計算能力」の2因子は今回はじめて得られたものである.
    3)68項はりなるSchuell-笹沼失語症鑑別診断検査(試案II)から14検査項目を選択して因子分析をおこなつたところ,最小の音声器官の運動機能の因子が視覚過程の因子に合併して抽出きれたことを除き,68検査項目の場合に類似した因子構造が得られた.14検査項目よりなる失語症簡易検査は,スクリーニング検査として有効であることが推論された.
  • 坂倉 康夫
    1974 年 77 巻 4 号 p. 302-316
    発行日: 1974/04/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    気道の粘液線毛機能は吸気巾の異物の排除のため生体防御の第一線として働いている.この機能はますます増大する大気汚染,ウイルス感染,大気環境の急激な変化などによつてさらに重要となり,再検討をせまられている.この粘液線毛機能はmuccciliary transport rate(MTR)として測定することができる.
    そこでイヌ気管の粘液流動にたいする種々の因子の影響と,実験的rhinovirus感染時のヒト鼻腔の融液流動におよほす影響をTechnetium-99mで標識したparticleを用いてMTRを測定することにょり検討した。さらにvitamin CのMTRとrhinovirus感染症におよぼす影響をも検討した.
    麻酔したイヌを頭部が任意の温度湿度に調節可能な曝露箱にいれ,気管後壁に附着させたradioactiveparticleの動きをscintillation detectorで追求し,MTRを算定した.ヒト鼻腔のMTRは中鼻介前下端部付近に相当する鼻中隔に附着させた同様のparticleの動きを,Anger cameraで追求,算定した.rhinovirus 44 100 TCID50を経鼻的に接種し,以後縄時的に臨灰所見と対比しつつMTRを測定した.
    対照大気条件(29°C,78% RH)下でのイヌ気管のMTRは平均1.5mm/min±7.39であり,ウイルス接種前の苅照期のヒト鼻腔のMTRは正常考群では平均2.5mm/min±4.27であり,鼻鏡所見 をしめす群では4.Omm/min±2.00であつた.イヌ気管でもヒト鼻腔でもMTR の個体差は非常に大であつたが,個体はその個体に特有のMTRをもちMTRにはいわゆる正常値が存在しないと考えられる.イヌ気管において対照条件下のMTRに比し,鼻呼吸時の大気の温度湿度の変化はそのMTRに影響をあたえなかつた.pilocarpineはイヌ気管のMTRを昂進させ,9-puffのcigarette smokeはそれに一定の変化をおこさせなかつたが 12-puffではMTRの有意の低下がみとめられた.ciga-rette smokeは線毛打のみならず,線遍の協同運動にも障害をひきおこすと考えられる.ヒト鼻腔のMTRは実験的rhinovirus感染症に際し有意に搾翻され,normal groupではその最大の抑制はウイルス接種後3日目の臨床上の極期に一致し,対照期のMTRのいかんにかかわらず2mm/min附近であつた.1日量3 gのvitamin Cはヒト鼻腔のMTRにも,実験的rhinovirus感染の発現,その経過にもなんらの影響をもあたえなかつた.
  • 佐藤 靖雄
    1974 年 77 巻 4 号 p. 334-341
    発行日: 1974/04/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
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