上咽頭は, 鼻腔と中咽頭の境界に位置し, 耳管により中耳腔と交通し, 粘膜上皮は線毛上皮, 移行上皮, 扁平上皮から構成される. 今回, 剖検10症例を用いてその上皮分布を検討した. 個々の症例では, 各部位ごとで各上皮の出現頻度が異なり, 個体差も大きく, 上皮の分布における左右の対称性も認められなかった. そこで, 10例を重ね合わせて, 上皮分布が全体として規則性があるかを検討した. 鼻腔側で線毛上皮が, 咽頭側で扁平上皮が多くを占め, 移行上皮が両者の間にモザイク様に分布する傾向を認めたが, Aliが報告したような整然とした直線的区画をもつ模式図化された分布ではなかった.
抄録全体を表示