日本耳鼻咽喉科学会会報
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73 巻, 1 号
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  • 石川 哮, 北村 武, 山口 宗彦, 飯田 義信
    1970 年 73 巻 1 号 p. 103-107
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/03/19
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    Wegener's granulomatosis 4例を報告した,この4例は,それぞれ経過が非常に異つている.第1例は発症から死亡まで40日間で非常に短かく,所謂肺型といわれる,肺の肉芽腫が主徴で,これに続発した重症の肺炎によつて死亡したものである.第2例は経過約15年で,第1例に比し極度に経過が長く,その間何回かシューブを繰返している.所謂鼻型で,肺の変化は著しくなく,死因は脳底骨壊死の為,左前頭葉髄膜炎により死亡した症例である.第3例は,現在生存していて,経過は約6年で,その間やはりシューブを繰返しながら,非常に緩徐な進行をみせているが,最近10ヶ月はステロイドホルモン維持量で増悪していない.やはり鼻型である.第4例は治癒したと思われる症例で,約3年間シューブを繰返していたが,ステロイドホルモン療法により軽快し,最近1年間投与中止によつて,症状の悪化を全くみない症例である.やはり鼻型である.
    鼻型のものは,ステロイドホルモン療法によつて経過を長くし,シューブの間隔も長くすることが充分可能であることと,更には治癒までもつて行ける症例がかなりあるのではないかと思う.
    症例3,4は,2週に1回の外来観察で,コントロールを受けながら仕事に従事し,又は通学している症例である.特に症例4は,一般検査成績も免疫学的検査成績も改善した興味ある1例である.この様に,所謂鼻型を呈する症例は,かなり良い治療効果が得られる事が期待出来そうで,今後共症例を増やし,検討して行く心算である.
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