日本耳鼻咽喉科学会会報
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109 巻, 10 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 耳のオフィスサージャリー -適応と限界-
    星野 知之
    2006 年 109 巻 10 号 p. 729-735
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    耳のオフィスサージャリーと考えられるものは,一般外来診療の合間に行われるもので,切開術,肉芽の除去,穿刺,穿刺•縫合固定,組織生検,鼓膜換気チューブ留置術などが挙げられる.将来行われるようになると予想されるものには,内視鏡を使っての中耳腔内の処置や手術などがあるが,現在ではなお一般的ではない.
    これらの手術を安全に行うためには,解剖を熟知しておくこと,鑑別疾患をふくめて病態を術前に診断しておくことが重要である.また切除した組織や生検の材料をどの検査にまわすか,これも手術の重要な部分である.病理検査なら何を疑うかを記入することで,特殊染色の種類が決まってくるし,同時に細菌検査や真菌の検査が必要かどうかも決める必要がある.
    オフィスサージャリーは大部分を局所麻酔で行うが,肉芽の鉗除や切除では表面麻酔で十分である.切開ではイオントフォレーゼによる麻酔,穿刺•固定では局所注射による浸潤麻酔が必要となる.耳の領域では大きな出血を起こす疾患はきわめて少なく術後はアドレナリンや過酸化水素水の塗布,圧迫で大部分が止血できるが,出血を短時間でコントロールでき,大きな出血にも対処できるバイポーラ凝固装置があればなお望ましい.
    耳介の手術は肉眼で行うことになるが,外耳道や鼓膜,術後創の手術や処置は顕微鏡下に行うと良く見えて安全である.術前に十分に説明し言葉をかけながら操作をすすめると,受ける側の協力が得られ,体の動きが減りより安全に行える.
  • 串田 京子, 梅本 匡則, 根来 篤, 任 智美, 阪上 雅史
    2006 年 109 巻 10 号 p. 736-741
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    近年,味覚外来における心因性味覚障害の患者が増加している.今回我々は,自己評価式抑うつ性尺度(self-rating depression scale:SDS)の有用性について検討した.2001年1月から2004年10月までの3年9ヵ月の間に兵庫医科大学耳鼻咽喉科味覚外来を受診し,SDSテストを施行することのできた258例(男性85例,女性173例,平均年齢61.1歳)を対象とした.初診時に問診,SDSテスト,電気味覚検査,濾紙ディスク法,安静時唾液検査を施行した.SDSテストにおける精神状態の分類と味覚障害治療の転帰には関連があり,SDS正常群では回復•回復傾向が79.8%,SDSスコア神経症群では,71.7%が回復•回復傾向にあるが,SDSスコアにて抑うつ状態を示す群では,回復•回復傾向を示したのは,50%に過ぎず,抑うつ状態の患者では治療効果が低かった.SDSテストは精神状態を数値化し,短時間で簡便に施行することができるため,患者状態の把握や治療判定に有用であると思われた.
  • 與田 茂利, 榎本 雅夫, 嶽 良博, 池田 浩己, 芝埜 彰, 硲田 猛真, 中原 啓, 山西 美映, 原田 保
    2006 年 109 巻 10 号 p. 742-748
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    近年,日本を含む先進国において,各種のアレルギー疾患は増加している.和歌山県におけるアレルギー疾患の現状を知るため,和歌山県日高郡の中学1年生759人を対象に各種アレルギー疾患の有病率と各種アレルゲンの感作率を検討した.方法は,各種アレルギーに関する問診とMAST26(日立化成株式会社)による特異的IgE抗体,RIST(ファルマシア社)による血清総IgE値の測定を行った.各種アレルギー疾患の罹患率(既往+現症)は,アレルギー性鼻炎(含む花粉症)が37.9%,アトピー性皮膚炎が31.0%,アレルギー性結膜炎が26.2%,気管支喘息が11.3%であった.MAST26による特異的IgE抗体陽性率は,スギ花粉が48.6%と最も高く,コナヒョウヒダニ44.2%,オオアワガエリ29.6%,ハウスダストII28.9%であった.アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,アレルギー性結膜炎,気管支喘息のあるものに,コナヒョウヒダニ,ハウスダストII,スギ,ペニシリウム,クラドスポリウム,アスペルギルスの抗体に陽性を示すものが有意に多かった.また,家族歴(2親等内)にアレルギー疾患のあるものに,コナヒョウヒダニ,ハウスダストII,ブタクサ,スギ,クラドスポリウムの抗体に陽性を示すものが有意に多かった.血清総IgE値は陽性アレルゲン項目数とよく相関していた.
    先進諸国における各種のアレルギー疾患の増加要因はまだ未解決であるが,最近,衛生仮説が注目されている.今回の疫学調査の知見はこれらの増加要因を考える上でも重要な基礎的資料となるであろう.
  • 呼吸困難
    福田 諭
    2006 年 109 巻 10 号 p. 754-758
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 細井 裕司
    2006 年 109 巻 10 号 p. 759-760
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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