日本耳鼻咽喉科学会会報
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113 巻 , 2 号
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総説
  • 大谷 恭平, 内富 庸介
    2010 年 113 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/19
    ジャーナル フリー
    2006年にがん対策基本法が制定され, 重要な取り組むべき課題の一つに, 精神面のケアを含む緩和ケアの実施が「がん対策推進基本計画」に盛り込まれた. しかし, すべてのがん患者に精神腫瘍医が直接関与することはできない. 今後も, 患者の心理面に配慮したがん告知や再発の告知, 緩和医療への移行時などバッドニュースを伝えるときの心のケアや, 術前や化学療法前の不安なときのサポート, 睡眠薬や抗不安薬の処方は主治医と看護師を中心に精神腫瘍科が介入することなく行われるであろう. したがって, 患者やその家族の精神的苦痛やQOLの改善を目標として, 精神症状を認識し, 診断する能力ががんに携わるすべての医師に求められている. また, 手術をはじめ, 抗がん剤治療, 放射線治療, 緩和医療をスムーズに行っていく上で, 精神症状の早期発見, 早期介入は非常に重要である. 症状が進行するにつれ, 適応障害やうつ病, せん妄といったがん診療においてよく目にする精神障害を合併することが多くなり, 精神腫瘍医と連携をとる必要も増えてくる. 本稿では適応障害, うつ病, せん妄といったがん診療において一般的によく目にする精神障害に加え, アルコールやタバコといった頭頸部がん患者と関連が深い物質依存や離脱におけるその特徴についても述べていくことにする.
原著
  • 児玉 悟, 平野 隆, 鈴木 正志
    2010 年 113 巻 2 号 p. 53-61
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/19
    ジャーナル フリー
    近年, 画像診断の進歩や手術支援機器の発達により内視鏡下副鼻腔手術の適応が拡大しており, 従来, 外側鼻切開術によって行われていた上顎洞内側壁切除medial maxillectomyを内視鏡下に行うEndoscopic medial maxillectomy (EMM) も行われるようになってきた. 今回, 最近3年間の当科におけるEMM症例について検討した. EMMの適応は上顎洞内に付着部を有し, 上顎洞を主座とする腫瘍性病変とした. 疾患内訳は内反性乳頭腫9例 (Krouse T2; 1例, T3; 8例), 孤立性線維性腫瘍1例, 血管腫1例, 血瘤腫1例, 嗅神経芽細胞腫1例であった. 術後観察期間は12-34カ月であった. 全症例とも全身麻酔下にEMMを行い, 鼻内よりすべて腫瘍を摘出した. 術後合併症はなく, 再発もなく, 短期的な治療成績は良好であった. 複数の異なった状況の手術例を通して, 実際の手術においてもEMMによって上顎洞のすべての部位の骨を含めた処理が可能であることが明らかとなった. EMMは鼻外手術に比べ, 顔面皮膚や歯齦部の切開が不要であり, 顔面フレームの変形もなく, 低侵襲であり, QOLの面からも利点は多い. 十分な術前の準備と熟練した術者による手術により, 悪性腫瘍を除いたほとんどの上顎洞病変に対してはEMMを含めた内視鏡下アプローチにて対応可能と思われる.
  • 西嶌 大宣, 北原 伸郎, 村田 麻理, 江上 直也
    2010 年 113 巻 2 号 p. 62-66
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/19
    ジャーナル フリー
    甲状腺乳頭癌は一般に進行が遅く, その10年生存率は90%を超え, 多くは予後良好であるが, 少数ながら予後不良のものがある. 甲状腺癌の遠隔転移で多いものは甲状腺濾胞癌の肺転移・骨転移である. 甲状腺乳頭癌の遠隔転移の頻度は濾胞癌より少なく, 副鼻腔への転移はまれである. 今回われわれは甲状腺乳頭癌の術後, 顎下リンパ節転移を来し, その後, 鼻出血にて蝶形骨洞転移が判明したまれな1例を経験したので報告する. この症例では初回手術時の甲状腺の組織検査では高分化型甲状腺乳頭癌の診断であったが, 転移性腫瘍では組織型が低分化型へと移行していたことも特徴的であった.
  • 臼渕 肇, 児玉 梢, 滝沢 克己, 金澤 丈治, 太田 康, 柿崎 景子, 飯野 ゆき子
    2010 年 113 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/19
    ジャーナル フリー
    進行性感音難聴を呈した難治性中耳炎で, 経過中に顔面神経麻痺を来しMPO-ANCA陽性であった2症例を経験した. 1例は73歳男性で, 両側の滲出性中耳炎の診断で3カ月経過した後に, 左顔面神経麻痺と両骨導閾値の上昇を認めた. 血液検査にてMPO-ANCA 134EUと上昇を認めた. もう1例は66歳女性で, 両側の滲出性中耳炎と変動性混合性難聴の診断で約1年間治療を受けていた. その間に左顔面神経麻痺, 右顔面神経麻痺を連続して発症した. 血液検査にてMPO-ANCA 67EUと上昇を認めた. 2例ともプレドニゾロンとシクロフォスファミドを約半年併用投与し, MPO-ANCAは陰性化した. 顔面神経麻痺はほぼ治癒したが, 聾であった例を除き, 骨導聴力にも改善が認められた. 難治性中耳炎に骨導閾値上昇が見られ, 特に顔面神経麻痺を合併する場合はANCA関連血管炎症候群を念頭に置く必要がある.
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