日本耳鼻咽喉科学会会報
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77 巻, 1 号
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  • 宮下 久夫, 北村 武, 石川 哮, 神田 敬, 藤田 洋君, 島田 哲男
    1974 年 77 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    目的:小児期に,反復性耳下腺腫脹を来す,いわゆるsialoanglectasis20症例について,umps罹患との関係,免疫グロブリンの異常の有無,予防的治療として,細菌ワクチン療法の臨床的効果を観察した.
    方法:患者血清について,mumps virus の補体結合反応,赤血球凝集抑制反応を行った.
    ワクチン療法を行った症例を含む各症例について.StreptocGccns viridans(S.viridans)の凝集抗体価と共に,Manc鋤の方法に従つて,血清免疫グロブリン(IgGjgA.IgM)の定堂を行った.ワクチン寮法の効果は,腫脹の頻度とslalogramを参考にして,観察した.
    結果:この疾患と,umPSとは無関係であつた.血清中の免疫グロブリンは,ワクチン療法にかかわりなく,IgAが高値を示す傾向にあつた.低ガンマングロブリン血症は認められなかつた.S.vildans凝集抗体価は.ワクチン療法の前後で変化はなかつた.
    ワクチン療法は,17症例中13例(76%)に腫腰頻度が少くなり,有効と考えられた.
  • 106症例の検索結果から
    栄木 恭男
    1974 年 77 巻 1 号 p. 8-45
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    目的
    いわゆる「先天性特発性眼振」の病態生理については未だ剖検例に乏しく,諸家の報告でも前庭第一次反射弓より中枢の何らかの障害,とくに脳幹の障害であろうと推察されているに過ぎない.
    しかしながら,この先天性異常眼球運動の病態生理を分析することは,全ゆる眼球運動の発現メカニズムの解明につながるものとも言われ,また眼振のために視力障害を来たしている患者に治療法の確立によつて光明を与えることにもなる.
    われわれは過去2年間にわたり,この病態生理について研究をつづけて来たが,此度,その病巣局在診断の一端を明かにし得る若干の知見を得たのでここに報告した.
    症例ならびに検査方法
    精細な神経学的検索によつて診断を下したいわゆる「先天性特発性眼振」106症例について,その性状ならびに検査成績から病態生理について検討,考察を行った.106症例の内訳けは,衝動型34例,振子•衝動型27例,振子様型21例,潜伏性20例,交代性3例,輻輳性1例であった.
    結論
    1)先天性特発性眼振は病態生理学の上から,振子様型グループと衝動型グループとに2大別され得る.
    2)潜伏性眼振と交代性眼振は衝動型眼振と類似した性状を多く有し,衝動型グループの特殊型に位置するものである.
    3)先天性特発性眠振は「眼筋にみられる不随意運動」であるとの立場からの分析が必要である.
    4)従つて,先天性特発性眼振は従来の脳幹障害説に加うるに,広く小脳錐体外路系を中心に,中脳,間脳錐体外路系の障害によつて発現してくるものであると考察した.
  • 発話時の機能を中心に
    広瀬 肇
    1974 年 77 巻 1 号 p. 46-57
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    研究目的:
    発話時の喉頭調節機構の研究の一環として,特に声門閉鎖筋群の間の機能的な分化の存在について検討することを欝的とした.
    研究方法:
    3種の声門閉鎖筋からdouble-ended hooked-wire electrodesを用いて髭話時の筋電図(EMG)を誘導,記録した.そのデータについて電子計算機処理を行い,各種の音声信号に対応するそれぞれの筋の活動の平均的パターンを求めた.実験対象とした言語は,アメリカ英語,日本語,朝鮮語,デンマーク語およびイソドの一方言(Sindhi語)である.なお一部のデータについては別に行ったファイバースコープによる喉頭の観察結果と対比させて検討した.
    結果:
    1.3種の声門閉鎖筋,すなわち披裂筋(横筋),甲状披裂筋(内筋)および側輪状披裂筋(側筋)の間には,発話時の喉頭調節に関して機能分化の存在することが示唆された.
    2.横筋は,各種の言語において有声•無声の対立に応じて活動の上昇•下降を示し,この点で後筋と相反的なパターンをとる傾向が強かつた.さらにファイバースコープによる観察などから,横筋は声門の閉鎖•開大に対応してon-offのパターンを示していると考えられた.
    3.内筋と側筋の発話時の活動様式は互いに類似しており,しかも横筋とはかなり異つていた.その活動は母音部分に対応して上昇するが,子音部分では有声•無声の対立にかかわらず低下する傾向があつた.
    4.内筋の活動は,特殊な発話条件,例えば朝鮮語の濃音,デンマーク語のstpdなどの発話に際して特異的な上昇を示した.側筋はこれらの発話でやはり活動上昇傾向を示すが,側筋はむしろ硬起声を伴う声門閉鎖音の調音に際して特異的な活動上昇を示した.
    5内喉頭筋の発話時の活動様式には,各種の言諏こついて普辺的なものと,特異的なものがあることが推論された.
  • 佐藤 意生
    1974 年 77 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    研究目的:この研究は犬の上喉頭神経内枝を切断し,その直後に神経鞘縫合を施したに,この神経の再生するまでの期間および再生の状態を知るために行われた.
    実験方法:喉頭の反射経路を利用した2つの方法が用いられた,1つは主としてこの神経が再生するまでの期間を知るために喉頭や喉頭蓋粘膜の刺激によつて生ずる声帯や軟口蓋の反射的な動きを直接観察する方法であり,も51つは主としてその再生の状態を知るためにこの神経の刺激によつて生じる内喉頭筋からの誘発波を観察する方法である.さらに上喉頭神経内枝を切断し,その末梢側に頻回刺激を与えた場合の気管粘膜からの分泌量が測定され,正常神経および再生神経が刺激された場合がそれぞれ比較された.なお,この研究ごには5匹の犬の両側における10神経が捌いられた.
    実験結果:
    1)粘膜えの可能なかぎりの神経再支配が完了するまでの期間は平均79日であつた.
    2)再生神経刺激によつて生じる内喉頭筋からの誘発波は神経切断穂のそれと比較して,閥値,潜時,波形にかなりの差異を認めた.
    3)再生神経に頻回刺激を与えても気管粘膜からの分泌の増加は全くみられなかつた.
  • 林 永直
    1974 年 77 巻 1 号 p. 64-71
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1研究目的:扁桃実質内部にリンパ管存在するか否か,もし存在するとすれば問題はないが,もし存在しないとすれば扁桃実質内の物質(細菌,炎症物質も含む)が実質からいかなる道を通つて扁桃周囲のリンパ管に到達するか.この二つの問題を形態学的に調べた,
    2.研究方法:先づ第一に篇桃内の9ンパく管の存否を調べるために犬および入の口蓋編桃に色素穿刺注入法,墨汁を加えた硝酸銀水溶液局所勳脈内注入法,電子顕微鏡による検索法を行った,第二に扁桃実質とリンパ管との関係を具体的に調べるために復構法,細網線維染色法を用いて研究して次の結果を得た.
    3.研究結果:
    1)編桃実質内部には胚中心は勿論その周囲の実質にもリンパ管は存在しない,
    2)リンパ管は被膜および中隔のみに存在し,その網工は扁桃実質周囲を豊富に取りかこんでいる.
    3)実質内部には脈管としては細動脈,細静脈,毛細血管が存在する.細静脈の中にはリンパ節の細静脈のようにその壁が特種の構造からなり,リンパ球を出入させるものがあつた.
    4)実質周囲のリンパ管,殊に実質に接するものの管腔内にはリンパ球が豊富に存在するのが見られた.
    5)これらのリンパ管を電顕で調べるとリンパ球さえ容易に通過させる購造が見られた.
    6)被膜および中隔で太いリンパ管は弁を備えていて,その多くは血管に伴行する.
    7)実質の内部には細網線維の網は良く発達しているが網目は胚中心では粗大で,胚中心周囲では密で,さらにその外側の実質では両者の中間位である.
    8)リンパ管のない実質から実質周質周囲中のリンパ管にリンパ球が到達するのは形態学的には細網線維間の網の目を通る.脈管外組織内の物質通過に細網線維の網が重要な働ぎをすることは木原教授の脈管外通液路の実験により明かである.
    9)扁桃実質内のリンパ球でさえ容易に実質周囲をかこむリンパ管に入るのであるから編桃実質内のコロイドや液体(注入された色素液も)はさらに容易に周囲リンパ管に入り得る.
    10)扁桃実質内にはリンパ管は存在しなくても以上の事実により扁桃はジンパ管と密接な関係にある器宵である.
  • 鼻鏡所見と嗅覚検査から
    島田 哲男, 飯泉 修
    1974 年 77 巻 1 号 p. 72-79
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    静岡県富士市元吉原地区は,昭和44年度,SO2濃度が年平均0.075ppmが記録され,大気汚染が極めて高度である事が考え.られた.又同市は,クラフトパルプ製造工程中に:放出される臭気(ジメチルサルファイド,硫化水素,メチルメルカプタン等)により地域住罠の悪莫公害を受ける影響も憂慮された.
    我々は,昭和45年,昭和46年の2年間にわたり,富士市内で最も大気汚染の影響をうけていると考えられる地区の小学校児童を選び,周辺の比較的大気汚染の影響が少いと考えられる富士宮市内の小学校児童を対象として,鼻症状に関するアンケート用紙,及び鼻鏡検査から,学童の鼻副鼻腔疾患の頻度を調べ,汚染校と対象校に差があるか,どうかを検討した.さらに,絶えず悪臭にさらされている学童の嗅覚閾値は,対象地正の学童にくらべ,差があるのか否かも合せ検討した.なお,嗅覚閾値検査は,嗅覚斑会議で定めた10種基準臭の内,3種を用い,汚染,対象,両校とも全く臨床的に正常と考えられる児童を選び行った.
    結累:
    (1)慢性副鼻腔炎を有する児童は,対象校に比し,汚染校に高率であつたが,推計学的には有意差はなかつた.
    (2)慢性鼻炎を有する児童は,汚染校にやや高率であるが,推計学的には有意差はなかつた,
    (3)アレルギー性鼻炎を有する児童は,汚染校に高率であるが推計学的には有意差はなかつた.しかし,汚染の程度が最も高度である一校についてのみ検討すると,極めて高率であり,対象校にくらべ,推計学的にも有意差をみとめた.
    (4)3種基準嗅検査の内,2種の検査についてまで,汚染校児童は対象校児童にくらべ,嗅覚閾値低下の傾向を認め,嗅覚過敏状態にある事を認めた.
  • 馬場 駿吉, 内田 敏夫, 妹尾 淑郎, 河田 博, 加藤 哲二, 岩見 公晴, 高須 照男
    1974 年 77 巻 1 号 p. 80-85
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1.研究目的:鼻アレルギー患者の頁の感作抗原検索,あるいは流血中のreaginの証明の一手段として,Shdleyの発表した好塩塞球脱穎粒テスト(間接法)が応用し得るかどうかを検討した.
    2.研究方法:水様鼻漏,くしやみ発作,鼻閉などの鼻症状を呈し来院した患者のうち,室内塵皮内反応陽性者20例,陰性者8例,計28例を選び,その血清につきShelleyの記載に従つて好塩基球脱穎粒テスト(間接法)を実施した.
    3.結果:
    1)室内塵皮内反応成績と本テストの成績との総括的な合致率は67.9%であつたが,室内塵皮内反応鼻粘膜誘発反応,鼻汁内好酸球三者共に陽性の典型的な室内塵アレルギーと考えられる症例のみについてみると,70.6%の合致率が得られた.
    2)室内塵皮反応陽性でPrausnitz-Kiistner反応を施行し得た13例についての検討では,その成績との合致率は76.9%であった.
    4.結論:以上の成績から,本テストが,アトピー型鼻アレルギー患者の真の感作抗原の検索や流血中のreaginの証明に当つての一補助手段として応用され得る検査法であると考えた.
  • 平野 実
    1974 年 77 巻 1 号 p. 108-111
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
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