日本耳鼻咽喉科学会会報
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108 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 伊藤 和行, 柴 宏巳, 藤原 和典, 國本 泰臣, 谷本 俊次, 樋上 弓子, 北野 博也
    2005 年 108 巻 3 号 p. 195-201
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    放射線同時併用超選択的少量CBDCA, ピラルビシン動注化学療法を施行したT2以上の頭頸部癌患者66症例についてその治療効果を検討した.
    根治照射群33例における治療効果判定は, CR率54.5%, PR率21.2%であった. 手術治療併用群33例の切除標本における病理組織学的効果判定は, 大星・下里の分類でのGrade III, IVが39.4%, Grade IIが57.6%であった. 部位別では, 根治照射群, 手術治療併用群いずれにおいても口腔, 中咽頭, 下咽頭では治療効果が高かったが, 副鼻腔では治療効果が低かった.
    手術治療併用群において, 病理組織学的効果判定でのGrade III, IV群の5年累積粗生存率は84.4%であったのに対し, Grade I, II群は29.4%であり, 生存率に有意差 (P<0.01) を認めた. 病理組織学的に良好な結果が得られなかった症例では術後の追加治療が必要である.
  • 藤田 信哉, 山中 敏彰, 岡本 英之, 細井 裕司
    2005 年 108 巻 3 号 p. 202-206
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    我々は外側半規管型良性発作性頭位めまい症 (以下HC-BPPV) を対象として, その病態や患側の問題さらに半規管機能について文献的考察を加え報告した. 2000年1月から2002年6月までの2年6カ月間に奈良医大および関連病院耳鼻咽喉科めまい外来を受診したBPPVのうちHC-BPPV13例を対象とした. 13例のHC-BPPVは, 神経耳科学的検査から半規管結石症7例と, クブラ結石症6例に分類された. CP陽性率は, 全体では54%で, 半規管結石症で71%, クブラ結石症では33%となった. HC-BPPVでは患側が問題になるが, 半規管結石症ではEwaldの法則を用いて, またクブラ結石症では眼振が消失するneutral positionのある側を見つけて. 患側を求めた. カロリックテストのCP陽性率は, 有意差はなかったが半規管結石症はクブラ結石症と比べて外側半規管機能の低下を認めた. 温度刺激による眼振の機序が内リンパ液の対流が主な機構とすると, 半規管結石症は半規管内の耳石のために対流現象が妨げられたと考えられ, 一方で内リンパ液の対流に影響しないと考えられるクプラ結石症においてもCP例が認められた. HC-BPPVの半規管結石症とクプラ結石症におけるカロリックテスト成績の違いの病態解明には, さらに症例を重ねて検討する必要がある.
  • 大上 研二, 酒井 昭博, 大貫 純一, 濱野 巨秀, 飯田 政弘, 高橋 正紘
    2005 年 108 巻 3 号 p. 207-213
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    遺伝子プロモーター領域の異常メチル化は, 遺伝子の不活性化の機序の一つとして注目を集めている. 頭頸部癌における癌抑制遺伝子の不活性化にもこのメチル化が重要な役割を果たすことが報告されている. 我々は42例の頭頸部扁平上皮癌について, p16, Retinoic acid receptor-β (RAR-β), RAS association domain family 1A (RASSF1A), Fragile histidine triad (Fhit) の4種類の癌関連遺伝子のプロモーター異常メチル化を, Methylation Specific PCR (MSP) で調べた. p16遺伝子は43%, RAR-β遺伝子で40%に, RASSF1A遺伝子は12%に異常メチル化を認めた. Fhit遺伝子では全例メチル化陰性であった. 以上4つの遺伝子のうちいずれか一つ以上に異常メチル化を認めたものは42例中26例, 62%であった. メチル化の状態と臨床病理学的因子, 予後には明らかな関連はなかった.
    頭頸部癌の発癌にも遺伝子の異常メチル化が重要な役割を果たしていた. 臨床的意義と今後の臨床応用について考察した.
  • 今村 俊一, 本田 英幸, 宮田 政則, 水越 昭仁, 増山 敬祐
    2005 年 108 巻 3 号 p. 214-221
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    急性低音障害型感音難聴 (以下ALHL) においては, 突発性難聴と比較して両側例が多いという印象が以前よりもたれていた. 今回この事実を確認し, 病態との関連を検討するため, 山梨大学附属病院耳鼻咽喉科, および関連病院の諏訪中央病院耳鼻咽喉科にて厚生労働省の急性高度難聴に関する調査研究班の診断基準に従い, ALHLと診断され治療を受けた274症例を対象に本症の両側性について検討した. これらの症例のうち臨床症状, 聴力レベルのいずれもが両側であった症例が32例, 少なくともいずれかが, 両側であった症例が76例存在した. ALHL症例の集計報告を渉猟すると文献上でも数%以上の両側例の存在が示唆された. また今回の集計で, 片側例の健側においても低音部の聴力レベルが高音部のそれに比較して低下する傾向が見られ, 本症における両側性の存在が確認された. しかし一方, 両側例の左右の耳は, その聴力像, グリセオールテスト結果, 予後判定においては必ずしも左右で一致しなかった. 本症の病態はいまだ確立したものではないが. 両側例における左右の病態, およびその程度は必ずしも一致しないことが推測された. 両側例と片側例で, その臨床症状, 検査結果に明らかな差は見られなかったが, その予後において両側例は治癒率が低い傾向が見られた. 本症の診断, 予後判定においては, 聴力レベルのみが両側である症例も含め両側例を考慮した取り扱いが必要であると考える.
  • 五島 史行, 國弘 幸伸, 荒木 康智, 斉藤 晶, 小川 郁
    2005 年 108 巻 3 号 p. 222-225
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ドロップアタックは脳血管性, 心原性, てんかん, 心因性などによって生じる一過性脱力発作である. 前庭性のものはメニエール病の経過中に起きる. 一般に意識消失を伴わない. メニエール病発症から2年以内にドロップアタックを発症した症例を報告する. 症例1は65歳男性, 症例2は55歳女性それぞれ計4回, 20回のドロップアタックを認めた. 症例1では自然寛解した. 症例2では塩酸パロキセチン (SSRI) の内服で発作回数は減少した. 内リンパ水腫の結果膜迷路が破裂し耳石器へ一時的な刺激が加わり過剰な前庭脊髄反射を誘発し発作を引き起こすと考えられた. 診断にあたっては一過性脳虚血発作との鑑別が必要である.
  • 栗田 知幸, 坂本 菊男, 中島 格, 松田 洋一, 粕谷 尚男
    2005 年 108 巻 3 号 p. 226-229
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Toxic Shock-like Syndrome (劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症) は急速な経過をたどる死亡率の高い重症軟部組織感染症である. 多くは四肢から発症し頭頸部発症例の報告はまれである. 今回我々は顔面から頸部にかけて発症した劇症型A群溶連菌感染症の1例を経験した. 症例は65歳男性, 主訴は両眼瞼の腫脹と呼吸苦であった. 来院時, 両側眼瞼に浮腫と発赤腫脹を認め開眼は不可能な状態であり, 両側頬部から側頸部にかけても浮腫と発赤腫脹を認め開口不能な状態であった. 初日に呼吸困難, 血圧低下, ショックが出現し気管切開施行後, ICUに搬入となった. 3日後に切開創部からA群溶連菌が検出され診断確定となった. その後, 頸部の皮膚・軟部組織・筋の発赤, 水疱形成, 壊死症状は全身に広がり, MRSAに起因すると考えられるショックを再び呈し, 多臓器不全となって入院後18日で死亡した. 劇症型A群溶連菌感染症は急速な経過を辿るため, 疑わしい症例は検査成績や臨床所見が揃うのを待たず, 臨床的に本症と診断し迅速に治療を開始することが肝要であると考えられた.
  • 鼻科小手術 (鼻骨骨折整復, 鼻茸切除術)
    黄川田 徹
    2005 年 108 巻 3 号 p. 230-233
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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