日本耳鼻咽喉科学会会報
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106 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 中丸 裕爾, 高木 大, 前田 昌紀, 古田 康, 福田 諭, 間口 四郎
    2003 年 106 巻 3 号 p. 185-191
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    目的:反復性多発性軟骨炎(relapsing polychondritis: RP)は全身の軟骨組織に系統的に炎症が生じる比較的まれな疾患である.当科で経験したRP症例の臨床症状,初診時検査所見,治療経過,予後を検討した.
    対象:1991年から2001年に当科を受診したRP症例12症例.
    結果:12症例の平均観察期間は5.6年であった.1症例はNSAIDsのみで消炎が得られたが,多くの症例で再燃しステロイド.免疫抑制剤の投与が必要であった.観察期間が比較的長期にわたっているものの死亡した症例は認めず,6症例においてはステロイドの離脱が可能であった.ステロイドの副作用としては白内障2例,糖尿病2例,欝状態1例,骨粗鬆症1例を認めた.抗らい薬は投与した2例ともに骨髄抑制による汎血球減少を認めた.免疫抑制剤としてはシクロフォスファミド,アザチオプリンを投与したが重篤な副作用は認められなかった.
    結論:RPに対する治療として,軽症例ではNSAIDsを投与し,効果不十分である症例にはステロイドを投与する.重症例,再発を繰り返す症例,気道症状,心血管症状がある症例では,ステロイドパルス療法,免疫抑制剤の併用療法を検討し十分消炎することが必要と考えられた.
  • 桃生 勝己, 提嶋 眞人, 伊藤 永子, 西平 茂樹, 石川 和夫
    2003 年 106 巻 3 号 p. 192-198
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    Goodeらの分類方法に基づいて唾液腺原発の粘表皮癌症例16例を病理学的に悪性度分類し,疫学的検討および臨床病態との比較検討を行った.
    1. low gradeは若年者および女性に,high gadeは高齢者および男性に多い傾向がみられた.
    2. high gradeは臨床的にも高悪性な経過をたどるものが多いのに対し,low gradeの全例はすべて良性腫瘍のような穏やかな臨床経過を示している.
    3. low gradeからhigh gradeに至るまで全体的に神経浸潤は低頻度だった.
    4. Goodeらの分類方法に基づく粘表皮癌の病理学的悪性度は.頸部リンバ節転移,遠隔転移,5年生存率という臨床的悪性度と統計学的有意差をもって相関することが示唆され,この分類方法は粘表皮癌の有用な病理学的悪性度の評緬手段の一つになると考えられた.
  • 岡野 高之, 岩永 迪孝, 輿那 嶺裕, 箕山 学, 柿木 裕史, 田原 史子, 田辺 正博
    2003 年 106 巻 3 号 p. 199-205
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1. 外耳奇形を伴わない中耳奇形症例24例29耳について術前検査 奇形の病態•術式と術後聴力成績について報告した.
    2. 耳小骨奇形に関してはこれまで論じられてきた離断と固着の2点に加え,変形という概念を含めて発生学的見地より考察したのち,分類を再構築すべきである.
    3. 耳小骨奇形は多種多様であるため,その再建方法•再建材料も多方面にわたる.適切な再建を行うために奇形の型•部位•程度といった病態を正確に把握することが必要である.
  • 大石 剛資, 小川 洋, 大谷 巌
    2003 年 106 巻 3 号 p. 206-210
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1. 8耳の側頭骨連続切片標本を用いて,コンピュータ画像処理の手法により,乳突蜂巣含気腔の表面積および容積を計測した.
    2. 乳突蜂巣含気腔の表面積は平均89.1±34.0cm2であり,容積は4.12±0.97mlであった.
    3. 組織学的検討から表面積と容積の間には相関は認められなかった.すなわち,広い表面積を得るためには,必ずしも大きな容積を必要としないことが示唆された.
    4. 側頭骨標本は固定により収縮するため,側頭骨標本の計測値は真の値より小さくなっている可能性があると考えられた.
  • 語音聴取能(67-S語表,Japanese HINT)に関する検討
    松代 直樹, 佐藤 崇, 井脇 貴子, 土井 勝美, 久保 武
    2003 年 106 巻 3 号 p. 211-219
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    人工内耳と補聴器の両耳装用者6名を対象に,両耳聴効果が認められるかどうか検討した.検査は67S語表の単音節リストを用いた語音別検査とJapaneseHINTを用いた単文の語音聴取閾値検査を実施し,人工内耳単独装用 補聴器単独装用と人工内耳と補聴器の両耳装用のそれぞれに対して比較検討した.人工内耳と補聴器の両耳装用においては、単音節では3名に有意に良好な結果が得られた.方,Japanese HINTでは全症例とも総じて有意に良い結果であった.人工内耳と補聴器から各々異なった音が人力された場合でも認知レベルでは拮抗せず,両耳聴効果が認められる結果であった.人工内耳と補聴器の両耳装用においても脳の可塑性が重要と考えられた.
  • 西山 耕一郎, 廣瀬 肇, 井口 芳明, 山本 一博, 正来 隆, 上條 貴裕, 猪 健志, 山中 盾, 八尾 和雄, 岡本 牧人
    2003 年 106 巻 3 号 p. 220-225
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    女性のポリープ様声帯患者において,YAGレーザー照射を行い,声帯粘膜を縫合した.その結果,創部の早期治癒と,術後音声のピッチの上昇と声域の拡大が得られた.したがってポリープ様声帯患者特有の低音の声を改善することが出来た.
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