目的:反復性多発性軟骨炎(relapsing polychondritis: RP)は全身の軟骨組織に系統的に炎症が生じる比較的まれな疾患である.当科で経験したRP症例の臨床症状,初診時検査所見,治療経過,予後を検討した.
対象:1991年から2001年に当科を受診したRP症例12症例.
結果:12症例の平均観察期間は5.6年であった.1症例はNSAIDsのみで消炎が得られたが,多くの症例で再燃しステロイド.免疫抑制剤の投与が必要であった.観察期間が比較的長期にわたっているものの死亡した症例は認めず,6症例においてはステロイドの離脱が可能であった.ステロイドの副作用としては白内障2例,糖尿病2例,欝状態1例,骨粗鬆症1例を認めた.抗らい薬は投与した2例ともに骨髄抑制による汎血球減少を認めた.免疫抑制剤としてはシクロフォスファミド,アザチオプリンを投与したが重篤な副作用は認められなかった.
結論:RPに対する治療として,軽症例ではNSAIDsを投与し,効果不十分である症例にはステロイドを投与する.重症例,再発を繰り返す症例,気道症状,心血管症状がある症例では,ステロイドパルス療法,免疫抑制剤の併用療法を検討し十分消炎することが必要と考えられた.
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