日本耳鼻咽喉科学会会報
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109 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 倉富 勇一郎, 片山 政彦, 木寺 一希, 林田 精一郎, 佐藤 慎太郎, 門司 幹男, 島津 倫太郎, 綾田 寅之進, 藤 賢史, 井之口 ...
    2006 年 109 巻 6 号 p. 517-523
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    癌細胞に発現したラミニンγ2鎖は癌の浸潤•転移などの悪性度に関与することや,切断され血中に遊離することが分かっている.我々はラミニンγ2鎖発現の検討を腫瘍マーカーのような簡便な臨床検査へと展開させることを目的として,頭頸部癌患者末梢血中のラミニンγ2鎖濃度をヒトラミニンγ2鎖に対するモノクローナル抗体を用いた蛍光抗体法により測定し,臨床因子と比較検討した.その結果,1)末梢血中ラミニンγ2鎖濃度の正常上限は50ng/ml程度と推測された.2)治療前の血中ラミニンγ2鎖濃度は60例のうち40例(67%)で50ng/ml未満であり,20例(33%)で50ng/ml以上に上昇していた.3)血中濃度上昇例の比率と原発部位,経過,T,N,M各因子との関連はみられなかったが,stage進行例で濃度上昇例が多い傾向がみられた.4)治療前後で濃度測定を行った34例のうち,治療前値が50ng/ml未満の24例では治療による濃度変化はほとんどみられなかった.5)5例において50ng/ml以上の治療前値が治療により50ng/ml未満に低下した.6)4例では治療後も50ng/ml以上の高値を示して原病死し,そのうち3例は多発性の遠隔転移を伴い100ng/ml以上の著明な高値を示した.末梢血中ラミニンγ2鎖濃度はラミニンγ2鎖を発現する高悪性度の癌細胞の個体内における総量を反映することが示唆され,頭頸部癌の浸潤•転移能という悪性度や治療の奏効性を判定する新たな腫瘍マーカーとして期待できる.
  • 杉浦 むつみ, 大前 由紀雄, 茂木立 学, 木村 百合香, 牧野 奈緒, 加藤 智史
    2006 年 109 巻 6 号 p. 524-529
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    (目的)近年,耳鼻咽喉科領域ではGERDと咽喉頭異常感との関連が注目されている.高齢者では下部食道括約部の静止圧の低下や,食道クリアランス能の低下などの食道の生理的な機能低下が指摘されている.本研究は高齢者の咽喉頭異常感と食道クリアランス能との関連性を検討するために行われた.(対象)咽喉頭異常感症の高齢者156例(平均年齢74.7歳).(方法)食道クリアランス能の評価として,患者に腹臥位で造影剤を嚥下させ,食道内での造影剤の移動状況を(1)正常群(2)食道内停滞群(3)食道内逆流群(4)咽頭内逆流群の4群に分類した.また喉頭ファイバースコープ下に,披裂部粘膜の発赤,披裂間粘膜浮腫,梨状陥凹の唾液貯留の有無を観察した.(結果)正常群36例,食道内停滞群8例,食道内逆流群79例,咽頭内逆流群33例で,食道内逆流群と咽頭内逆流群を合わせると156例中112例(71.8%)に食道内での逆流現象が観察された.披裂部粘膜の発赤が156例中76例(48.7%)に認められ,この内61例(80.3%)に食道内での逆流現象が観察された.(結語)高齢者の食道クリアランス能の低下は,胃酸暴露に対する防御機構の減弱に繋がり,咽喉頭異常感発症の増悪因子になると結論した.また腹臥位による咽頭食道造影検査は,安全かつ簡便に食道クリアランス能を評価できる優れた検査法であると考えられた.
  • 冨藤 雅之, 塩谷 彰浩, 高岡 卓司, 森 有子, 藤峰 武克, 小川 郁
    2006 年 109 巻 6 号 p. 530-534
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    喉頭癌,下咽頭癌の治療として喉頭全摘手術および咽頭喉頭全摘手術は広く行われているが,術後の合併症として咽頭皮膚瘻や咽頭•頸部食道狭窄が一定の頻度で起こりうる.
    今回,我々は上記術後の咽頭皮膚瘻症例および再建食道の狭窄症例に対してシリコン製咽頭チューブを使用した.喉頭全摘後の咽頭皮膚痩症例に対しては誤嚥のコントロールおよび早期の経口摂取開始に役立った.咽喉食摘,遊離空腸再建後の再建食道狭窄例に対しても早期に経口摂取の再開が可能となり,再手術まで在宅にて療養可能となった.チューブ挿入により咽頭違和感,咽頭痛を認めたが自制内であった.シリコン製咽頭チューブは頸部食道狭窄および咽頭皮膚瘻の治療に役立つものと思われる.
  • 杉浦 彩子, 藤本 保志, 中田 誠一, 中島 務
    2006 年 109 巻 6 号 p. 535-537
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科では様々の疾患に伴う顔面神経麻痺や顔面の術創が患者に与えるストレスは強く,患者の性格が抑圧されうつ傾向に陥りやすいことが知られている.これまでに聴神経腫瘍術後の顔面神経麻痺患者に対してメーキャップ指導を行うことにより,心理的負担を減少させうることが報告されている.今回我々は副鼻腔腫瘍術後の患者に対してメーキャップ指導を行い,その心理状態,QOLの改善を認めたので報告する.
  • 鼻出血
    菊地 茂
    2006 年 109 巻 6 号 p. 548-551
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 湯本 英二
    2006 年 109 巻 6 号 p. 552-553
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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