単クローン抗体およびflow cytornetryを用い,種々の扁桃B細胞亜群におけるEBV感受性について,EBV吸着とEBNA合成を指標に解析した.その結果,
1. 扁桃B細胞の95%にEBV吸着を認め,76±6%がEBNA合成を示した.
2. B細胞にOKB7抗体を反応すると,EBVの吸着は阻害され,さらにOKB7-細胞にはEBNA合成が全く認められなかったことから,C3dレセプターとEBVレセプターの同一性が明らかになった.
3. ほとんどすべての休止期B(L30
+)細胞はEBVが吸着してEBNAを合成するが,一方,活性化B(L29
+,OKT9
+)細胞および分化の進んだB(OKT10+)細胞には,大部分にEBV吸着を認めたが,EBNA合成は減少していた.
4. 細胞周期的にも,G0G1期,S期,およびG2+M期のすべてにEBV吸着を認めた.
5. Pecoll不連続密度勾配法を用いて解析したところ,高比重群の大部分の細胞はEBV感受性を有したが,一方,低比重群にはEBVが吸着してもEBNAを合成しない細胞が多かった.
6. invitroにてB細胞を分化誘導し,解析したところ,EBNA合成はEBV吸着と比較して早期の分化段階で減少するが,終末分化段階では両者共に消失していることが示唆された.
7. EBNA合成はいずれのsIgクラス陽性細胞,特にsIgM
+およびsIgD
+細胞のほとんどすべてに認められたが,sIgG+細胞には低下していた.一方,EBV吸着はIgクラスにかかわりなくすべてのsIg
+細胞に存在していた.
8. 以上の成績から,B細胞分化過程,およびsIgクラス間におけるEBV感受性のheterogeneityが明らかにされた.さらに,EBV感受性低下機序のひとつに,EBVが吸着後,EBNA合成が阻害されることが示唆された.
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