日本耳鼻咽喉科学会会報
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108 巻, 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 花牟礼 豊, 田中 紀充, 川畑 隆之, 笠野 藤彦, 鹿島 直子
    2005 年 108 巻 5 号 p. 513-521
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    若年性鼻咽腔血管線維腫は, 顔面深部に生じ, 翼口蓋窩, 側頭下窩, 中頭蓋底などに進展する場合があり, 治療に苦慮することが多い. 本邦では, 各施設での症例が少ないため, 病期分類別の手術法について詳細に検討した報告はない. われわれは, 最近経験した4例 (Radkowski病期III A, 病期IA, 病期II C, 病期IBの各1例) を検討すると共に, 1990年~2003年に本邦で論文として報告された症例を検証し, 自験例を含めて合計35症例について, 病期分類別の手術法について検討した. 対象症例は, 病期IAが17例 (48.6%), IBが2例 (5.7%), IIAは4例 (11.4%), IIC9例 (25.7%), IIIAは3例 (8.6%) であった. 手術法は, 経口蓋法11例 (31.4%), 経上顎洞法9例 (25.7%) であり, 他に経鼻手術, Midfacial degloving法, Le Fort I型骨切術などがあった. 病期IA, Bにおいては1例で再発が見られた (再発率: 5%). 病期IIA, B, Cにおいては, 5例に再発を認め (再発率: 38%), 特に経口蓋法4例の全例で再発を認めた. 病期IIIA症例は, 1例で再発を認めた (再発率33%). 本疾患の手術治療においては, 腫瘍の進展範囲を正確に評価し, 病期分類に基づき, 腫瘍の進展範囲に十分アプローチ可能で出血のコントロールが可能な手術法, なおかつ, 成長過程の年齢であることを考慮した, より低侵襲の手術方法を選択すべきであると考えられた.
  • 症例の総括と有用性, 問題点
    大野 芳裕, 甲能 直幸, 金谷 毅夫, 中村 和隆, 田部 哲也, 北原 哲, 小須田 茂
    2005 年 108 巻 5 号 p. 522-527
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    口腔咽頭扁平上皮癌T2, T3NOの13症例を対象にセンチネルリンパ節 (SLN) の検索を行い, その有用性や問題点について検討した. 舌癌が10例, 舌以外の口腔癌が2例, 中咽頭癌が1例で, T2が11例, T3が2例であった. 手術前日に腫瘍周囲の粘膜下にTracerを注入し, 2時間後にシンチグラムを施行した. 手術当日ガンマプローブ (GP) を用いてSLNを同定し, 原発巣切除とSLNを含む頸部郭清術を施行した. 摘出したリンパ節の放射活性をオートウエルカンターで測定し, 病理学的にリンパ節転移の有無を検索した. SLNは全例で同定され, 頸部リンパ節転移を認めた症例は4例で, いずれもSLNへの転移を認めた. Sentinel node conceptは頭頸部癌でも成立し, Sentinel node navigation surgery (SNNS) を施行する価値があるものと思われた. SNNSを施行することにより, 6-7割程度の症例においては頸部郭清術が不要となり, 患者のQOLが向上して医療費の節減にもつながる. Tracerにはスズコロイドとフチン酸を用いたが, 今回の検討ではフチン酸の方が優れていると考えられた. Shine throughの影響を避けるため, SLNシンチグラム撮像時にはいくつかの方向から撮像する必要があり, GPで放射活性を測定する場合にも, 工夫が必要であると思われた. SLNの検索は, 個々の症例のリンパ流を反映し, リンパ節転移のマッピングができる利点があるため, 予防的頸部郭清の郭清範囲を決定する上でも応用可能であると思われた.
  • 牧野 伸子, 太田 康, 石川 敏夫, 市村 恵一
    2005 年 108 巻 5 号 p. 528-532
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    嗅覚障害に対しステロイド点鼻を行った23例を対象に, ステロイド点鼻による血中ホルモン動態と嗅覚障害の改善度の関連を検討した. ステロイド点鼻は12週間行い, 血中コルチゾール, ACTHを測定した. 嗅覚障害の改善は基準嗅力検査, 自覚症状の変化から判断した. 投与後のコルチゾールは0.1~25.0μg/dl, 平均5.4±5.9μg/dl (正常値4~18.3μg/dl), ACTHは5.0~55.0pg/ml, 平均13.8±11.7pg/ml (正常値7.4~55.7pg/ml) であった. コルチゾール, ACTHのいずれか一方または両者の値が正常範囲より低下した低下群が14例 (60.9%), 低下がみられなかった不変群が9例 (39.1%) であり, ステロイド点鼻により半数以上に血中ホルモン動態の変化がみられた. 一方, 嗅覚障害の改善は低下群の4例 (28.6%), 不変群の4例 (44.4%) で認められ, 両群間に有意差はなかった. 両群の嗅覚障害改善度に有意差がなかったことから, ステロイド点鼻の嗅粘膜への局所効果が主に嗅覚障害の改善に関与しているものと推測できる.
  • 片野 宏明, 飯野 ゆき子, 伊藤 茂彦, 小寺 一興, 村上 嘉彦
    2005 年 108 巻 5 号 p. 533-536
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    中耳炎の細菌感染が死亡直前に内耳に波及したと考えられた, 30歳女性の頸部食道癌症例の側頭骨病理を検討した. 本症例では, 中耳の炎症所見と共に卵円窓, 正円窓膜から多数の円形細胞浸潤が内耳に及んでいる所見が観察された. 内外リンパ腔には多数の細胞浸潤が見られ, 特に基底回転で高度であった. 内外有毛細胞は一部変性, 消失が見られるものの比較的保たれていた. 蝸牛軸内にも細胞浸潤が認められたが, ラセン神経節細胞はほぼ保たれていた. これらの所見から, 中耳炎が正円窓膜と卵円窓を介して内耳に波及し, Schuknechtの分類での化膿性内耳炎の第二段階の所見と考えられた.
  • 扁桃周囲膿瘍穿刺・切開
    花牟礼 豊
    2005 年 108 巻 5 号 p. 538-541
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
  • 服部 浩
    2005 年 108 巻 5 号 p. 542-543
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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