日本耳鼻咽喉科学会会報
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113 巻 , 8 号
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総説
原著
  • 山本 哲夫, 朝倉 光司, 白崎 英明, 氷見 徹夫
    2010 年 113 巻 8 号 p. 661-669
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    【目的】シラカバ花粉にアレルギーを有する患者は, 免疫学的な交差反応性のため, リンゴなどの果物や野菜を食べるときの口腔や咽頭の過敏症をしばしば訴える. 現在, こういった現象は時に随伴する全身症状とともに, 口腔アレルギー症候群oral allergy syndrome (OAS) と呼ばれ, 交差抗原としてはシラカバ花粉の主要抗原であるBet v 1とプロフィリンであるBet v 2が挙げられている. われわれはOASの原因抗原と原因食物との関係を調べた.
    【方法】対象はシラカバ花粉IgEが陽性のOAS例60例である. リコンビナント抗原であるrBet v 1とrBet v 2およびモモのLTP (lipid transfer protein) であるrPru p 3に対するIgEをCAPシステムで測定し, IgE抗体の有無と問診上のOASの原因食物との関係を調べた.
    【結果】各CAPの陽性率はrBet v 1が100% (60例), rBet v 2が15% (9例), rPru p 3が0% (0例) であった. OASの原因食物としてはバラ科食物がもっとも多く, Bet v 1 CAP陽性はバラ科食物のOASと関連していると思われた. 一方, rBet v 2 CAPは陽性例と陰性例ともにバラ科食物のOASが多く, 非バラ科食物であるメロンとスイカのOASはrBet v 2 CAP陽性例に多かった. またクラスター分析や一致係数でも非バラ科食物 (メロン, スイカ, キウイ) のOASはrBet v 2 CAP陽性と関連し, イネ科やヨモギ花粉CAP陽性とも関連していた.
  • 兵頭 政光, 西窪 加緒里, 弘瀬 かほり
    2010 年 113 巻 8 号 p. 670-678
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    今日, 嚥下障害は高齢化社会の到来とともに, 医療的にも社会的にも大きな問題となっている. 嚥下障害患者に適切に対応するためには, 患者ごとに嚥下機能を客観的に評価することが必要である. 嚥下機能検査法の一つである嚥下内視鏡検査は近年, 広く普及しつつあるが, 客観的な評価基準がないことが大きな問題点である. そこで今回, 嚥下障害の病態を簡便かつ客観的に評価することを目的として, 外来でも簡便に行える嚥下内視鏡検査スコア評価基準を作成し, その臨床的有用性について検討を行った.
    スコア評価では, 非嚥下時の観察項目として「喉頭蓋谷や梨状陥凹の唾液貯留の程度」および「声門閉鎖反射や咳反射の惹起性」を, 嚥下時の観察項目として「嚥下反射の惹起性」および「着色水嚥下後の咽頭クリアランス」を取りあげ, それぞれ0 (正常), 1 (軽度障害), 2 (中等度障害), 3 (高度障害) の4段階に評価した. この評価基準に従って嚥下障害例を対象としてスコア評価すると, 「専門外来担当医」と「一般耳鼻咽喉科医」または「言語聴覚士」の間で有意な相関があり, 嚥下障害の診療を専門とする耳鼻咽喉科医でなくても嚥下障害の病態を客観的に評価できることが示された. また, スコア評価結果は嚥下造影検査による咽頭クリアランスや誤嚥の程度とも有意な相関があった. スコア評価結果に基づいて経口摂取の可否の判断を行うことも可能と考えられた. 以上より, 今回提唱した嚥下内視鏡検査スコア評価法は, 嚥下障害の重症度や障害様式を評価する上で簡便かつ信頼性があり, 嚥下障害患者の診療において十分有用であると結論した.
  • 山崎 一春, 石島 健, 佐藤 宏昭
    2010 年 113 巻 8 号 p. 679-686
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    当科における外傷性鼓膜穿孔について臨床的検討および文献的考察を行った.
    対象は2000年1月から2008年12月までの9年間に当科を受診した新鮮例で, 男性73耳, 女性92耳の計165耳. 受傷原因は直達性が103耳で, その多くは耳かきによる外傷であった. 介達性外傷は62耳で, 平手うちや殴打といった暴力に伴うものが33耳と多くみられた. 穿孔の大きさは吉川らの分類に従ったが, 最も多かったのはGrade Iの129耳78.2%で, 穿孔が大きくなるにつれ例数は減少した. 穿孔の部位は前下象限が98耳と最も多かった. 対象のうち保存的治療で穿孔の閉鎖を確認しえたのは85耳で, 平均閉鎖期間は25.9日であった. 穿孔が大きくなるほど閉鎖までの期間は長くなった. 治療内容については点耳薬と抗菌薬投与を併施されている群が最も多く, 治療しない群は少なかった. 結果として自然閉鎖率は85.9%であり, 他の報告と比べても良好な結果であった. 保存的に閉鎖せず手術を施行した例は14耳で, 手術までの観察期間は平均184日であった. 手術により平均聴力 (3分法) はほとんどの例で改善したが, 耳小骨骨折と外リンパ瘻を来した2耳は改善しなかった. また, 4耳は術後に再穿孔を来し, さらに真珠腫を続発した例もあった.
  • 山中 昇, 保富 宗城, 戸川 彰久, 池田 頼彦, 田村 真司
    2010 年 113 巻 8 号 p. 687-698
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    急性鼻副鼻腔炎の診断と治療においては, 重症度評価を正しく行い適切な抗菌薬を選択する必要がある. われわれは, 臨床症状3項目 (鼻漏, 発熱, 顔面痛), 鼻内所見3項目 (鼻汁の性状と量, 鼻粘膜腫脹, 粘膜発赤) をスコア化し重症度分類, 臨床経過を定量的に評価できるスコアリングシステムとそれに基づいた重症度分類を2006年に発表した. 今回, 本スコアリングシステムの検討を目的に, 成人急性鼻副鼻腔炎の治療実態調査を行った. 対象95例における治療開始前の有症状・所見率は, 発熱8.4%, 漿液性鼻汁3%と少なく, 評価項目として有用性が低いことが示唆された. 主治医判定の重症度分類との相関性 (r) では, 粘膿性鼻汁 (0.67), 顔面痛 (0.51), 鼻漏 (0.47), 腫脹 (0.45) で有意な相関を認めた. 一方, 腫脹は臨床効果判定においてスコア判定と主治医判定の差異の要因になっていた. 主治医判定の重症度分類に影響を与える因子 (多変量解析) は, 粘膿性鼻汁, 顔面痛, 鼻漏が有意 (p<0.0001) で, 腫脹は影響が少なかった (p=0.49). 以上より, 新スコアリングシステムの評価項目 (スコア) は, 粘膿性鼻汁 (0, 2, 4), 顔面痛 (0, 1, 2), 鼻漏 (0, 1, 2) の3項目とし, 重症度分類は主治医判定との一致率から合計スコアが軽症 (1-3), 中等症 (4-6), 重症 (7-8) とした.
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